8月25日いよいよ源治郎尾根の登攀日。源次郎尾根は南東から真っ直ぐ剱岳本峰へ突き上げる岩尾根(標高差約1000m)で途中には2つの顕著なピーク(1峰2709m2峰2770m)がある。剣沢方面からは美しいスカイラインが天を付く八ツ峰の方が目立ってあまり目立たない存在であるが、そのごつごつした山容は無骨な男性を思わせ、重量感に満ちている。またその傾斜の厳しさには登攀意欲をそそられる。
源次郎尾根 手前から1峰 ・2峰 左端の崖を懸垂下降して本峰剣岳に向かう
朝2時起床、3時出発。空にたくさんの星がきらめいて心が澄むような美しさである。冬の空に見るオリオンも大きく4角形を見せていた。小屋まえから右手の細道を下っていく。地面はガラガラの上に右手は灌木や草、左手は雪渓で道はよく見えず、ひたすらヘッドランプの光を頼りに注意深く下る。ほどなく雪渓に乗り移る地点に達し、アイゼンを装着。剱沢雪渓をぐんぐん下っていく。アイゼンがしっかり効いて気持ちよく下れるがけっこうは急勾配である。
かなり下った所で源次郎尾根への取り付きに到着。アイゼンをはずし、ヘルメットにヘッドランプをつけて45度の急勾配をほとんど四つんばいになって登ってゆく。這松と低い潅木類が隙間なく茂っている。それをかき分けたり、掴まったりしながら登る。そこに急に岩場が出て岩登りになったりもした。これがかなり長く続き、本格的岩場は少なくブッシュの急登が続いた。そのうち、夜が明け、周囲の風景がはっきり見えるようになった。眼下に雪渓が広がり熊の岩と呼ばれるテントサイトがしっかり見えた。さらに頑張って登りやっと1峰のピークに到着した。ここまでが核心部だった。高度を稼ぐにつれ、八峰がその鋭く天を付く姿がくっきりと見えて実にすばらしい景観だった。見るだけでもドキドキした。
豊富な雪渓と八峰・美しい空と雲
1峰の下は激しく切れ落ちてコルになりその先に2峰、さらにその奥に本峰剣岳が圧倒的な姿をどっしりと据えている。真っ青な空に白い雲の下、すべての峰峰が惜しげなく姿を見せてくれ至福の時だった。2峰までは比較的楽だった。2峰の最終ピッチは崖の懸垂下降になる。ここまで一番早く到着して最初に懸垂下降しないと待ち時間が長くてげんなりするので、早発してここまで真面目に登ったのだった。


2峰からの懸垂下降 地面に降りたってほっとする私
懸垂下降はいつでも緊張する。今日は諸般の事情でロワーダウンで下降した。そこから剱岳まで岩稜を詰めること小一時間、。剱山頂に人が沢山いるのがだんだん大きく見えるようになり、午前8時40分遂に剱岳に到着した。
剱岳山頂にて
山頂は登山者であふれていた。天気がよくて周辺の峰峰はすべて見え、最高だった。しかし山の天気は崩れやすい。しばし休息してすぐ下山にかかる。しかしここからが問題、一般ルートなので岩場やカニの横ばい辺りで大渋滞し、そこそこ時間を費やした。前剱、一服剱と岩続きの急坂を丁寧に下って剣山荘前につく。ここも大勢の登山者で溢れていた。剱沢小屋到着12時10分。充実の源次郎尾根登攀が無事終了した。
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