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2012.10.25
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カテゴリ: SF小説

動画を貼り付けました。「唯」に見立てた女性が消える直前までの映像ですが、浩次を想っkkkkて  第23話  こころが先に          

動画を貼り付けました!

浩次はすでに予約待機してくれていたタクシーの中にいる。

乗り込むと同時にドライバーの方に礼を言い、行き先を告げた浩次は

アンドロイドメーカー「F・L」社営業部「アンドロイド」課に電話を入れた。

電話口に出た女性社員に用件を告げると、保留音が流れ始めたが

すぐに男性の声に変わった。

「これは杉山様、すっかりご無沙汰致しまして申し訳ありません」

 課長である加賀見氏の声が聞こえた。

今まで、どちらかと言うと聞きたくなかった人の声なのに

心が決まると、思いもよらず耳に心地いいとさえ感じるのは

なぜだろうか・・・


「今、新東京駅から自宅に向うところなのですが」


「左様でございますか」

加賀見氏は次の言葉を急がない。


「F・L](Fair lifeの略、 『公平な命』の意)社のような義体メーカーは

どの会社でも営業課の社員には、「メンタルケア乙種」の資格取得を課している。

彼らが接する客は、失った身体の部分を補うその為に、自らの欠損部分を

彼らに診せ、触れさせる許可を与えなければならない。従って担当者には、

顧客の尊厳に対する守秘義務を遵守することのみならず、看護士が患者に接する

のに似た心構え、つまり顧客に安心感を与えるような接し方が必要とされる。

特に「アンドロイド」を求める人はまず、大切な人を亡くした方であることを充分理解して

接することが大前提となる。従って「アンドロイド」対象顧客応対担当者が必要とする資格

もより高度なものを求められる。

「メンタルケア乙種」取得後2年以上の実務経験を経た者にはじめて「メンタルケア甲種」

受験資格が与えられ、さらに「メンタルケア甲種」取得後1年以上のインターンを経た後、

「メンタルケア甲種第2種」資格保有者のテストに合格した者だけに

「アンドロイド」対象顧客応対担当者として「アンドロイド」課に所属することが許される。



浩次は、加賀見氏にオーダーを決めたことを告げ、書類に必要事項を記入、サインした。


「結構で御座います。僭越ながら奥様のお姿、お振る舞い等、杉山様より承っております

事柄につきましては、先日お預かり致しましたディスクを再生し、改めて確認させて頂きま

した」

浩次はあの日、了と美季と3人で旧交を温めた翌朝、コンビニの隣りに見つけておいた

「POST NET」からビデオディスクを「F・L」社の加賀見氏宛に速達で送っておいたのだ。

「F・L」社のゲートまで見送ってくれた加賀見氏からのメールを受信したのは、

直接書類にサインしてから5日後の朝だった。


「杉山 浩次様、

お早う御座います。奥様、杉山 唯 様は何時にても、お会いになられます。

わたくし、加賀見がすべてのお仕度を整え、杉山様をお待ち申し上げております。

尚、杉山様のご自宅まで奥様をお送り申し上げることをお望みになられました際は

そのように致します。どの様にも杉山様のお望みのとおりに致します。

それでは、ご返信のほどお待ち申しあげます。

                            「F・L」社杉山様担当 加賀見真一 」 

 約1時間後、加賀見氏は浩次の自宅マンションの前に車を寄せた。

浩次は自宅で、唯を待つことにしたのだ。本当はすぐにでも迎えに行きたかった。

けれど、アンドロイドの唯を見て、助手席に乗せて、冷静に運転する、そんな自分を想像

することは出来なかった。

チャイムが鳴った!浩次は飛び立つ思いを抑え、インターホンに向って言った。

「はい」

モニターに写る二人の姿。一人は加賀見氏、もう一人は・・・ああ・・・

「杉山様、加賀見でございます。そちらにお伺いする前に、お願いがあります。

わたくしが先にドアを開けますのでサインをお願いします。そこでわたくしは失礼

させて頂きます。そのあと直ぐに唯様がお入りになります。詳しくは後ほどメール

を差し上げます。それではこれにて・・・有り難うございました」

「あ、はい・・こちらこそ・・・」

サインを受け取った加賀見氏の足音が小さくなる。

ドアが静かに開く・・・

懐かしい・・・もう目が熱くなって・・・けれど、どうしても顔が見たくて我慢した。

軽い金属音がしてドアが閉まる・・・

 「唯、唯なのかい?」

返事は無かったけれど、彼女は頷いた!ぼくのことが分かるんだ!

どんなにか迷い、そしてどれほど待ち望んだことか・・・

彼女は、まだ硬い表情だけど !ぼくの方へ両手を差し出そうとしている!

でも玄関に立ったままだ。 

ぼくも手を伸ばしてゆく・・・照明が彼女の顔を浮き立たせた!

「唯!」 

 そのときぼくの手は遅れた!ぼくのこころが!

    「こころが先に」 彼女を抱きしめていたんだ!

   唯の浩次への想いは、願いとなり叶うのです。

                                                                                                    

                   

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最終更新日  2012.10.30 03:58:28
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