ジャンダルム(3163m)からロバの耳、馬の瀬などのナイフリッジを懸垂下降を繰り返して最低鞍部のコルまで下降する。これははなかなか楽しかった。私はこのような痩せ尾根の通過や懸垂下降で空中を降りるようなアクロバティックな動きは好きだし、体は柔軟で軽い(盲目的自己評価です)のであまり負担を感じない。
コルに着くと眼前にこれまた堂々と奥穂高が立ちふさがっている。天気が良かったので山頂の祠まではっきり見えた。目標が視覚に入っているので気持ちよく昇り、岩の急な斜面もフィニッシュが近いので身も心も楽々だった。
奥穂高岳(3190m)
奥穂高山頂からはこれ以上望めないほどの絶景で北アルプスの名だたる名峰がそろい踏み、至福のひとときだった。でも風が強くて寒かったのでしばらく景色を楽しんで下山にかかった。途中で血痕を発見!!白い雪の上に点々と赤い血痕が鮮明に続き、事故があったことを確信した。一度懸垂下降をする場所があるはずだったが状態が良かったので歩きだけで奥穂山荘まで下れた。山荘は雪の中に埋まり、赤い屋根だけが四角い形で見えていた。
雪に埋もれた穂高山荘
山荘前で写真をたくさん撮った。涸沢が直下に見えたが、テントはかなり少ない気がした。雪崩で入山規制もあったからその影響なのだろう。
涸沢のテント村
整った山容をすっくりと見せる常念岳(2857m)
前穂北尾根末端部と屏風岩 その奥に蝶ヶ岳の稜線
前穗高岳(3090m)と北尾根上部
遂に本日の終点穂高岳山荘に到着。午後2時半だった。早朝4時前にスタートして10時間余、ハードなルートだったけどとてもやり甲斐があり面白かった。アイゼンをはずしハーネス・ヘルメットを取った。体が自由に解放されるとともに心は達成感に満たされた。
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