趣味の漢詩と日本文学

趣味の漢詩と日本文学

August 24, 2009
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カテゴリ: 国漢文
【本文】廿二日、よんべのとまりより、ことどまりをおひてぞ行く。遥に山見ゆ。年九つばかりなるをの童、年よりは幼くぞある、この童、船を漕ぐまにまに、山も行くと見ゆるを見て、あやしきこと歌をぞよめる。そのうた

「漕ぎて行く船にて見ればあしひきの山さへゆくを松は知らずや」

とぞいへる。幼き童のことにては似つかはし。
【注】「山さへゆくを松は知らずや」の部分には何か典故がありそうであるが、未詳。
【訳】正月二十二日、ゆうべ停泊していた港から出発して、別の港を目指して行く。遠く遥かに山が見える。年齢九歳ぐらいの男の子が、(年よりは幼い感じだが)この子が、船を漕ぎ進めるにつれて山も同じように動いていくように見えるのを見て、風変わりな歌を詠んだ。その歌
「漕いで行く船において見ると、足を引きずるようにしなければなかなか越えられないような高い山までも進んでいくのを松は気づかないのかしら」と詠んだ。幼い子供の言葉にしては時に似つかわしい。

【本文】けふ海あらげにて磯に雪ふり浪の花さけり。ある人のよめる。

「浪とのみひとへに聞けどいろ見れば雪と花とにまがひけるかな」。
【訳】今日は海が荒々しい様子で磯には波しぶきが立って雪が降り波の花が咲いているなあ。ある人が詠んだ歌。





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Last updated  August 24, 2009 07:05:48 PM
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