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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2013.03.12
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 1873年に旧長岡藩家老の娘として生まれ、渡米した杉本鉞子(えつこ)は、文明開化の東京、アメリカで異文化と出会い、1923年に米国の雑誌”アジア”に英文の自伝”武士の娘”を掲載し、日米文化交流の懸け橋の役割を果たしました。

 ”海を渡った侍の娘 杉本鉞子”(2003年7月 玉川大学出版部刊 多田 建次著)を読みました。

 明治維新期に越後の家老の家に生まれ、厳格な躾を受けて育った杉本鉞子の生涯を紹介しています。

 武士の娘のモラルに照らして行動した人間像を”福翁自伝”の福沢諭吉と対比し分析しています。

 多田建次さんは、1947年生まれ、慶応大学文学部卒業、同大学院社会学研究科博士課程終了し、玉川大学教育学部講師、助教授を経て現在教授を務めています。

 鉞子が10歳のとき父親が亡くなり、翌年の夏、鉞子が物心つく頃から家を出て渡米した兄が帰国し、兄の存在が鉞子の人生を大きく変えることとなりました。

 12歳のとき、兄の友達の杉本松雄という在米の青年実業家と婚約したのです。

 結納後、14歳の鉞子は英語を学ぶため、東京のミッション系の女学校に入学しました。

 鉞子は新しい文化を受け入れながら、自分を育んだ文化を愛し、西洋と日本の文化の差異やその理由、両者の美点や欠点を問い続けたといいます。



  結婚生活は次第に落ち着き、新しい環境を愛するようになったそうです。

 同時に、鉞子の文化の差異に対する興味は増していきました。

 共に考え導いて助けたのが、名家の未亡人、フロレンス・ウィルソンでした。

 フロレンスは杉本夫妻と共に暮らし、終生一家のよき理解者であり庇護者であったといいます。

 嫁として母としてまた米国人として、生涯の働き時を過ごしたこの米国の友人におくるつもりで、コロンビア大学日本語学と日本文化史講座勤務中にペンをとった小冊子が草稿となりました。

 後に雑誌に掲載された”武士の娘”は、単行本化されると一躍ベストセラーとなり、杉本鉞子は日本人初の米国におけるベストセラー作家となりました。

 ほかに、”成金の娘””農夫の娘”なども著しました。

 その後、夫が亡くなったため2人の娘を連れて1927年に帰国し、1950年に亡くなりました。

 福沢諭吉は下級武士の次男として封建門閥制度に不満を抱き、その打破を生涯の念願としたのに対し、鉞子は上級武士の娘として身分制度に違和感をもちませんでした。

 諭吉が緒方洪庵の適塾で自然科学中心の高等教育を受け、その後人文・社会科学にまでその学問を拡げていったのに対し、鉞子はミッションースクールで中等レベルの教育を受け、文学・歴史・地理・民俗など人文科学中心の教養をおさめました。

 諭吉は日本国の存立そのものに直接かかわる問題として東西両文化の比較研究を試み、西洋文化を日本に移植しようとしたのに対し、鉞子は個人の視点から日米国文化の比較をし、書物や大学の講義をとおして日本文化をアメリカに紹介しました。



序 章 自伝と自伝的作品とのあいだ
第一章 鉞子のルーツ―長岡と米百俵
第二章 鉞子の生涯―越の国
第三章 鉞子の生涯―外つ国へ
第四章 異文化との出会い

終 章 “二重国籍者”鉞子の視座






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Last updated  2013.03.12 19:05:50
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