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< 銀河間会議機構 >
「ところでタカシ、お金一度にあんなにたくさん引き出してどうするの?私に毛皮のコートでも買ってくれるってこと?」
「あ、いや、あのね・・・中途半端な額だと仕事やめるなんて言えないよね、うちのかみさんに・・・まだちゃんとした説明は聞いてないけど・・・今の仕事してたんじゃ出来ないんだろ、君の言う、メシアがどうのこうのって仕事は?」
「そうね、今夜にでも詳しく説明させてもらうけど・・・今のお仕事を続けていたんじゃ自由に動けないから・・・」
「やはりね・・・あの一億円は宝くじが当たったということにしよう。それだけあれば仕事を変えると言っても反対はされないだろう・・・」
タカシは、まだ「仕事」の内容を聞かされていない。それなのに、もうすでに「仕事」への心の準備を始めている。
(わたしの話を疑ってはいない・・・)
アンは嬉しそうに頷いた。
「あとは、何か仕事を・・・自由に動けて、しかも我々の大仕事?の隠れ蓑になるような仕事を見つけなければね」
「そのことなら大丈夫よ、心配しないで、私に考えがあるから・・・」
タカシは、「なるほど」という代わりに3回ほど頷いてみせた・・・けれど、彼の心の中には、どうしても消化できないものがあって、それが喉と心の間を行ったり来たりしていた・・・
「・・・やっぱりだめだ・・・」
「え!何?何がだめなの?」
「いくら大金を手にしたからって、何も知らないまま妻や子供達に胸はって、仕事を変わるなんて嘘はつけないよ・・・これは俺の性分だ、どうしようもない・・・少しでもいいから今この場で説明してくれないか」
「・・・それを聞いて安心したわ」
タカシはアンが不服そうな顔をする、そう思っていたのだが・・・反対だった。アンは嬉しそうに微笑んでいる。
「なにも知らないまま、次の仕事も決まってないのに家族に堂々と『仕事を変える』なんて、そんなこと言える・・・もしもタカシがそんな人だったら、わたしの中に不安な気持ちが生まれていたでしょうね・・・でも違った!やっぱりタカシは父が認めた人だった。だから安心した。話すわ今ここで!」
(心の準備はできている。さあ、話してくれ!)タカシは、運転席側のドアに背中をくっつけるようにしてアンに相対した。
全ての神経が彼女の次の言葉に向けられているということの表れであろう。
「まず、私達の任務を説明するわね。そうすればあなたの役目も理解し易いと思うから」
「わかった、どうぞ。君のシップを見たんだ、もう何を聞いても驚かないよ」
「そうお願いするわ・・・実は、わたしたちの任務は、この惑星で救世主を養成することなの」
アンは、ここでわざと間をおいた。彼女の告白したことは、尋常ではない。タカシが受けた衝撃を少しでも和らげようというアンの配慮だった・・・
「もう少し、続けてもいいよ」
(普通の人なら、ここで私の頭を疑うはず・・・やはり、父の判断は正しかった!)
「私達の『銀河間会議機構』では、もう何十年も前から地球の将来を危ぶむ声が上がっていたのね。そこで、ついに私の父が本格的に地球の現状を再調査して報告するために、世界中を廻ることになって、私も同行したんだけど・・・」
「ちょっと待てよ。パスポートは?アメリカ国籍は?どうやって手に入れたんだい?」
「『銀河間会議機構』のスタッフが初めて地球にやって来たのは、3000年も前のことなの。やがて定住するようになって、今では地球中の主要都市で暮しているわ。父も私もこの地球で生まれたのよ」
「じゃあ、その人たちは皆それぞれの国の国籍を持ってるってこと?」
「そうよ、我が家の先祖はイギリスに定住してたんだけど、何と、あの『メイフラワー号』に乗ってアメリカに渡ったのよ!」
「すごい!そりゃあ文句なしにアメリカンだよ!」
「でしょ、だからパスポートも本物よ」
「それにしてもすごい!あのメイフラワー号とはね・・・」
「そのくらいで驚かれてちゃ困るわ、まだまだ先があるのよ、タカシ」
タカシはため息まじりに言った。
「やれやれ・・・」
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