*** かたり亭 ***

*** かたり亭 ***

2004.07.20
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
南房総のちいさな共同墓地への坂を上ると、

ちいさなころ、
丸っこい葉っぱをつけた細い茎の草。
子どものころ、
「ちりんちりんの草」と一人勝手に呼んでいた愛らしい草との再会。

牧師さんは、真面目な顔で、
「お父さんは肉体を持ってよみがえる」と言われはる。
「キリストと出合ったことが、最大の人生の幸福」だと言われる。

世界の何割かは存在するかと思うと、
どこまでも不思議だ。
父が入信した証拠をささやかな手の握り方に信じようとする。
簡素でアットホームな司式をしてくださるのはありがたいが、
もれなく宣教メッセージがついてくる。

式の途中で、地震が起こった。
それはちょっと不思議なタイミング。

お骨を包んでいた黒い十字架のついた箱が残された。
母は、「毎日遺骨をなでなでしていたから、
箱だけでも持って帰る」と言っていた。
そのことばを思い出すと泣けるのだが、

母は、羽振りのよい箪笥屋の裕福な生まれで、
若くして父親を亡くしてひとりで上京。

川柳を読めば、父は寂しがり屋である。
父を亡くし、兄たちを戦争などで失い、家を兄妹に譲り、
母と二人暮らしを始めることとなる。

なんと不器用な人だったのかと思う。

小さいころからずっと感じていたさびしさは、
父母に由来するのだと気づけば、
なあんだ、そうだったのか、と思う。
もっと早く分かり合えていれば、
別の人生もあったのかも知れないが、
最後の宝物としてありがたくいただきました。
いずれにしても昭和の激動の時代を懸命に生き抜いて、
しばしの至福の時期がやっと訪れたのに、
短くして終わってしまったのが、くやまれる。
死の直前にあれあれと思うほど
ちいさくかわいらしく思われた父の面影。

さびしがり甘えん坊で父と母

野口晴哉氏のことばを借りれば、
これから赤の時代になるのか、青の時代になるのか
わからない。
わたしもまた、変化する時代の中で
平凡に生きていくことを楽しみ、
苦しみ、そんなこんなで毎日を重ねていくのだ。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2004.07.20 23:49:16
コメント(4) | コメントを書く


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

PR

プロフィール

まき〜♪

まき〜♪

カレンダー

お気に入りブログ

555~1963.11.22. 穴沢ジョージさん

歌う母 しゃち音女(… しゃち0511さん
うるとびーずの ♪MY … うるとびーずさん
mikankan mika猫さん
ひよきちわーるど ひよきち0329さん

キーワードサーチ

▼キーワード検索

コメント新着

苺1500 @ 地震 いろり端、自然復活。でも地震被害のあま…
苺1500 @ 地震お見舞い 大丈夫でしょうか? 長野の皆さんは大丈…
まき~♪ @ Re[1]:おさかな(10/14) 小林とむぼちゃん 聴いてくれてありがと…
小林とむぼ @ Re:おさかな(10/14) 聴いて来ましたよん♪ 中々メイジャ音が…
まき~♪ @ Re:おさかな(10/14) ttp://www.myspace.com/makipsyche とむ…

© Rakuten Group, Inc.
X
Mobilize your Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: