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数ヶ月が経ち、卒業と同時に奈津子の許へは、秋彦の手紙もまた来なくなっていた。そんなある日、弥生と同じ学校へ進学した奈津子は彼女と駅まで来ると、秋彦が一人バスを待つ姿が飛び込んで来た。「ちょっと奈津子!アレ、彼じゃない?」「うん。・・・・・・・。」奈津子は嬉しそうに頷いた。「どうすんの?」「どうするって、なにを?」「ばかね。彼に声をかけるのかって、聞いているのよ」「ああそうかぁ。うーん、どうしょう?」「またこれだ。まったくもう・・・。」と、弥生は呆れ顔をつくった。そして、暫らく二人は其処に立っていたが、秋彦は気が付かないでいる。弥生は言った。「ねえ。あんた一人でここに居なよ」「・・・・・・・・。」「あんた一人で居れば、彼が気が付いたときにさ、彼も声をかけやすいからよ」「うん。じゃあ居る」「じゃあね、・・・・・。」と、言いながら弥生は奈津子から離れていった。 私のおススメ紹介コーナー超行列★BinBinカレー今話題の本格薬膳カレーをお取り寄せ★リピーターさん続出です(●^o^●)!!殻付き牡蠣とむき身生牡蠣の詰め合わせ北海道厚岸産 かきづくしAセット(牡蠣L15個、むき身500...佐藤利弘さんのつくる十三浜産牡蠣三陸十三浜産 殻付牡蠣 Lサイズ20個入 牡蠣ナイフ付【カキフライ】・広島産カキ原料■カキの旨味を閉じ込めました、冷凍。旨味タップリ、20個入り...
2008年01月30日
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仲見世を過ぎ浅草寺にお参りを済ませると、二人は新橋にある『やまだや』に向かった。『やまだや』は、新橋駅から歩いて五分くらいの田村町一丁目にあり、従業員は十四・五人ほどが働いていた。昌義は店の暖簾を潜りながら「ただいま。いま戻りました。」「旦那は、居られますか?」店の中には客を含めて五・六人居るのが滝子の目に入ると同時に香ばしい匂いが漂ってきた。「おかえり。割と早かったじぁないか」年のころは四十四・五才のがっしりとした身体で、人なっこい顔をした男が声を上げながら寄ってきた。昌義は帽子を脱ぎ荷物を降ろしながら「旦那。この子がお話をした妹の滝子です。なにせ島育ちで何も出来ませんが・・・・・。」「滝子。旦那の山田仙蔵さんだよ」「滝子です。宜しくお願い致します。」と言って、ペコリとおじぎをすると、旦那の山田仙蔵は笑顔をたたえながら「遠い所を、良く来てくれたね。さあさあ中に入って、邦ちゃんあとは頼んだよ」「はい。判りました。どうぞごゆっくり」邦ちゃんと呼ばれた店員は、滝子達に笑顔でうなづく様に答えた。仙蔵は顔馴染みのお客に軽く会釈をしながら店の奥へ案内していった。 私の八丈島おススメ紹介コーナー今回ご紹介するのは、健康食材で人気が高い「アロエ」です。八丈島には「アロエ・べラ」の群生が多数見られ、今頃の季節になると赤い花が咲き乱れています。アロエの群生此方のフォトは下記のページよりお借りしました。画像の元のページです:http://www.hachijo-ashitaba.net/hachijo/index.html アロエベラ鉢植え存在感たっぷり!医者いらずの『アロエベラ スクエアポット植え』
2008年01月29日
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彼女の友人の三重子が、私たちの処へ来た。「ねえ、久美子。」「え。なに・・。」「今度の土曜日の晩から日曜日にネ」「うん。それで・・・。」「うちのサークルでスケートのつどいを開く事になってさ」「へえー、そうなんだ・・・。」「だからどう、あんたも参加しない?」「うん。そうねー」「無論。其処に居るボディガードと一緒でもイイからさ」と、三重子は横目で私にウインクをしながら言った。「ボディガードは無いだろう。オレは久美子のSPか」「まあ、似たようなもんだけどネ」と彼女もまた三重子のかたを持つ様に言って笑う今日この頃である。 私のおススメ紹介コーナーマツカメショッピング 最新美容機器が勢揃いアッシュブロンドプラスダイレクト
2008年01月27日
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卒業式は、騒然とした中で始まり、壇上で校長が一人ひとりに証書を手渡し終わると、卒業生全員男女交互に一列にされ、講堂の出口から正門を越え何処までも続く、在校生全員が作る左右の人壁の中を有無も言わさず歩かされ、学校から下校させられた。無論、奈津子と秋彦は話をする暇もない。このような卒業式に変えたのは、『お礼参り』と称され、各教室の窓ガラスへの投石や教師に対する集団暴行が前年まで卒業生より繰り返し引き起こされていた。それにより教師たちのとった自衛手段であった。 私のおススメ紹介コーナー【送料無料】赤字覚悟!期間限定感謝セール 生チョコ(ショコラ・ド・フレ)ちょこれ~とプリンチーズケーキプリンアッシュブロンドプラスダイレクト「マツカメショッピング」人気通販商材商品が激安で満載! 親切丁寧です!!
