「障害理解教育」の第4回です。
「理解教育」に使えそうな 絵本 をもう少し紹介しておきます。
『
十人十色なカエルの子 特別なやり方が必要な子どもたちの理解のために』
(落合みどり
)
この本は僕は授業で使ったことはありませんが、同僚の先生が使われていました。
おそらく、世間一般ではよく使われている本のような気がします。
絵本以外 で、有名なところとしては・・・
『
五体不満足』
(乙武洋匡
)
うちの支援学級の 学級文庫 においてあります。
表紙の写真が、そうじに来てくれる通常学級の子どもたちにとってショッキングなようで、いろいろと質問されます。よく知らないと「こわい」とか「ヘン」ということを言う子どもたちもいますが、丁寧に話をすると、「そうなんだ」と、わかってくれます。『五体不満足』にはいろいろな装丁の本がありますが、表紙だけで子どもたちと話ができるのは、初期の本の装丁かもしれません。
抜粋版が、『 齋藤孝のゼッタイこれだけ!名作教室(小学4年 上巻)』
に収録されています。
電動車いすの使用を禁止した「高木先生」のエピソードが載っています。
この部分だけ読んでも、非常に考えさせられます。
子どもたちの前に、先生方に読んでもらいたい、エピソードです。
こういった作品を読みあっての意見交流とか、ぜひやりたい、と思っています。
「高木先生に賛成」派と「反対」派で議論したりとかも、おもしろい。
▼『 読解力がグングンのびる!齋藤孝のゼッタイこれだけ!名作教室』(小学4年 上巻)
(齋藤孝
、朝日新聞出版)
ほかに、宮沢賢治の『 虔十公園林(けんじゅうこうえんりん) 』という話では、知的障害と思われる方が主人公になっています。
Wikipedia には、「 知的障害をどう見つめていたかが書き綴られ、時代に先がけてノーマライゼーションの可能性に言及した点で貴重な作品である」 と紹介されています。
「ああまったく だれがかしこく だれがかしこくないかは わかりません。」 という言葉が、非常に印象的です。
前の勤務校では6年生が宮沢賢治作品をたくさん読む中の一つとして読んでいて、僕もそれで初めて知りました。
これも、子ども向けに振り仮名と読み方のガイドがついたバージョンが、『 斎藤孝のゼッタイこれだけ!名作教室 小学2年 下 』に収録されています。
斎藤孝さんは2年生用の本に収録されていますが、きちんと作品と向き合うなら小学校高学年ぐらいからでないと、と思います。
第1回
のときに、
「『障害理解教育』という呼び名がふさわしいものなのか、というのは、けっこう微妙なところです。」
と書きました。
伊勢での勉強会でお出会いした奈良の先生は、
「うちの学校は、『多様性教育』と呼んでいます」
と言われていました。
僕も、「そっちのほうが、いいかなあ」という気がします。
「障害」の有無にこだわらず、それも包括して、いろいろな子どもがいること、いろいろな人がいることを理解することをねらいとした教育。
「障害」という言葉を出すと、「障害とは何か」といった理解が必要になるので、それはそれで必要な場合はあるかと思いますが、まずその大前提として、「人間いろいろだねえ」という学習ができたら、と思っています。
だって、せまい世界に生きていたら、「こんな人がいるんだ」とか、「こんな考え方があるんだ」ってことを、知らずに大きくなることって、ありますからね。
僕は、前年度の6年生に向けて「理解教育」の授業をしたときには、大きく「多様性」というテーマで授業をしました。
そのときは、法隆寺の宮大工の言葉を例にだし、「法隆寺が千年持っている丈夫な建築であるために、使われている材木は『 不揃いなほうがいいんだ 』ということを言っている方がいる。『みんな同じ』はもろい、『不揃い』だからいいんだ、と言っている」という言葉を提示し、多様性ということについて、その意味や意義を、みんなでいっしょに考えました。
このときの参考資料は『 不揃いの木を組む 』 でした。
『 不揃いの木を組む
』
(小川三夫 )
この世の中、「 多様性 」について考えるきっかけは、いっぱいころがっています。
僕がやってきた取組も、そういったきっかけのひとつとして、役立つようであればうれしいです。
また他の方の「理解教育」、「多様性教育」の実践や使用教材についてもお聞きしたいです。
コメント等でお知らせいただければ、幸いです。
それでは、また!
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