プロ野球情報館

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2005年07月14日
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この世に無念の別れを告げた友に捧げる1勝だった。

オレは勝ったぞ! 見てくれたか…。そんな思いが、ほとばしる。悲しみを乗り越えた杉山が7回を1失点で投げぬいた。右翼スタンドに登場した『天国の友に捧げる勝利を』-。横断幕も、躍っていた。

 悲しい別離だった。龍谷大時代のチームメート・中村圭悟さん(享年24)が1年7カ月に及ぶ闘病もむなしく、急性骨髄性白血病で急逝したのは7月4日。杉山は通夜に駆けつけ、ユニホーム姿の遺影の前で泣き崩れた。

 好敵手だった。互いに京都出身。高3年夏には大谷高の中村さんと東舞鶴高の杉山が4回戦で激突。エース同士の白熱した投手戦を制したのは中村さんだった。

 ライバルが友になった。2人とも龍谷大に進学。4年間、白球を追った。だが、チームメートは病に倒れ、入院生活が始まる。苦しい時間を一緒に過ごそうと、病室に何度も足を運び、話しかけた。「今年は10勝するからな」

 その後の言葉は不要だった。だから、お前も…。思いは伝わったが、奇跡は起こらなかった。9日の中日戦(ナゴヤD)では勝ち投手になれず、迎えた甲子園のマウンド。中村さんの知人がメッセージを書き、遺影の前に集まった。

 「立ち上がりが悪いんで最初から飛ばしていこうと思いました」。一回から慎重に、そして大胆に投げた。友が力を貸してくれた。バックの援護にも恵まれた。4安打に抑えて5勝目。約束に近づいた。

 岡田監督もこの夜ばかりは「先発の仕事をしてくれた。1点取られたが、ナイスピッチングやった」とほめてくれた。その言葉に満足せず「1つでも多く、投げる試合は絶対勝つ意識をしてます」と杉山。チームの貯金をついに「20」の大台に乗せた若き右腕は、天国で見守る友に、胴上げ投手になる姿も見せるつもりだ。






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最終更新日  2005年07月17日 13時49分29秒


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