2008年01月27日
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船が東京・竹芝桟橋に着いたのは午前七時を少しまわったころであった。滝子は船酔いで、気力が身体全体から抜けたように思えた。人々は皆こんな辛い思いをして島に渡ったり、東京に出るのかと思うと、改めて島を出る事の大変さを噛みしめる滝子だった。昌義に促されながら下船し滝子は生まれて初めて東京の土を踏んだ。東京の春は、八丈島と違いツンと肌寒い空気が身体をついた。滝子はおもわず身体を縮ませた。竹芝桟橋から浜松町の駅まで歩く間、余りにも島と東京では町並みが違うので戸惑うばかりであった。どこをどう行ったのか、人混みの中をただ昌義の後をついて行くのがやっとである。浅草・仲見世の賑わいに至っては、どこにこれだけの人々が暮らしているのかと思っていた。そんな滝子の思いを察知したかのように昌義は「滝子。浅草はクニで、今一番賑やかな場所どうじゃ」「ほーじゃのー・・・・。」「浅草寺の裏の方にいこごんと、『花やしき』という遊園地もあろーじゃ、浅草六区さにいこごんと、映画や芝居もやろごんて、休みさ貰ったら行けばよけじゃ」滝子は目を輝かせ、頬を赤らめながら「おい。」と大きくうなずいた。昌義は滝子の仕草に苦笑しつつ「うぬも、まだまだじゃの」と言った。 私のおススメ紹介コーナー今回は「浅草・花やしき」をご紹介します。花やしき。歴史は古く、向島の花屋敷(現在の百花園)などを手がけた作庭の名人・森田六三郎により、嘉永六年(1853年)に開園されたのが始まりと言われる。花やしきと浅草周辺のユニークな紹介サイトが有りましたのでアクセスして見てください。http://www.hanayashiki.net/guide/index.htmlhttp://www.interq.or.jp/tokyo/ohata/yuuenchi/01guide/4tokyo/ask/ask.htmhttp://nowonair.tv/v/197/play.pagehttp://www.tohomaga.com/asakusa2.html
2008年01月26日
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やがて、互いの進学先もそれぞれと決まり、卒業式の当日。朝のホームルームは、担任の言葉で怒号が渦巻き騒然となった。それは、リハーサルまで済ませた卒業式のスケジュールの大幅な変更と皆が楽しみにしていた謝恩会の中止を告げられたからである。そして、窓の下には赤色灯を付けたパトカーまで二台も駐車している。担任は生徒の集中砲火を浴びた。「なんでだよぅ!」「謝恩会も中止するなんて酷すぎるよ!」「そうだ!そうだ1先公は何を考えてんだよ!」「ふざけんじゃねぇよぅ!」「静かに!静かにしろ!」と、担任は机を叩きながら「君たちの気持ちは判るがこれは、昨日の職員会議で決まったことだ」「生徒には相談なしに決めんのかよぅ!」「何で、警察まで呼ぶ必要あるんですか?」「おかしいじゃねぇか!」「日頃、先生が言っている民主主義とは違うじゃねぇか!」「先公は、オレ達を怖がってんじゃねぇのかぁ」「まあ、とにかく決まったことなんで、君たちは最後までキチンと行動を取るように、以上だ」「まだ、話は終わっちゃねえじゃねぇかよぅ!」担任は、生徒の罵声を浴びながら逃げるように教室を出て行った。しかし、騒ぎは一向に収まらない。 私のおススメ紹介コーナーそろそろ節分・ひな祭りなどの日が近づいて来ましたネ。カシミヤ・ベビー・ベア7匹のセット【初節句のお祝いに♪】積み木としても遊べてインテリアにもピッタリ!木製のかわいいひな人形h...『童謡歌手 川田正子 ~いつも私のそばには、歌があった~』『川田正子 歌手生活60周年記念盤 心の歌 みかんの花咲く丘』『歌うハーモニカ 大石昌美~喜寿記念・新録音~』『芹洋子全集』
