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< 2ケ月後 >
それから2ヵ月後、タカシは務めていた警備会社を円満退職したが、まだ次の仕事は決まっていない。
世紀の大事業を実現させるには、時間を束縛されていては思うように動けない。
マークがタカシのために用意してくれた資産があれば暮らしには困らないのだが・・・それを家族に告げるということは、好意的な異星人たちの存在をも知られる事になる。
アンの父親のマークが、実はアメリカの資産家などという嘘はタカシにはつけないし、いずれは本当のことを知られてしまう。最悪の場合、どこかの腹黒い連中に知られては彼の家族に危険が迫ることもないとは言えない。
幸いなことに、アンには心当たりがあった。タカシが自由に動けて、彼の家族に心配をかけることのない仕事を決めるため、彼女は今、生まれ故郷である懐かしいアメリカへ帰り、父親マークの古い友人の住む町を訪れている。
そんなアンには申し訳ないことだが、タカシは夏休み中の子供達と妻、明子を連れて東京へやってきた。
世紀の大事業が始まれば、しばらく家を留守にしがちになる。その前に家族を東京に連れて来たかったのだ。タカシがその青春を謳歌した東京を見せたかった。そして彼の大切な友人たちにも会わせたかったのだ。
「ここが、お父さんの青春の舞台だ!そしてこの人たちが、お父さんに素晴らしい時を過ごさせてくれた大事な友達だよ!」 子供達、特に息子には、人と人の出会いの素晴らしさを肌で感じて欲しい。常々、そう思っていたのである。
昼間は、若い頃頻繁に通い、給料前には「ツケ」で食べさせてもくれた大衆食堂に家族全員で行き、嬉しいことにまだ現役でいた食堂のご主人(当時はおやじさんと呼んでいた)夫妻が、
「いらっしゃい!・・・?おや!?ひょっとしてお客さん・・・」
「はい、秋山です。お久しぶりです、その節は大変お世話になって・・・」
「やっぱり!秋山ちゃんだね、久しぶりなんてもんじゃないだろー!オリンピック何回分だよ~(久しぶりだー!このせりふ、ここのおやじさんの癖で、久しぶりにやってきた昔馴染みの客はいつもこの台詞を聞かされていた) まあ、いいや!良く来たねェ・・・おい、かあちゃん!あの秋山ちゃんだよ!・・・あれ?奥さんかい?そうかい子供さんもいっしょかい?いやいや、驚くやら、嬉しいやら!ま、とにかく早くすわりなよ。いやいや、驚いたねェ・・あの秋山ちゃんが、いいおじさんになって・・・おまけにこんな美人の嫁さんもらって、可愛いこどもまで・・・」
と、興奮を隠し切れない態で大歓迎してくれた。
タカシは懐かしい関東の味付けを堪能したあと、一旦ホテルにもどり、夕方、京王線に乗り、笹塚駅南口で降りた。そこから徒歩で・・・そうでなければ街並みが変わり過ぎていて、(ショッピングモールは昔と同じ場所に在ったが)目的の場所へたどり着けそうになかったのだ。
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