2008年03月の記事
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戦慄のセミ･ドキュメント★「連続殺人鬼 冷血」
80年代前半、女性を次々とレイプ、殺害した元消防士が、日本中の注目を集めました。その男・Ｋのおぞましい犯行をドキュメンタリー･タッチで描いたのが、「連続殺人鬼 冷血」('83年 ジョイパックフィルム）‥‥この映画、内容が内容の上に主演俳優がか～なり濃い人なせいか、DVDリリースされていませんが、こちらの本に映画の内容は載っています。絶滅危惧ビデオ大全奈良郊外の農村部で育ったＫは、少年時代は札つきのヤンキーというわけでもなく、地元の公立高校に通っていたくらいだから、成績もそんなに悪くはなかったようだけど高校時代に窃盗事件を起こし、退学処分になります。それから20過ぎてデキ婚するまでは、デカい事件なども起こさず、運転手をしながら、年若い妻とままごとのような暮らしをしていたのですが、妻が第二子を妊娠中、仕事の帰りに車に幼馴染の妹を乗せ、くどいたけれど断られ、逆上してレイプしたことから、彼の胸の中で眠っていた悪魔が目覚め、相手を殺してしまいます。それからはもう、通りがかりのホステス、化粧品販売員など、手当たり次第にレイプしては殺すという、残酷きわまりない犯罪を繰り返します。その一方で、高校時代の友人（警官）のツテで消防士となって、レスキュー隊で訓練に励み、数々の賞をもらい、人命救助に全力を傾けるのですから、二重人格とはこのことでしょう。しかも数々の犯行の合間に、愛妻とクイズ番組にも出演していたというのだから「どーいうやっちゃ？？？」と思いたくもなります。でもこのＫも悪運尽きて、銀行の現金輸送車を襲った時に、民間人の手であっけなく逮捕。そのあと、通り魔的犯行ゆえ、迷宮入りになっていた女性たちのレイプ殺人の全貌が、Ｋの口から明らかになるのです。実在した殺人鬼Ｋを演じたのは、映画「真夜中のボクサー」の主演に抜擢されなかったことを恨んで、原作者の高橋三千綱を刃物で刺し、松竹本社ビルに車で突っ込み、倉本聡氏の前で切腹した超アブナイ怪優・中山一也！だからというわけじゃないけど、まさにはまり役でした。おまけに中山氏、この役に相当入れ込んでいたのか、荒削りな演技だったけど、それがまた主人公Ｋの狂気を、リアリティ満点で表現していました。レイプ、殺人、色欲まみれのトンデモ映画ですが、中山氏のブチキレ演技だけでも、見る価値はあります。それにしても、Ｋの事件の恐怖の余韻が残っている時に、よくまあこういう映画を公開できたものですよね。このごろじゃ、有名な猟奇殺人事件が映画化されるなんてこと、ほとんどありません。被害者側への配慮や、興行的な危惧もあるんでしょう。そういう観点から見ると、一見キワもののこの映画を作ったスタッフに拍手です。
2008.03.31
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殺人鬼の純愛★「天上の青」
'94年にフジテレビ系で放映された昼の連ドラ・「天上の青」‥‥覚えている方は少ないと思いますが、モイラにとっては忘れられない名作です。天上の青 ヘヴンリー・ブルー コレクターズDVDベストフィールド価格：18634円（税込、送料無料) (2020/4/11時点)楽天で購入三浦海岸にほど近い古びた一軒家にひっそりと住み、和裁で生計を立てる慎ましやかな三十半ばの女・雪子（山口果林）と、若い女を次々愛車に誘い込んで肉体関係を結び、ちょっとしたことで相手を殺す男・富士男（白竜）の、プラトニック・ラブの物語。