
どこかで聞いた声。

「白鳥の飛来で有名な山形県酒田市の最上川で、今朝までに5千羽の飛来が確認されました。例年でいうと大半の白鳥が飛来したことになります」。車に戻ってニュースを見ると、アナウンサーがタイムリーな話題を報じていた。ああ、あれはやっぱり白鳥だったんだ。
そもそも酒田の白鳥は、子どもの餌付けが発端となってその飛来数が増えてきたらしい。遠路遥々やってくる白鳥さんにとっては、実にありがたい行為だったに違いない。
釣りの後、明治の面影をそのまま残す山居倉庫を覗いた。

紅葉が始まりかけているケヤキの下で、ガイドの説明を観光客が熱心に受けている。この「ガイド」も、餌付け行為に他ならない。
白鳥の飛来地から離れた漁港に車を走らせ、ライトなタックルで釣りをする。白鳥とまではいかなくても、遠路遥々やってきた僕に対して、カマスがあいさつをしてくれた。

海の釣りで餌を使わない僕は、魚に餌付けすることができない。なのに、このカマスは人に対する思いやりの尊さを示してくれたのだ。白鳥も、他の魚も、この姿勢をぜひ見習ってほしい。