湯治屋は本当に水戸黄門が泊まっていたか、あるいは寅さんが泊まるような隣の部屋とは襖一枚の宿、当然一番安いが隣の音は漏れるし、木造だから廊下を歩くたびに軋む。上の階で人が歩くと、怪獣が暴れているような音がする。
若葉荘は上下に部屋が無いし、隣との音もほとんど聞こえない。鍵がかかるのも一安心。初夏なら窓下の川面からカジカガエルの鳴き声も聞こえる。
ただし、部屋は少し古く部屋にトイレも洗面所もない。食事なしが基本だから、自炊するか食事処「やはぎ」(安くて美味い)へ行く。
若葉荘を含め湯治屋の方は冷房はない。暖房もこたつと石油ストーブであり現代の冷暖房になれると辛く、真夏と真冬は近代的な山水閣しか私の選択肢にはない。
最近は自炊の方に泊まる元気がなく、年中山水閣だ。
その中で私は一番東にある部屋が気に入っている。
とても気持ちの良い川沿いの露天風呂は西の端にあり遠い。どのくらいかかるかゆっくり歩きストップウォッチで測ったら5分45秒だった。往復11分半だ。
露天は遠いだけではなく、その道筋が楽しい。
自炊部の帳場、売店、食事処、自炊用の台所、築
220
年というギシギシいう廊下をたどり、階段を数段上がったり下がったりした先にある。

撮影禁止との札が貼ってあるので、さすがに正面からは写せない。この葉隠れに一枚。こちらの対岸から露天風呂は丸見えだが、そういうことを気にしていると個々の風呂は楽しめない。