キータンのひとりごと~昭和せつなく懐かしく

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2008.02.24
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カテゴリ: ガキの頃

夕焼け.jpg


昔、そう、私のガキの頃の夜は暗かった。
暗かったというもんではない。真っ暗だった。
街灯なんていうものはなかった。

うん、あってもね、電柱に取り付けられた裸電球という代物だったね。

しかしね、私たち子供は暗くなるまで遊んだ。
野球をしていても、ボールが見えなくなるまで投げた。打った。走った。
ふふふ、ナイター施設などは、思いもしなかったね。


「うん、明日、学校を引けたら、空き地に集合だ」
「うん、試合はこのままで続行だ」

そこで遊びは終わる。終わると終わる儀式があった。
みんな、帰る方向を目指す。そして……みんなでなんと歌うのだ。

 ♪さよなら三角 また来て四角
  四角は豆腐 豆腐は白い
  白いはウサギ ウサギは跳ねる
  跳ねるはカエル カエルは青い
  青いは柳 柳はゆれる
  ゆれるは幽霊 幽霊は消える
  消えるは電気 電気は光る


歌声が遠くに聞こえると、私は一気に家を目指した。
目指すといっても暗い。走るわけにはいかない。
今のように高層マンションなどなかった。
空が広かった。星空がよく見えた。

西の空に一番星が浮かび輝いていた。


いつまでも一番星を見つめ佇んだ。

私のガキの頃、みんなで遊んだ。
でも、遊んだ後のひとり、その時間がとてつもなく愛おしい。

ひとりで一番星を眺めている。突然寂しくなる。

家に向かった駆け出す。走る。走る。家が見える。
家も暗い。裸電球ひとつだものな。
その橙色の電球の灯りに、私は温かい幸せな「家」というものを感じていた。

かぼそい灯りだったけれどね、父がいて、母がいて、兄妹がいた。
みんな、みんな、その灯りの下で暮らしていた。生きていた。

そう、私がガキだった頃、町は暗かった。しかし、温かった。





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Last updated  2008.02.24 10:23:23
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