「天上の青」とは、ヘブンリー・ブルーという、眼にも鮮やかな青い朝顔のこと。日ごろ、母親に甘やかされ、家業もろくに手伝わず、働き者の義兄に屑のように扱われ、鬱屈した思いをゆきずりの女との刹那的な快楽でかろうじて発散している富士男は、雪子の家の軒先の、その美しい朝顔に目をとめ、それを口実に雪子をモノにしようと近づくのですが、過去にひどい失恋の傷を負っても、それを「仕方のないこと」と受け止め、等身大に慎ましやかに生きる雪子の中に、一種の「聖女」を見て、彼女にだけは心を開き、「この人だけは汚してはならない‥‥」と思うのです。雪子も富士男のいい加減さを知りつつも、ひねくれた彼の中にも、どこか子どものような純粋で無垢なところを感じ取り、気の向いた時に訪れる彼を受け入れる‥‥原作は曽野綾子。70年代に世間を震撼させた大久保清事件をモチーフにしたものですが、殺人鬼と呼ばれる人間は、本当にまったく救いのない存在なのか？‥‥というのがテーマではないかと思われます。殺人鬼と呼ばれた富士男は、残忍な犯罪を重ねる一方で、自殺を思いつめていた女性を助けたり、不登校で家に居場所のない少女の相談役にもなっていたのですから。富士男を演じたのは、Vシネでおなじみの白竜。暗闇の中でうすら笑いで待ち伏せされたら、誰もが震え上がるであろう、あの独特の風貌と、高い声の上手とは言えない台詞のしゃべり方が、正直あまり好きじゃなかったんですが、（最初、彼を映画で見た時、「ずいぶん日本語のうまい韓国人俳優だなあ」と思ったんです。）このドラマで、いっぺんに好きになりました！彼が半裸になった山口サンの胸に抱かれて、「俺、あんたをめちゃくちゃにしたい。でもできないんだよう！」と、子どものようにおいおい泣くシーンは、忘れられません。女と関係し、気に食わなければ殺して埋めてしまうといった残酷な犯罪を重ねつつも、最低限の良心や、真に人を愛する心を捨て去れない男を、熱演していました。取調べの刑事役の鶴田忍も良かったですね。殺人鬼と呼ばれる男の奥底に残っていた良心を知り、彼を「鬼」ではなく、ひとりの人間として扱う、いい役どころでした。このドラマ、白鳥英美子の主題歌がまた良かったですよ。にほんブログ村にほんブログ村
2008.03.28
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苦悩の果てに★「衝動殺人 息子よ」
若い男が白昼、駅構内で８人もの人をナイフで殺傷。そして数日後には、十代の少年が男性を岡山駅のホームに突き落として殺害。「ムカついていた。相手は誰でもよかった」という少年の言葉に、怒りよりも戦慄を覚えたのは、このモイラだけではないかと思います。「誰でもよかった」‥‥この言葉はモイラの脳裏に、木下恵介監督作品を思い起こさせました。「衝動殺人 息子よ」('79年 松竹＝TBS)です。木下惠介生誕100年::衝動殺人 息子よ [ 若山富三郎 ]価格：2,037円（税込、送料無料) (2023/6/11時点)楽天で購入昭和40年代、下町で小さな鉄工所を経営する周三（若山富三郎）は跡取りで近々嫁を迎えるはずだった息子（田中健）を、通り魔の少年に殺された。暴力団のパシリだった通り魔曰く、「相手は誰でもよかった」‥‥しかも裁判所が通り魔に下した判決は、一人息子を突然奪われた周三夫妻からすれば、恐ろしく軽いものだった上に、当時は犯罪被害者への補償制度も何もなかった。周三は息子を理不尽に奪われた深い哀しみと恨み、苦悩の果てに、自分と同じような犯罪被害者を救済する制度を作る運動を、まったくの手探りで歩き始めるのだった‥‥ある日突然、愛する人を理不尽に殺され、幸せな生活が一転してしまう‥‥モイラは幸いまだ経験したことがありませんが、これほどの地獄はないでしょう。