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cozycoach @ Re:徳川忠長 兄家光の苦悩、将軍家の悲劇(感想)(11/20) いつも興味深い書物のまとめ・ご意見など…
2019.10.19
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 その一瞬があるだけで、この本を読んでよかったと思えるのではないでしょうか。

 ”本をサクサク読む技術-長編小説から翻訳モノまで”(2015年8月 中央公論新社刊 齋藤 孝著)を読みました。

 本をサクサク読むポイントは楽しむことと数をこなすことであり、途中で挫折したり中身をすぐ忘れる対策として、本の養分を瞬時に吸収できるいろいろなノウハウを提示しています。

 読書で得られるのは知識や情報だけではなく、もっと深い部分で心の支えになったり、考え方や生き方を教えてもらったり、自分のをつくってもらったりすることに意義があります。

 いきなりそういう本に出会えなくても、複数の本を芋づる式に読んでいるうちに行き着く、というこ
とはよくあります。

 巷では膨大な情報が飛び交い、一瞬にして消費されて価値を失う昨今だからこそ、こういう出会いはより輝きを増すのではないでしょうか。

 齋藤 孝さんは1960年静岡県生まれ、東京大学法学部公法コースを卒業し、同大学院教育学研究科学校教育学専攻博士課程を満期退学しました。

 日本学術振興会特別研究員、世田谷市民大学講師、慶應義塾大学非常勤講師、明治大学文学部専任講師・助教授を経て、現在、明治大学文学部教授を務めています。

 第14回新潮学芸賞、56回毎日出版文化賞特別賞を受賞しました。

 専門は、教育学、身体論、コミュニケーション論で、テレビ番組のコメンテーターとしても活躍しています。

 いま、本が売れないといわれ続けていますが、たしかに学生の読書量も、けと昔前に比べればずいぶん減りました。

 各出版社は売り上げを上げるため、出版点数を増やす傾向にあります。

 毎日のように大量の新刊が誕生するため、本の寿命が短くなりました。

 しかし見方を変えれば、それだけ著者が増えたということでもあります。

 かつて新書といえば岩波新書か中公新書ぐらいしかなかった時代で、本を出せるのは有名な大学の先生だけとほぼ決まっていました。

 しかし今や新書は百花擦乱で、あらゆるジャンルの人が著者として名を連ねています。

 本を書いてみたいという人にも、新しい出会いを求めている読者にとっても、いい環境といえるのではないでしょうか。

 読者も、それをきっかけとして、本のおもしろさに目覚めるようになるかもしれません。

 著者は、スタンダール、ゲーテ、ドストエフスキー、ニーチェなどの世界文学、ソクラテスやアリストテレス、『徒然草』『奥の細道』といった古典などを読むべきという教養主義を持論としています。

 自分の軸をつくった5冊が表にして掲げられています。

 講談社学術文庫の勝海舟『氷川清話』は、中学生のときに1年間カバンに入れて持ち歩いた、勝海舟の壮大な世界観、人間観に大きな影響を受けたといいます。

 みすず書房の全2巻メルロ=ポンテイ『知覚の現象学』は、大学で研究分野にしようと思った身体論の研究基盤をつくってくれたといいます。

 中公文庫のニーチェの『ツァラトゥストラ』は、毎年大学の教え子だちとまえがきを音読していて、自分を乗り越えていくための本だといいます。

 光文社古典新訳文庫の全5巻ドストエフスキー『カラマーゾフの兄弟』は、人生とは何かという問いに答えてくれるといいます。

 中公新書の石光真人(編著)『ある明治人の記録』は、会津大の魂が込められた本で、日本人の魂が感じられ、浪人時代に号泣しながら読んだといいます。

 読書のメリットや読書の効果にはいろいろなことが考えられます。

 本そのものが嫌い、という人はあまりいないと思います。

 その有用性も、誰もが認めるところでしょう。

 ただし、たとえばテレビやネットに比べ、いささか面倒くさい媒体であることは間違いありません。

 活字を追うという作業は、相応にエネルギーを使うのです。

 本はボリュームがあり、途中で眠くなる人、筋立てがわからなくなって迷子になる人、一冊を読み終えるまでに膨大な時間がかかる人があります。

 あるいはこれらの事態を想定し、最初から面倒くさかって本に近づかない人も多いのではないでしょうか。

 しかし、読書をすることで新しい知識を吸収することができ、いままで知れなかったことを知ることができ、世界が広がった経験をすることが可能です。

 本を読むことはストレスを和らぐのに最も良い方法であり、読書をすることのワクワク感が高り、ストレスが気にならなくなります。

 読書をすることで作中の言い回しや表現方法も学ぶことができ、適正な言い回しができるようになれば、コミュニケーション力も向上します。

 読書をすれば語彙力や表現方法を身につけることができ、言い回しなどを自分の文章に活用することもできます。

 読書をすることで自分が知らない世界を知ることができ、自分の友達や周りの人の生き方や、行動の仕方に妙に納得感が生まれてくることがあります。

 読書して本に書いてある文字を読むことで、文字から情景をイメージすることになり、本の内容を自分に置き換え、左脳から右脳に頻繁に情報を転送し、脳が活発に動き脳が活性化します。

 読書は思考のパッケージであり、自分が今まで考えられなかった思考パターンにより、いままで気づかなかったことに気づくことができます。

 読書の効果の基盤は疑似体験と知識習得であり、自分が経験しないことを、教訓とともに、学び、疑似体験することができ、新しい知識も身につけることができます。

 そして、本を読めば読むほど本を読むスピードが上がり、知識が増えれば増えるほど本で語られている内容の理解が早まりま

 読者にとって、生涯の師または友となるような良書に意外に簡単に出会えるかもしれません。

 一文も逃さず全文をきっちり読むべきだという正論はたしかに正論ですが、その正論ではたくさんの本を読めない人のために本書を書いたといいます。

 何かのきっかけで、もっと知りたいという対象が現れたら、何も遠慮する必要はありません。

 10冊でも20冊でも、気の済むまで関連する本を漁ればいいのです。

 この貪欲さが読書の原動力になり、どんな本でもサクサク読めるとすれば、好奇心はいっそう刺激されるはずです。

 とにかく数をこなすことが大切で、本書では蔵書1000冊をめざすことを提案しています。

 一見すると膨大な量ですが、実はそうでもありません。

 本書を読んで、ちょっと書店にでも寄ってみようかとか、ネットでおもしろそうな本でも探してみようという気になったとすれば幸いです。

 そして、手に取った本をサクサク読む快感を、おおいに昧わっていただきたいです。

1章 「読破」するにはコツがある(並行読書のススメ/新書から始めよう/昔の受験勉強を今の読書に活かせ/「見る」も「眺める」も読書のうち)/2章 長編小説を挫折しないで読む方法(登場人物がややこしい長編小説の読み方/自分に合う小説はこうして探せ)/3章 「ビジネス常識」としての経済小説、歴史小説入門(経済小説で経済を知る/知識ゼロからの歴史小説入門)/4章 難解な翻訳書・学術書を読みこなすコツ(難解な本をクリアする法/海外古典文学を読まずに死ねるか/英語ビギナーのための洋書読書術/ド文系のための理系本攻略法)/5章 本を選ぶヒントー王道から邪道まで(「新刊情報」に敏感になろう/「ベストセラー」から得られる二つのメリット/レーベルごとの個性を知る/自室に書棚はありますか?)






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Last updated  2019.10.19 06:40:06
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