今回の修理は、「 SHARP GF-208ST ステレオラジカセ(1980年製造) 」だ。ラジカセが一般家庭にまで普及し始めた年代の一台だ。
■主な故障と原因
■修理作業
本機も、30年以上前のものだ。ゴムベルトをはじめとするゴム系部品は全て劣化し、使用できる状態にない。また、電気接点を持つボリュームやスイッチ類も、接点にカーボン汚れが付着し、正常な電気導通が期待できる状態にない。
これら部品を中心に修理作業を進めることになる。

動作確認後、分解する。ゴム系部品が劣化して溶け、駆動部にねっとりと付着している。また、潤滑材であったグリスも油分が抜け、メカに固着している。 まずはこれらのクリーニングを行うが、きれいになるまで、かなり根気の要る作業だ。
劣化したゴム系部品を交換するのだが、当然なが既にメーカーには在庫も無く、取り寄せることはできない。よって、代替部品を探したり、無ければ自作をすることになる。これも時間のかかる作業だ。

このころのスピーカーは紙と布を基材にしており、まったく問題なく音が出る。これは大変ありがたいところだ。
ボリュームやセレクタなどのスイッチ類はハンダ付けを除去して取り外し、分解をして接点を丁寧にクリーニングする。研磨しないと付着したカーボンが落ちないことがほとんどだ。
電解コンデンサなどの電子部品は交換せずに修理することができた。これはラッキーだ。
この機種は、足掛け15日、延べ40時間を要して修理が完了した。この年代のラジカセなので直せるが、2000年代後半以降の機器は、電子部品の極小化、高集積化、専用マイコンの多様化が著しくなり、修理できないことの方が多いのは悲しいところだ。
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