2008年01月23日
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「乗船!乗船!」と、叫びながら船会社の社員が乗客にハシケへ乗船する様促していった。人々は、我先にといわんばかりに、桟橋からハシケに飛び乗った。十五人から二十人程乗った所で、ハシケは波に見え隠れしながら沖合いに停泊している橘丸に向かった。やっとの思いで乗船した滝子は、荷物を船室に置くとデッキへ駆け上がった。生まれて初めてみる島の景色に「あだん、島しゃんは、ぼうけろんて、でぇーじけじゃーの」と歓声をあげた。自分が想像していたよりもかけ離れていた島の景色の美しさに、驚くと同時にただ呆然と見とれいた。いつの間にか来たのか昌義は、滝子へ厳しくそして優しく言った。「滝子。もう二度と島しゃんへは、けーろんてはなきゃよ。ひっかするなよ」いつのころからか、島を出て行くと言う事は、再び島へ帰ることは許されないのだと聞いていた。「おい、・・・・・・。」と滝子は、小さく返事をし頷いた。これからは自分ひとりで生きていかねばならないと、諭しているのだと、昌義の言葉より感じた。いつしか島影が滲んで見え、頬に熱いものが込み上げ溢れてきた。島に別れを告げる汽笛が二度三度鳴り響き、船内にドラの音が鳴り、蛍の光が流れた。闇に包まれ始めた桟橋に向かって、滝子は夢中に手を振り叫んだ。「とうちゃーん、かあちゃーん、あばよーい、あばよーい。・・・・・・。」滝子の声を掻き消すように、汽笛が長い尾を引いてまた鳴った。滝子のこれからの人生を暗示するかの様に、船は「黒瀬川」と呼ばれる黒潮の荒波に向かって、静かに島を離れていった。滝子十六歳のたびだちであった。 私の八丈島おススメ紹介コーナー今回ご紹介するのは、「滝子が八丈島を旅立った港」の大賀郷・八重根港です。大坂トンネルより大賀郷・八重根港と八丈小島を望むフォトは此方のページよりお借りしました。http://homepage3.nifty.com/papilio/topix/hachijo0704.html
2008年01月22日
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数日後の昼休み、秋彦は行雄をつかまえて言った。「行雄。この間の話だが・・・。」行雄は嬉しそうに頷き「ああ。伝えてくれたかい?」「それが・・・。悪いんだけれど・・・。」「・・・・・・・・。」「俺には、言えないよ」「なぜ、言えないんだよ?」「つまりそのぅ・・・。今、俺と奈津子は付き合ってんだよ。」行雄は、驚いて聞き返した。「何だってぇ! 前にはそんなこと言わなかったじゃねえかよ」「だから、お前が言ってきたときに、奈津子は駄目だと言ったじゃねえか」「きたねえよ、そんならなんであん時そう言わねえんだ」「・・・・・。そう言う訳なんだ。諦めてくれ」「わかったよ! しかたねえな・・・。」「すまねえなぁ・・・・。」行雄は、しょんぼりと肩を落とし秋彦の前から去っていった。秋彦は、明日からは必ず奈津子と会話のある交際をしようと心に誓うのだが、やはり、奈津子の眼差しを浴びると何ひとつ、言葉は出てこなかった。 私のおススメ紹介コーナー名入れチョコラッパー(12個入り)-キャラクター-外国のタバコみたいでカッコいいパッケージのチョコレートです。シガレットチョコ 3個セット ...【2008バレンタインチョコ】パティシエの手づくりトリュフ・7粒入(ラッピング済)【パティスリ...シンプルな板チョコだからこそ上質なチョコレートを!義理チョコにピッタリ♪もちろんご自分用...
