** 長島便り **

2004/02/03
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テーマ: 韓国!(17924)
カテゴリ: カテゴリ未分類
これは私が初めて韓国でアボニム(夫のお父さん)のお墓参りに行った時のこと。


韓国のお墓は山ひとつに親族が並んで葬られているのが一般的です。
山の片面の木を削って、傾斜に更にこんもりと土を盛って、そこに一人が眠る。そのこんもり小山が、ひとつの山の1/3位の面積に幾つも幾つも連なって、ひとつの家族のお墓が形成されています。
あの小さな国土でこれからもこの形式のお墓が増え続けたら、韓国の土地はとんでもないことになってしまうのではないかといつも心配でなりません。

お墓参りにはまず、敷物、お酒、果物、魚の干物、うちのアボニムの場合はタバコ等、一瞬「ピクニック?」と思ってしまうようなアイテムを必須で持って出かけます。
そしてお墓に着くと、持ってきた敷物を広げ、食べ物を並べるのです。
日本人の私には、見た目もまさにピクニックなのです。

お参りの仕方も、日本のそれとは異なって儒教の国ならではの大変丁寧なお辞儀をしてお参りをします。膝まづいて両手を地に着き「ははぁー」とひれ伏す様な礼を繰り返します。持って来た敷物はこの時大活躍です。あまりの恭しさに私は思わず面食らってしまったのを覚えています。



アボニムのお墓からもう少し上へ登った所に樹を植えようと、この日はここへ来る途中2本の木を買ってきました。
アジュボニムと夫が植林をするので、私も一緒に山の上の辺りへ行き手伝いました。

その時ふと、ふもとのアボニムのお墓に目をやると、ヒョンニムが敷物をたたみながら、なんと、足でアボニムの眠るこんもり小山をエイッ、エイッと踏んづけているではありませんか!

私のとっさの反応は「やばっ。。。」と思って見ない振り。。。。
目をそらしてから、またそ~っと下を見ると、踏みっ、踏みっ、踏みっ!とまだやっている。。。お~い、お義姉さんよ、それはまずいでしょう、いくら何でも!さっきの恭しいお参りの態度とは裏腹に、そんな~!

幸い夫もアジュボニムも彼女の行動にまだ気づいていない様子。
「ヒョンニム、早くやめれ~、早くやめれ~」と心のなかで私は叫んでいました。すると、無事植林を終えた夫とアジュボニムが「さ、下へ降りようか」と言ってスコップを担いで、ヒョンニムのいる方へ向かって山を下り始めたのです。あ~、知らないよ~、知らないよ~、あたしは知らないよ~!

そんな二人に気づかずヒョンニムはまだ一生懸命に、踏みっ、踏みっを続けている。夫とアジュボニムはヒョンニムが見えているのに、何も言わない。ただ足元に気をつけながら無言で山を下っている。今目にしている光景が信じられなくて言葉も出ないのか?! あ~、クワバラ、クワバラ。。。という気持ちで私も下山。

ヒョンニム:「樹は上手く植えられたの?」踏みっ!踏みっ!
アジュボニム:「ああ、植えたよ」担いでいたスコップを下ろす。
(韓国語が分からなかったけど、たぶんこんな感じの会話だったと思う)


と一瞬頭の中が「?」マークだらけの私の前で、今度はなんと夫とアジュボニムまでが、敬愛なる父上の眠るこんもり小山の上によじ登り、てっぺんのほうをエイッ、エイッと踏んづけだしたではありませんか。
もうびっくりで、びっくりで、私は唖然。

私:恐る恐る「お義父さん、この真下に入ってるんでしょ?」
夫:「そう、だから芝生がはがれないように、こうして踏んであげるの。」

芝生か~、そうかそうか!芝生ね~!


日本は火葬の文化が一般的なので、アメリカや韓国の土葬の墓地に来ると、私はどうしても「ここにナマの○○さんが埋まってるわけね」と考えてしまう悪い癖があるのです。。。。

はぁ、それにしても良かった。。。
私は初めてっきりヒョンニムはアボニムに恨みでもあるのかと思っちゃって本当に怖かった。。。。だって、ナマのアボニムの顔の上かも知れぬ所を、あんなに美人で優しいヒョンニムが一生懸命踏んづけているのだもの。。。

とってもカルチャーショックな「初めての韓国のお墓参り」でした。







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最終更新日  2004/02/05 10:22:35 PM


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