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カーラとリカムの、 ちょっといいシーン
こえめ版 です。
玉座シリーズ (えっ?)、 やっとここまで来ました。今回また長くなってしまったので、お茶お酒のお供に……どうぞです。
一度後悔したものを訂正して再度のUPです。ご迷惑おかけします
【カーラ14】
己の身体に落ちかかる分厚い岩!
(……もはやこれまで!)
リカムは覚悟した。
ガラスの支えが崩壊したのと、
誰かに背中をつかまれ、
身体が大理石の床を滑っていったのとが、
殆んど同時だった。
背中から、ガラスの破片が突き刺ささってくる。
轟音が耳をつんざき、
部屋は飛び散る岩の破片と煙で、薄暗くなった。
1メートルもある大きな岩の塊(かたまり)が、
窓際の壁を突き破って落ちていった。
玉座の椅子が床に叩きつけられ、
ついに崩壊したのだ。
開けられた穴から、外の澄んだ空気が流れ込み、
部屋が明るくなった頃、
岩が地面にぶつかる音が
遠く聞こえた。
それはまさに、悪しき風習の象徴の最後
とも言うべき出来事だった。
「リカム!」
隣の部屋から飛び込んできたカーラは、
ドレスの裾(すそ)が破れるのもかまわず、
鋭くとがった岩の間をぬって、リカムに走り寄った。
彼の身体を強く抱き寄せ、その名を呼ぶ。
「リカム!」
呼ばれてリカムはわずかに頭を上げ、
助かった安堵感と、
カーラの顔を再び生きて見られた喜びに、
その血の滲んだ顔をゆがめた。
カーラは彼の頭をその胸に抱き、
さも愛おしそうにリカムを見つめた。
「あぁ……無事でよかった」
カーラの声は、心なしか震えているようだった。
彼女の目に、透明に光るものを認めたりカムは
なぜか急に堪らなくなって、
大声で叫び出したい衝動に駆られた。
だが、粉塵でかさついたのどが、それを拒んだ。
その時、不覚にも自分の頬に、
涙がこぼれていた事に気付いたのだった。
カーラはリカムの身体を起こそうとして
背中に回した手が、
濡れているのに気が付いた。
「 こんなに血が!……」
リカムが苦しい息で答える。
「姫様……私は、大丈夫です。そ、れより他の者が……」
そのとき壁に寄りかかっていたジイドが、
やや遠慮するように言った。
「イヤァ、まったく危ないところでしたわい。
他のものも皆な、無事でございますよ。姫様」
無論、彼とて無傷ではなかったが、その声はリカムより元気そうだ。
カーラは振り返らず、リカムの瞳を見つめたままで言った。
「リ……皆なを助けてくれたのですね、ジイド。
礼を言います。ありがとう」
「いいえ。礼などと勿体のうございます、姫様。それに、
むしろリカムこそが、手前どもの命を救ってくれたのです」
「リカムが?……そうでしたか」
カーラは座り込んだまま、それ以上何も言わず、
やがてリカムが、駆けつけたものたちに抱えられて
魔法医師のもとへ運ばれていくのを、
黙ったまま見送った。
(つづく) 読んでくださってありがとうございます
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