2008年01月20日
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桟橋の沖合いに、今朝がた入港した橘丸が乗客や積荷を降ろし終え、今は静かに錨を下げていた。船の後方には、八丈小島の島影が滝子の目にボンヤリと映った。周りのざわめきなど、今の滝子には遠い出来事に思え、自分ひとりが別の世界に居るように感じていた。「滝子あねさ。クニしゃんに、いこごんとじゃーの」振り返ると、ニコニコと白い歯を見せ、従妹の沖山房江が何時の間にが来ていた。房江は、母たか江の兄沖山慎一郎の長女で、滝子とは一つ違いである。 房江は手に提げていた包を、滝子へ差し出しながら「何もなけんて、わるきゃーの」「あんど、きびわりぃ。なにもよっけじゃ」「滝子あねさ、こっちゃんになけと、寂しくなろーわ」「あがも、ふーちゃんと会えなくなろんて、寂しくなろーじゃ」そう言いながら二人は、手を握り別れを惜しんだ。滝子は、昌義が乗船手続きをしている間、父母や兄弟の一人ひとりに声を掛けながら、まだ見ぬ世界への不安と憧れに、心が揺らいで行くのを感じていた。船は午後六時に出航の予定で、乗船は三時だと昌義が伝えて来た。滝子はいよいよ島を離れて行く、そう思うと何か胸が締め付けられ、息苦しさで顔の色が変わってゆくような気がして、自分が恥ずかしくなり、出来ることなら此処から消えてしまいたかった。 私の八丈島おススメ紹介コーナー八丈島の超特産品をまだ、ご賞味シテイナイあなたへ!!真空パック1枚入り!春飛魚くさや(大) 高級品!今が旬です!今月限りの豊漁価格♪出来たて販...アウトレット激安!脂したたる!大トロ・中トロ混合くさや1kg八丈島特産 本格芋焼酎 島流し 35°700ml東京都 八丈島酒造私の食べ方クサヤをアルミホイルで包んでグリル入れ、焙る程度に焼く。身をほぐし、マヨネーズにお醤油をかけて食卓へ出す。あなたも一度は島酒と共にご賞味あれ!!
2008年01月19日
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その日、彼女と約束をしたテニスコートへ行くと、どうした訳か何時もならばとっくに来ている筈の彼女の姿が見えないではないか。いつもわたしが来るのが遅いと口を尖がらせて怒る彼女のそこが可愛いのだけれど・・・。わたしはベンチに腰をかけ、彼女の登場を待つことにした。がしかし一向に現れる気配が無い仕方がないのでロビーに戻り待つことにするかと思い、ベンチから腰を浮かせた時「ゴメン。ゴメン。」と彼女が手を振り走って来るのが見えた。「どうしたんだよ!」「・・・・・・・。」「遅いじゃないか!」彼女は、赤いタオルで首筋を押さえながら「ごめん。出かけようとしたら・・。」「あんたも知っているでしょ。三重子から電話が来たの」「・・・・・・・。」「それでちょっと長話してさ。遅れちゃたて訳よ」「なんだそうか、オレはまた何かあったかと心配したよ」と彼女のおデコを軽く指で弾いた。「痛い。もお。後でお昼をご馳走するつもりだったのに!」と彼女は顔をしかめ口を尖らせたが、目は嬉しそうな今日この頃。 私のおススメ紹介コーナー管理栄養士が健康と栄養を考えて創ったダイエット食品
2008年01月16日
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奈津子が帰り支度をしていると、弥生が声をかけ教室を出る素振りを見せた。「奈津子、早くしなよ。先に行くよ。」「ちょっと待ってよ。今行くから」彼女は、慌てて鞄をつかみ弥生の後を追いかけながら声を張り上げた。「ところで奈津子。彼とは上手くいってんの?」「それが、話らしい話はまだしていないの」「あきれた。まだしてないの」「うん。でもいいの。あたし彼の目をみれば彼の気持ちがわかるから・・・。」「わかるたって・・・。それじゃつまらないじゃない」「それに・・・。時々はしてるし・・・。」「してるって。何を話してんの?」「この間もね。彼にテストの点数を皆んにばらされちゃたの。」「それは、あんたを苛めてるんじゃない」「そうかも知れないけど。でも、あたしに何かをしたくてしているのが、わかるんだ」弥生は、半ば呆れ顔で「あんた達の関係は、おかしいよ。