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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2012.04.24
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 私小説は日本の近代小説に見られた、作者が直接に経験したことがらを素材にして書かれた小説です。

 これまでにも、多くの有名作家が私小説からスタートしました。

 ”私小説のすすめ”(2009年7月 平凡社刊 小谷野 敦著)を読みました。

 プロを目指す人というより、ともかく小説を書かたいと思っている人に、私小説を勧めています。

 文学的才能がなくても誰もが一生のうち一冊は書きうる私小説の魅力を説き、形式は決して日本独自のいびつな文学ではないとして私小説の擁護を宣言しています。

 小谷野敦さんは、1962年茨城県生まれ、1987年東京大学文学部英文学科卒業、1997年同大学院比較文学比較文化専攻博士課程修了、学術博士、大阪大学言語文化部助教授、国際日本文化研究センター客員助教授などを経て文筆業に従事し、2002年にサントリー学藝賞を受賞しました。

 私小説については、1907年の田山花袋の「蒲団」を私小説の始まりとする説が有力ですが、別の考え方もあるようです。

 私小説は、身の回りや自分自身のことを芸術として描き、内面描写を中心に語られる事が多いようです。

 1935年の小林秀雄の「私小説論」に始まり、1950年の中村光夫の「風俗小説論」を経て、1960年代以後、私小説批判が長く続き、1980年前後に村上春樹などのファンタジー風の純文学が隆盛を迎えて、私小説は低調となりました。



 西洋にも、ゲーテ「若きウェルテルの悩み」、トルストイ「幼年時代」「少年時代」「青年時代」、ラディゲ「肉体の悪魔」、プルースト、アンドレ・ジッド「一粒の麦もし死なずば」、ヘッセ「車輪の下」、ヘンリー・ミラー、ハンス・カロッサのほぼ全作品など、自身の経験に基づいた小説が多いそうです。

 私小説は、決して日本独自のダメな文学ではありません。

 小説の書き方について書かれたのは、1909年の田山花袋の「小説作法」が最初です。

 主として身辺スケッチを勧め、実を書くことを主眼として教えています。

 その後、1934年の広津和郎の「小説作法講義」、1941年の武田麟太郎の「小説作法」、1955年の丹羽文雄の「小説作法」などが書かれました。

 現在では、昔のように小説家に弟子入りするというようなことはなくなりましたが、カルチャースクールなどで小説教室が聞かれたりしていて、そこで学んだ人が作家デビューするというようなことが起こっています。

 また、20年ほど前から自分史を書く人か増えており、その際、自分の名前を変えて書いて私小説になるはずです。

 最近では、私小説の救世主と言われる西村賢太のような作家が登場しています。

 小説を書きたいとが何を書いていいか分からない、あるいはフィクションを作れないという人に、私小説を書くことを勧めています。

第一章 私小説とは何か
第二章 私小説作家の精神

第四章 現代の私小説批判
第五章 私小説を書く覚悟






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Last updated  2012.04.24 18:46:31
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