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動く重力
普通免許とフリーター(02)
普通免許とフリーター(02)
朝の事だ。
僕は今日、昼までは寝ていようと決めていたのだが、予定よりも早く起きてしまった。昼まではまだ時間があった。カーテンの隙間からは日の光が漏れてハウスダストを光らせている。素晴らしき日曜の朝。気分としては今すぐにベッドから飛び出してもいいくらいだったが、そうはしない。理由は特にないけど僕は昔から決めたことを覆すのが苦手だった。昼までは寝ていようと決めてしまったからには寝ているしかない。そのため僕は、何の意味もなく昼までベッドの中で休日を楽しむことになった。
「兄ちゃん、頼みがあるんだけど」
休日は妹の一声であっけなく終わってしまった。
「夏美、兄に出来ることはあまりに少ない」
最後の悪足掻きだった。
「いいよ。兄ちゃんには大して期待してないから」
それなら頼まなければいいのではないかと思いながらも、今日の予定が何もないことを思い出して僕は話を聞いてやることにした。
「何をすればいいんだ? 話によっては手伝うよ」
夏美は僕の聞き分けの良さを訝しんでいた。
「本当に?」
「フリーターっていうのは時間と体力が余っているんだ」
今の言葉は自ら自分の欠点を晒しているようで空しくなった。
「じゃあ兄ちゃん、シロを探してきて」
「シロ? どこかそこら辺にいるんじゃないのか?」
シロというのはうちで飼っている猫の名前だ。
「そこら辺にいるんならわざわざ頼まないよ」
「それはそうだね」
「それじゃ、よろしく」
そう言うと夏美は部屋から出て行こうとした。
「ちょ、ちょっと待った」
僕は慌てて夏美を引き止める。
「何?」
夏美は僕が慌てている理由を分かっていなかった。
「シロは、家の中にはいないんだよな?」
「うん」
「ということは外にいるわけだ」
「うん」
「外は広い」
「うん」
「どのくらい広いかと言えば」
僕は広さをアピールするために例え話をしようと思ったがうまい例えが思い付かなかった。
「少なくとも、兄ちゃんの心よりは広いよね」
「そう。そのくらい広い」
全然広く聞こえなかったが間違ってはいない。話を先に進めよう。
「手がかりはないのか?」
その程度の要求をする権利ぐらいは僕にもあるように思えた。
「あれば良かったのに」
夏美はとても残念そうにそう言った。もちろん遠回しに手がかりはないということだ。
「どうやって探せばいいんだ」
僕は独り言のように呟いたが、夏美は丁寧に答えてくれた。
「フリーターっていうのは時間と体力が余っているらしいよ」
言うまでもなく僕はフリーターだ。余った時間と体力で猫をしらみつぶしに探すことは、少なくとも今日に限り、出来る。残念ながら。
「それじゃ、よろしく」
夏美は満足げに僕を見た後、部屋から出て行った。
夏美は今、高校三年生だった。もし来年家事手伝いとかにでもなっていたら僕にも頼みごとが出来てしまうだろう。余った時間と体力を使うような。
僕はトーストを齧りながらテレビを見始めた。朝食とも昼食ともいえないような時間だったが猫を探す前には空腹を満たしておく必要があった。インスタントコーヒーが湯気を立ち上らせている。味は何度飲んでもコーヒーだった。お手軽にコーヒーの味が楽しめるのは良いことだが、『お手軽』と『コーヒーの味』にこだわりすぎて、うまいかまずいかが重視されていないのはメーカーの怠慢のように思えた。でもまあ、その点を除けばインスタントコーヒーは優秀な商品だ。
テレビを見ると丁度ニュース番組を放送していた。まるで始めて紹介するかのように、朝から繰り返し取り上げられている事件を読み上げている。よく見るとうちの近所のことだった。
聞くところによると、最近はノラが減っているらしい。聞いていてノラって何のことだろうと思ったが何のことはない、野良犬とかそういった動物のことだった。専門家にも原因がよく分かっていないようだったが、ノラが減っていることは喜ばしいことだと思った。
番組は次のニュースに移る。
聞くところによると、最近は痴漢が減っているらしい。痴漢が何のことかは僕にだって分かる。何のことはない、主に電車で女性に性的な嫌がらせをする人間のことだ。警察の努力が実ったということだったが、何にせよ痴漢が減っていることは喜ばしいことだと思った。
番組の最後で僕の嫌いな政治評論家が言った。
「迷惑な犬が減るよりも、迷惑な人間が減っていることの方が嬉しいものですな」
まったくだ。僕はフリーターのことを悪く言うこの政治評論家のことが嫌いだったが、この一言で考えを改めることにした。
やることも無くなった僕は一旦部屋に戻ってからシロを探しに行くことにした。
「夏美、出かけるのか?」
部屋に行く途中で夏美とすれ違った。様子から察するにどうやら外出するようだ。
「うん、ちょっとこれから友達と出かけてくる」
「そうか」
「時間が無いからもう行くね」
そう言うと夏美は玄関に向かっていった。だが、途中で何かを思い出したように振り返った。
「そうそう、忘れるところだったよ」
夏美はその一言を、忘れればいいのに忘れなかった。
「シロのこと、よろしく」
可哀想だった。もちろん僕もだが、シロが可哀想だった。もはやペットとしての立場が無い。
僕は何も答えなかった。そして、シロと僕が互いに肩を抱いて慰め合う姿を目に浮かべながら部屋へと向かった。共通の敵を作るとお互いの距離を縮めることが出来ると聞いたことがある。僕とシロは夏美という共通の敵を見出して仲良くなることだろう。猫にもその法則が当てはまればの話だが。
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