あたしには理解できないなぁ」「おかしいかなぁ・・・。」と、奈津子が小首を傾けると弥生は、駄目を押すように言った。「変だよ。絶対におかしいよ」「そうかなぁ・・・。でも時々は手紙もくれるし・・・。」「毎日会っているのに手紙って、ますます訳がわかんないなぁ」と、弥生は頭を掻いた。奈津子は明るく、弾んだ声で「あたしはね、いつかきっと、ゆっくり話しをする時が来ると思っているの」「そうね。あるかもね。それまで待つことだね」奈津子は、小さく頷いた。「まあいいわ。とにかく上手くやんなよ。じゃあねぇ」「うん。ありがとう。じゃあまたあした」奈津子は、弥生とバス停で別れると沈み始めた夕日に向かい歩き始めた。 私のおススメ紹介コーナー貴女は今度のバレンタインデーに、貴女のイイ人に何を贈るかもうお決めになりましたか?それとも義理チョコじゃ~チョコットかわいそうですよ!そこでこんな物を見つけました。1945年、イタリアAGOSTINI一族によって設立された【イカム社】。素材にこだわり、世界各国から...★【海外おみやげ(お土産)】エスプレッソチョコレート 6箱セット中国 > 食品 天津甘栗チョコレート 6箱セット人々に幸せを運ぶ、ベルギーの「お菓子」たち。ノンシュガー ベルギーチョコレート 6箱セット...
2008年01月15日
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昭和八年三月その日、滝子は朝からせわしく家の仕事を済ませると、荷物をまとめ始めた。荷物といっても着替えが二つ三つそして、この日の為にと、たか江がこしらえた着物(黄八丈)だけである。それを小脇に抱えて家を出ると、庭の木々、中でも特に好きな、しゃめん花(ソテツ)に向かった。滝子は、「あが、クニさいこーじゃ。しばらく会えんなろーわ、元気でよい」また、玄関の前にあるタコノキや石垣の椿にも、語りかける様に手を触れた。「うぬたちも、元気でよい、あばよい」家のたたずまいを胸に焼き付けるかの様にもう一度見渡し「フー・・・・・・・・。」と、ため息に似た声を漏らした。不意に「滝子。あんどしてると、どんごめが!」石垣の外から昌義の怒鳴る声が聞こえ、滝子は我に返った。駆け出しながら「おーい。今いこごんて」外に出ると皆がワイワイと騒ぎながら歩き始めていた。滝子を大賀郷の八重根港まで見送る為だが、家族全員で家を出ることは滅多にない。まるで物見遊山にでも行く賑わいであった。八重根港までは、樫立地区を通り大阪トンネルを抜けて行かねば成らない。道のりにして約五キロ、一時間余りである。 私の八丈島おススメ紹介コーナー南国と言えば、この木ですネ。ソテツ「別名(しゃめん花)」しゃめん花の言われは、ソテツの赤い花が咲くと、不思議なことに何人かの流人が必ず御赦免になった。その為、流人達はソテツの赤い花が咲くのを待ち焦がれたという。八丈島ばかりではなく流人島として使われた多くの島々にも、似たような話は有るそうです数年余り前に「三沢あけみ」と言う歌手が歌ってヒットした「島育ち」と言う唄の歌詞の中にも有りました。文字通り地面を覆うように広がる背の低い植物のことをいいます。高木や低木の足元などの殺風景...ソテツ 陶器鉢入り重厚な雰囲気を持つ観葉植物です。八丈島の流人は宇喜田秀家が第一号と言われています。フォトは此方のページよりお借りしました。またお墓のより詳しく説明がなされており、興味のある方はアクセスをどうぞ !!http://www.hakaishi.jp/tomb/tomb/07-20.html
2008年01月13日
