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こえめ
です![]()
蒸し暑いのが苦手。
今年はダイエットに成功して見せます! マイナス3キロ!!
理由は、夏を涼しく過ごしたいから。
汗っかきなんです。 あちー
【カーラ36】
「これは、お母様にあったあざと、すっかり同じもの……」
「ラスティーヌ様と……」
カーラはうなずき、胸のアザがある位置に手を当てると、
思いに沈みこむように黙った。
「それと今回のこと……何かつながりが在るのですね」
リカムは質問というより、
それを予感していたかのようにつぶやいた。
夕焼けの色が薄れ、
あたりを夜の闇が占領し始めていた。
カーラは大きく息を吸い込み、顔をあげた。
そこには、重苦しい決心の色が浮かんでいた。
*
「お母様は、お父様と結婚する前に、
ある人との出会いがあったのです。
それはこの世界では許されぬことでした……」
「まさか……」
「ええ。人間です」
リカムは思わず息を呑んだ。
「お母様が十七歳になったある日、
夢のなかで天の啓示を聞いたのです。
そこではあたり一面、バラの花が咲いていたそうです。
何処からともなく聞こえてくるその声がいうには、
< 人間と交わり、子を生(な)すこと >
< 二人の間に生まれた子どもは >
< 法界と人間界の関係を変える力を持つ >
というものでした。
気が付くと、黒いバラ一輪、
手に持っていたそうです。
最初は、そんな恐ろしい夢のことなど
早く忘れてしまおうと思っていたのですが、
それから数日たって、
うっすらと見え始めた胸のアザに気付き、
それが単なる夢ではなかったと悟ったそうです。
それから一年ほど経った頃、天の導く星のもとで、
ひとりの人間に出会いました。
川釣りに出かけた先で道に迷い、
偶然、人間界と魔法界をつなぐ風門を、
くぐり抜けてきたらしいのです。
すぐに二人は意気投合しました。
彼は魔法界を旅しているということにして、
しばらくこの土地に住み着くことにしたのです。
ところが、その後間もなく、
魔法界王から、結婚の申し込みが来ました。
母の血筋は代々、爵位を受け継いできましたし、
年頃の、美しさが際立った女性であっただけに、
白羽の矢が立ったのは
当然のだったのでしょう。
その時お母様は、ふたつの道どちらを選ぶか、
それは悩んだそうです。
運命に従うべく全てを捨て、人間界に逃れるか。
それとも魔法界の女王として代を治め、運命に逆らうのか。
でも結局は、父の申し出を受けました。
もし自分が人間界に行ってしまったら、
残された親や兄弟や家族が
とうてい無事で済むとは、思えなかったからです。
人間の彼のことは、魔法界のことを決して洩らさぬようにと、
お母様自身で術をかけ、
人間界に返したそうです。
そのあと、彼からはずした指輪を、
預言者セテに託しました。
思いつめて黙って指輪を差し出すだけの母に、
セテは何も聞かず、
ただ黙って頷いてくれたそうです。
お母様は3年前、病の床で、この話を
私にそっと打ち明けてくださいました。
それというのも、啓示が再びあったからなのです。
天は、運命にそむいた報いを
忘れてはいなかったのです。
そして、使命を成し遂げられなかったお母様の代わりに、
天が次に選んだのが、私でした。
私はこのことを、決して誰にも話さないと母に約束し、
今日までそれを守り通してきたのです」
*
リカムはカーラの告白を聞き終わっても、
一言も発することが出来なかった。
「昨日、これをセテから受け取りました」
カーラはポシェットから、
バラの模様が彫られた指輪を取り出し、リカムに見せた。
「姫様、これは……?」
「お母様が、セテに託した指輪……」
カーラは着けていた金のネックレスをはずして指輪を通し、
椅子から立ち上がった。
リカムに歩み寄り、自らの手で、彼の胸に指輪を下げた。
「……姫様?」
「リカム。これをあなたに持っていて欲しいのです」
そういうと彼の大きく暖かい手を、
そっと握り締めるのだった。
(つづく) 【 次へ
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