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その大事なときに、ブラウン首相が大失態を演じてしまった。
記者を引き連れた地方行脚の途中で、有権者(支持者)とのやり取りを終えて、車に乗り込んだ後、放送用のピンマイクを外すのを忘れて、そのままスタッフに漏らした発言が、繰り返し放送されてしまった。
日本のTVでも、放送室のスイッチを入れたまま、全校生徒に聞こえていることに気づかないで愛の告白をしてしまったなんていう学園ドラマを見たことがあるが、本当に古典的なミスを、最もやってならない人が最もやってはならない時期にやってしまった。
ただ、日本で小さく報道されているこの事件の記事の内容を見て、大いに違和感を感じたので、そのことを書いておきたい。日本の報道では、ブラウン首相が、有権者の女性を「頑固者」と呼んだとか「偏屈女」と呼んだとしか書かれていないようだ。
ブラウンが言ったのは「bigoted women」という言葉。これを「頑固者」「偏屈女」と訳したのだろうが、文脈から見れば、明らかに「racist」(人種差別主義者)」という意味で使われている。
イギリスは、有史以来の戦乱と発展の歴史、植民地政策から発したCommonwealth(英国連邦)の盟主としての地位、EUの一員としての責任、世界の金融センターとして世界中の資本を集める国としての実益、などに配慮して、人種間の融合というものに大変気を配っている国である。
したがって、この国で「人種差別者」呼ばわりされるのは、何ごとにも代えがたい侮蔑であると思われる。だから、ブラウン首相も、すぐに引き返して、その女性に謝罪し、その後の記者会見でも「懺悔する」(I am a penitent sinner.)とキリスト教国では最大級の反省の言葉を発しているのだ。
日本の報道と実際の雰囲気の違いというのは、いろんな場面で発生する。トヨタ事件しかりだ。今回の件は、多くの日本人にとって何か影響のあるようなはなしでもないからよいが、本当に大事なことは原文のニュース等に当たってみるという習慣をお奨めする。
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