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年が明け、新学期が始まるとふたりは、進学のための準備に追われ、一日中ほとんど机に向かっている日々が続いていた。そんなある日、秋彦にとってショックな噂が流れてきた。それは、奈津子がクラスメートの行雄と付き合っていると言うのである。だが、奈津子の視線は、いつもと変わらない目をして見つめている。少なくとも秋彦にはそう思え、また感じていた。数日後、秋彦が机に向かっていると、行雄本人が声をかけてくるではないか。「秋彦、ちょっと、いいかな?」彼は、少し驚いたがすぐに動揺を押さえながら答えた。「ああ。いいよ。なんだい。」「じつは、相談したいことがあるんだ。」「相談?・・・。俺にか?」秋彦は、怪訝そうに聞くと、行雄は、顔を赤らめ頷いた。「うん。そうなんだ。」「・・・・・・・・。」「じつは・・・。そのう、頼まれてくれないか?」「何をだい?」「あのう、奈津子さんに・・・。伝えてほしいんだ。」秋彦は、行雄の口から奈津子の名がでた途端、狼狽し心臓が激しく音を立てた。そして語気を荒げて言った。「奈津子に。奈津子に何を言うんだよ?」「俺のことを・・・。どう思うか聞いてほしいんだ。」「何で今更、聞くんだよ。噂によると、お前らつきあってるんじゃねえのかよ?」行雄は、頭を掻きニヤニヤしながら「それは、嘘だよ。だいいち、まだ話すらしてねえよ。」「ほんとうか?」「ああ。本当だよ。だからこうして頼んでいるんじゃねえか」「・・・・・・・・。」秋彦は、奈津子を信じてはいたが、漠然とではあるが心の隅であるいはと疑念を抱いていた。しかし、行雄の言葉でそれらを吹き払うことができた。「奈津子はまずいよ。駄目だよ。なんで、俺が聞くんだ。」「いやあ。他の奴にこんなことを頼めなくてよう。頼むよ。」と、行雄は、顔の前で両手を合わせ拝むまねをした。「困ったなぁ。」秋彦は、腕を組み思案げな顔をした。内心は行雄がピエロのように思え、おかしさを堪えていた。「わかった。期待に添えるかどうか判らないが考えとくよ」行雄は頷き、嬉しそうにその場を離れていった。秋彦は、行雄の後を目で追いながら『さて、どうするかだなぁ』と、ひとり呟いた。 私のおススメ紹介コーナーお正月が来たと思ったら、今日は一月十三日で日々の立つのは早いですネ。と言うわけで。お餅やらお酒を沢山お召し上がりに成ったことと存じますが・・・。さぞや気になるお×××などが出てきてお悩みの貴方におススメ !! ダイエットも、美肌もお任せ♪無敵の漢方で!累計12000個完売記念20%増量一日一回の習慣で、あ...【ターボセルバミューダジップ】ファスナー付きで脱ぎ着しやすい!太もも丈ダイエットパンツ★...
2008年01月13日
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滝子は、父小宮山松太郎、母たか江の三番目で長女として大正八年に生まれた。松太郎は八丈島・中之郷で猫の額ほどの畑でサトウキビをなどを作り、たか江は機織りをしていた。生活は豊かとは言えなかったのである。滝子の下にはまだ七人も弟妹がいる。昌義は「オイラ、少し寝ろんわ、十二時なろんて起こしとう」と言いながら、そこにごろんと横になった。滝子は台所に行き茶碗を洗いながら、雑誌などでしか見たことの無い東京を想像していた。いつの間に来ていたのか、すぐ下の妹芳子が手伝いながら「あだん、あがは滝子あねが、クニさいこごんと、よっけじゃと思う。」「・・・・・・・。」「あがが、代わりさするのんて、家しゃんは心配なっきゃ。」「・・・・・・・。」「あがも、クニさいこごんと、思うとじゃ」と、芳子が胸を張るように言った。その仕草が可笑しくて滝子が笑うと、芳子も声を立てて笑った。最後まで反対していた母のたか江だが、滝子の東京行きを承知するしかなかった。 私の八丈島おススメ紹介コーナー今回、ご紹介するのは作中で、母たか江が織っている『黄八丈』です。起源は古く、室町時代には朝廷などへの献上品としての記録もあり、また江戸時代に入ると将軍家の御用達品として献上されていました。黄八丈とは八丈絹の俗称である。特色は他に見られない独特の染料と優れた染色技術があげられる。寒中清浄な水を選んで染められた。染めあがった色は、黄・樺・黒の三色である。黄の原料は山野に自生する『ごぶなぐさ(島名かりやす)』、樺は『たぶ(島名まだみ)』の木皮、黒は『しい(島名いたじい)』の木皮をそれぞれの工程で染め上げる。今でも、織り上げるまですべて手作業である。現在でも島にとっては貴重な特産物となっています。東京都無形文化財技術保持者【山下八百子作】市楽織黄八丈着尺 t251※送料無料※バリエーション豊かに楽しむ 和装・着物黄八丈羽織紐付きアンサンブル(J2754)身丈...
