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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2017.07.16
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 隕石とは、惑星間空間に存在する固体物質が地球などの惑星の表面に落下してきたものを指し、分類すると、鉄隕石、石鉄隕石、石質隕石の3つの種類に分けられます。


 鉄隕石は主に金属鉄からできている限石で、ニッケルも多く含んだ鉄ニッケル合金で、コバルト、金、白金、イリジウムのような貴金属もわずかながら含まれています。


 石鉄隕石は鉄ニッケル合金と石質のケイ酸塩鉱物がまざった成分の隕石で、石質隕石は主にケイ酸塩鉱物からなる隕石です。


 ”隕石”(2017年5月 白水社刊 マテュー・グネル著/斎藤かぐみ訳/米田成一監修)を読みました。


 隕石の基礎知識から、発見の歴史、宇宙科学の現在までを詳細に解説し、隕石研究の現在の状況を知ることができます。


 マテュー・グネルさんは1971年生まれ、1994年に物理学で修士の学位を取得し、1995年にケンブリッジ大学トリニティー・カレッジで研究を行いました。


 1996年にパリに戻ってからさまざまな阻石研究者と交流し、2000年にパリ第7大学から博士の学位を取得し、大英自然史博物館研究員、パリ第11大学講師を経験しました。


 2005年よりパリ国立自然史博物館に勤務、2006年に国際隕石学会ニーア賞を受賞し、2008年からパリ国立自然史博物館の教授に就任しました。


 斎藤かぐみさんは1964年生まれ、東京大学教養学科卒業、欧州国際高等研究院修了のフランス語講師・翻訳家です。


 米田成一さんは1960年生まれ、1982年東京大学理学部化学科卒業、1987年東京大学理学系研究科化学専門課程卒業しました。


 その後、東京大学大学院理学系研究科化学専門課程博士課程単位修得退学、1987年から日本大学文理学部助手、1992年からシカゴ大学博士研究員を経験しました。


 現在、国立科学博物館理工学研究部理化学グループ長、理学博士で、専門は宇宙化学、隕石学です。


 パリ国立自然史博物館の隕石研究者である著者が、私たちをマクロとミクロが行き交う世界へと誘います。


 隕石は天空から地球に飛来した石であり、その年齢は太陽系の年齢であり、人類が手にできる最古の物体です。


 隕石は神秘のしるしとして、地と天を同じ目で見るようにと私たちを促すと同時に、最先端の機器を使った科学研究の対象として、現在の研究の様子をかいま見せてくれます。


 過去と現在を結び、博物学と先端科学を架橋してくれる、そんな存在は阻石の外にはありません。


 隕石の研究は、仏語では宇宙化学、英語では隕石学と呼びます。


 地球外天体と生物圏の相互作用、私たちの太陽系の形成、天体の地質進化、地球上の生命の起源などが課題となります。


 ヨーロッパで隕石が地球外から来たことが科学者に受け入れられたのは、18世紀末から19世紀初めのことで、以後、本格的な収集・保存が行なわれるようになりました。


 1985年までに発見された2700個の隕石中、落下するところが目撃されたのはおよそ45%です。

 南極では日本をはじめとして、各国の南極観測隊が1985年まででも7500個の隕石を回収しました。


 隕石カタログ2000年版には、南極隕石17,808個を含む22,507個が掲載されています。


 このうち21,514個が石質隕石、865個が鉄隕石、116個が石鉄隕石です。


 隕石の多くはおよそ45億年ほど前にできたもので、太陽系の初期、惑星が形成された当時の始原的な物質であろうと推定されています。


 隕石は地表に到達するまでに破片になることもあれば、大きな塊のまま到達することもあります。


 大気との衝突によって多数の破片になり、楕円形の長径数kmから数10kmの地域に、数10個から数100個程度、まれに数万個程度の隕石となって落下します。


 この場合は数100gから数kg程度のものが多いようです。


 大きな塊のまま落ちてくることもあり、北アメリカのバリンジャー隕石孔は直径1.2kmあり、数万トンから数10万トンの質量だったと推定されています。


 隕石そのものが発見された中で最大なのはナミビアのホバ隕石で、重さ66トンです。


 隕石の真の価値が理解されるようになるのは、20世紀後半になってからです。


 これは、さまざまな分析技術の進歩によるところが大きいです。


 特にウランの放射壊変を利用した年代測定法か開発され、1956年に地球の年齢が推定されました。


 これは、地球の岩石とウランをほとんど含まない鉄隕石とを比較することによってなされた成果です。


 また、一部の例外を除くと隕石の種類にかかわらずほぼ全ての隕石が約46億年の年代を示すことから、太陽系か形成されたのは約46億年前と推定されています。


 地球の年齢は、地球が小さな原始地球から現在の大きさまで成長する時間が必要なため不確かさが残りますが、成長を始めたのはやはり約46億年前と考えられています。


 なお、地球の内部は現在でも熱く、地球表面が絶えず新しく作り替えられているため、地球の岩石は最も古いもので約40億年、岩石に含まれる鉱物でも約44億年が最古です。


 地球の岩石の分析だけでは、地球の年齢を求めることはできません。


 隕石の構成成分をさらに詳しく年代測定すると、炭素質コンドライトに含まれるCAIと呼ばれる包有物が太陽系で最古の年齢を示しえちます。


 ある分析では、45億6720万年±60万年という精度で求まっています。


 このように、隕石は太陽系の形成から惑星の成長までを記録した物的証拠として計り知れない科学的な価値を持っています。


 本書はこれらの科学的成果を詳細に解説しており、隕研究の現在の状況を知ることか可能です。


 日本の隕石についての補足説明もあり、九州の直方隕石は落下が目撃され現代まで破片が保存されている世界最古の隕石であるということです。


 また、東京のコレクションは、国立極地研究所が保有する南極隕石の数は、現在約1万7000個で、その数量は世界有数のものとなっています。


第1章 惑星科学と宇宙化学の基礎知識
 基本的な定義/惑星科学の基礎知識/地球化学の基礎知識/同位体宇宙化学の基礎知識/始源的な天体から物質分化した天体へ/宇宙の玉突き/隕石の分類
第2章 隕石小史
 迷信と驚嘆/十八世紀末の転換点/十九世紀―系統的な研究の始まり/二十世紀―宇宙の時代
第3章 地球上の隕石
 大気圏突入/地球外物質の採集/地球外物質のフラックス/衝突と生物圏/隕石の落下年代/こなたの隕石、かなたの隕石
第4章 隕石の見分け方
第5章 母天体から地球へ
 隕石の起源/隕石の照射年代/隕石の地球までの移動
第6章 コンドライトと太陽系形成
 コンドライトの化学組成と同位体組成/コンドライトとその構成要素の形成年代/カルシウム・アルミニウムに富んだ包有物と鉄苦土性コンドルールの形成/酸素同位体組成の進化/短寿命消滅核種/基質―出発物質/昔の光沢いまいずこ
第7章 天体の地質進化
 衝突と衝撃/コンドライトに見られる熱変成と熱水変成/物質分化
第8章 隕石と生命の起源
 隕石中の地球外生命/隕石中の生命前駆分子/宇宙化学と生命出現の背景状






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Last updated  2017.07.16 06:57:32
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