2020.02.09
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カテゴリ: 表沙汰
生まれてしまった理由がなんであれ、そこから細胞が増え続け、物心ついたころにはもう体が大きすぎて取り返しがつかない。細胞だけでない。運命的要素ももう増えすぎて、取り返しがつかない。私の中に住んでいる住民が多すぎて、住民たちの意見も多種多様、もう引き退いてもらうこともできない。

 悪魔的なプログラムは、そのような取り返しがつかない詐欺を、より広めようとする。「遺伝子を残したい本能」そのたったひとつのプログラムによって、詐欺はどんどん広がっていく。
 取り返しのつかないことが、どんどん感染拡大していって、増えていく。「遺伝子を残したい」という本能から生まれた別の個体もまた、「遺伝子を残したい」という本能から別の個体をつくる。

 ひとつの詐欺からはじまり、取り返しのつかないものが、ただ増えていくばかり。人間のなかには、常に「遺伝子を残したい本能」の時限爆弾がある。特定の年齢を見計らって、本能が強い力で個体を増やす欲求を爆発させる。子供の頃には、全くなかった欲求を。たったそれだけの悪魔的なプログラムだ。
 そうして取り返しのつかないものが、増えていくばかり。

 新しい年になって、新しい周期に入るどころか、先祖帰りだろうか。葬式はお祝い事である。私たちのウイルスが、ひとつ減ったのだから。だが逆に、結婚式やら出産祝いは、悲しむべきことである。私たちのウイルスが、ひとつ増えたのだから。

 物質は、観測という運動をおこしてはじめて物理学でいうところの「運動」がはじまる。プリママテリアとは、観測それ自体である。
 それは超弦理論の開閉の違いかもしれない。まさに0と1そのものである。0を1にするのが観測という運動である。超弦理論は、どのような立派なグラフィックのゲームでも、つきつめれば2進数の数列に還元できる、ということと同じかもしれない。世界だってそれと変わらない。

 私たちの観測が、私たちの世界をつくる。世界をみるメガネが曇っていたら、世界それ自体が曇っている状態にある。シュレーディンガーの箱の中身を猫の死体と思えば死体がでてくるし、生きた猫だと思えば生きた猫がでてくる。



 そして私たちが宇宙に向かって、泣きながら必死で助けあるいは許しを求めるのは、この「遺伝子を残したい本能」をなんとかしてくれと、そういうことが全てなのである。それは別に生殖欲求ということだけではない、自分の命への執着が苦しみなのだから、その苦しみから解放してほしいということでもある。





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最終更新日  2020.02.09 14:56:55
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