2008年01月09日
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数ヵ月後、市内七校による合同音楽祭が開催され、共に音楽部に所属する二人はこれに参加した。奈津子と秋彦は、学校を出るときは所属部別に集合し駅まで来たが、開催校の正門をくぐる頃には、二人はどちらからともなく一緒に歩いていた。奈津子は、会場となる講堂に入ると、秋彦たちブラスバンド部から少し離れた前方へコーラス部員たちと着席した。プログラムは、独唱から始まりコーラスと続き、奈津子たちは六番目に出場した。それまで他校の発表をぼんやりと聞いていた秋彦だが、彼女が舞台に立つとじっと奈津子ひとりを見つめていた。やがて、午前のプログラムも終わり、休憩時間となった。会場のあちらこちらで昼食をとる輪ができ、歓呼の声が響いている。奈津子は、部員と共にその場で昼食をとった。秋彦は、晴男と黄金色に染まり時折、葉を散らしている銀杏の木の下に腰を下ろした。午後のプログラムが始まり、コーラス、独唱、演奏と進み、各校のブラスバンド部の演奏が始まる頃には、場内は熱気を帯びてきていた。秋彦たちは、音楽祭の最後に舞台に登場した。秋彦は、トランペットを奈津子に対する思いが届けとばかりに、心を込めて吹いた。音色は会場の講堂を抜けて、夕暮れに紅く染まり始めた秋空へいつ迄も響き渡った。しかし、奈津子と秋彦には、その後も会話らしき会話もなく、ただ季節ぱかりが流れた。 私のおススメ紹介コーナー今年も一年健康で過ごしたいですネ。と言うわけで健康にはお酢が良いそうなのでこれをおススメします。すっぱいのがどうしても嫌ならカプセルで飲もう!【すっぱくな~い!手軽に飲める】黒コウジ酢...
2008年01月05日
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ひとしきり東京の話をしていた昌義が、「そうじゃ」と思い出した様に、包を広げながら「クニさでは、中折れ帽子が流行っとうじゃ。親父も被ればよけだら」松太郎へ笑顔で差しだした。「きびわるきゃのー。オイラはさ、こいなハイカラなもん、似やわんのじゃー」と、そう言いながらも、まんざらでもなさそうに、中折れ帽子を受け取った。「ところで親父よ。年さ明けからば、滝さオイラの所へ寄こしてはよけじゃーの。滝さ来年には、十六になろんて、子守さやろごん、しょもなかとうじゃ」と昌義は言った。松太郎は帽子の鍔をなでながら「あだんのう、オイラもそろそろ働きに出さんと、思うととじゃーの」機織りをしながら、二人の会話を聞いていた、母たか江がてを休めて「滝子ばクニさ、今いこごんと、だいが家しゃん見ると、あがは反対じゃよい!」と、冷たく言い放った。昌義もついむきになり声を荒げて「あだん、今は一人でも多く働かねば、こっちゃんでは食っていかれんなか!」と言った。大工仕事に出かける用意をしながら側で聞いていた次兄の孝男が話を取り持つ様に「兄貴もお袋もさ、気持ちさ判ろうじゃ」「・・・・・・。」「やっぱり滝子さ本人の意思さ大事じゃと思うどうじゃ」そう言いながら滝子の顔を見た。滝子はうつむいて着物の袂をいじりながら、長兄と共に行って見たいとは思って見ても、やはり家のことも気にかかった。昌義はそんな滝子を見つめながら聞いた。「滝子。うぬはオイラの所で働く気はないか、考えやれ」滝子はうつむきかげんに「あがは、クニさいこごんて、家しゃんがこと・・・。」精一杯そこまで言うと、あとの言葉を呑み込んだ。「滝子。今すぐに答えさだそんて、なきゃよー。」「・・・・・・・・。」「後でゆっくり相談すればよっきゃ」孝男がそう言って道具を背負いながら家を出て行った。それをしおに各々がその場を離れた。滝子は、ちゃぶ台の上を片付けながら、父と母の様子をチラリと見やった。松太郎はヤマの道具を背負い籠に入れながら家を出る所だった。たか江は、やっかいな話を持ち込んで来た昌義へため息を送るとまた、黄八丈を織り始めた。 私の八丈島おススメ紹介コーナー今回はお正月とか、お目出度い日に島では必ず食べられるお餅で、その名は『カンモ餅』と言います。サツマイモ「唐芋(丸い形をした物)」を茹でて、天日干した物ともち米を合せてついたお餅です。焼いて食べるのですが、香ばしくお芋の甘さが何とも言えず美味しいです。機会が有れば貴方もぜひお召し上がれ! ちなみにカンモとはサツマイモの島での呼び名です冬季限定品!島の 「かんも餅 」(八丈島のサツマイモ入り餅)一本
2008年01月05日
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彼女も明日の予定には、私の希望をヤットを聞き入れ白樺湖でワカサギ釣りをする事になり早速、私は宿の女将にワカサギ釣りの道具の用意を依頼した。予定はこうだ。午前中は一緒にスキーをやり、午後は、彼女はスケートをしながら、私のワカサギ釣りに合流する事にした。午後になり、私は女将が言っていた湖の指定された場所に行き管理人から釣竿一式を受け取り管理人が湖面の氷を割り開けてくれた穴から釣り糸を垂れた。寒さ避けの犬小屋の様な物も同時に借りた。小屋の中は丁度二人ほどが入れるスペースあり、床に穴が開いていた。しばらく一人で釣りを楽しんでいると、彼女かやって来て小屋の中を覗き込み「まるで犬みたい・・・。」と声を上げて笑った。「あんまり大きな声を、出すなよ!」「・・・・・・。」「魚が逃げちゃうよ。」「あっ!。ゴメン」と言いながら彼女はペロリと舌を出した。「とにかく、中に入れよ」「うん。・・・。」「案外、中は暖かいんだね」私は、得意げに「そうだろう。だから止められないだよ」管理人が終わりの時間を告げに来るまで、釣りを楽しんだ今日この頃である。 謹賀新年明けましてオメデトウ御座います。 今年も私のつたないブログをよろしく。 私のおススメ紹介コーナーと言うわけで、おススメはこれです。今の季節にピッタリ!! 取れたて ワカサギ 小川原湖名産 たまご入りわかさぎ 500g
2008年01月01日
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その日私は、いつもの浜辺で釣り糸を垂れていた。餌を変えようと思いリールを巻き上げ始めた。巻き始めて暫くすると突然リールが重くなり止まってしまった。オモリが海の底の何かに絡んでしまった様だと思い、私は『しまった!』と舌打ちをした。竿を引けれどビクともしない。半ばヤケクソに成りながらも必死でリールを巻いたり、竿を強く引いたりしていた。すると突然、『パッカーン』と釣り糸が切れた様に軽くなった。私は『やれやれ』と思いながらリールを回し巻き始めた。しばらくするとオモリが上がって来たのを見て『おや!?』と感じながら尚もリールを巻くと、また竿が重くなり、私は、一体どうなっているのか状況が掴めなくなっていた。兎に角巻いていると今度は何かが浜辺に上がって来るのが見えた。私は思わず『あっ!?』声をあげた。其処にはナント大きめの平目が揚がっているではないか。慌てて糸を手繰り寄せて掴まえた。周りに居合わせた釣り人たちも駆け寄ってきて、私の釣り成果を一緒に喜んでくれた。
2008年01月01日
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