その地獄の中でもがきながらも、自分と同じ境遇の人たちを訪ね歩く初老の男の後ろ姿が、なんかひどく悲しく、それなのにすがすがしく、神々しくて、涙が止まりませんでした。インターネットなんてものがない時代、新聞記者の言葉や記事を頼りに、本当にまったくの手探りで、工場を売却したお金で、雨の日も雪の日も、被害者ひとりひとりを訪ね歩く周三‥‥その信念にマスコミも動き出し、街頭署名運動が始まり、犯罪被害者補償制度への扉が、徐々にゆっくりと開くのです。一人の人間の執念にも似た信念と正義への渇望が、やがて国をも動かす‥‥と、書くと、なんか社会派映画みたいですが、そこは木下マジック、声高に正義を叫ぶガチガチの社会派に傾きがちな作品を、上質のホームドラマに仕立てています。いかにも町工場の頑固親父といった富さんは、ハマりすぎて言うことなし。これが映画デビュー作となった通り魔役の大地康雄もハマってました。でも一番すごかったのが、喧嘩の仲裁に入った夫を殺された未亡人役の吉永小百合。今にもつぶれそうなあばら家で、汚れた顔と服の幼い男の子２人を抱え、ほつれ髪の着たきり雀、絶望と貧困のあまり途方にくれた目をしていました。モイラ最初、吉永小百合だってわからなかった。それくらい貧乏くささと果てしない哀しみがにじみ出ていましたね。やっぱ彼女は名女優です。この映画の後押しのおかげなのか、1981年に犯罪被害者補償制度が確立しました。★名匠・木下恵介監督の世界★木下惠介生誕100年::カルメン故郷に帰る [ 高峰秀子 ]価格：2,525円（税込、送料無料) (2023/6/11時点)楽天で購入木下惠介生誕100年::カルメン純情す [ 高峰秀子 ]価格：2,525円（税込、送料無料) (2023/6/11時点)楽天で購入木下惠介生誕100年::日本の悲劇 [ 望月優子 ]価格：2,525円（税込、送料無料) (2023/6/11時点)楽天で購入木下惠介生誕100年::花咲く港 [ 上原謙 ]価格：2,037円（税込、送料無料) (2023/6/11時点)楽天で購入にほんブログ村にほんブログ村
2008.03.27
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モイラがいつも聴いてるCD
映画狂モイラは、愛車をドライブする時、いつもCDをかけっぱなしです。そのCDコレクション（と言うほどのものじゃありませんが）を、紹介させていただきますね♪シネマスタア・コレクション 赤木圭一郎 オールモスト・コレクション「霧笛が俺を呼んでいる」もいいけど、「抜き射ちの竜」の主題歌「黒い霧の街」がシブくて大好き！でんすけ⇒ ○メ在庫～30台 ［高倉健 ］特選・歌カラベスト3 網走番外地／唐獅子牡丹／泣かせるぜ【CD★演歌】 KINGRECORD KICM-8096日本映画屈指の大スターといえばこの方！モイラは「網走番外地」が一番好きですね！鶴田浩二こちらも邦画界の大スター。歌唱力もなかなかのもので、「赤と黒のブルース」「街のサンドイッチマン」の歌い手としても有名！でも先日、助手席に乗っていた知り合いの女性（６０代後半）が、このCDを聴いて、「こいつ、ほんまは年いくつやねん‥‥？」と言わんばかりに、いぶかしそうにモイラの顔を見ていました。【CD】梶芽衣子/全曲集＜2004/3/24＞「キル・ビル」でも使われた「修羅の花」、最高です！大怪獣伝説 東宝特撮映画メインテーマ大全集伊福部昭、佐藤勝、團伊久磨など、日本を代表する作曲家の手による名曲揃い！昭和２９年の初代「ゴジラ」から、昭和５９年の新「ゴジラ」までカバー！ほかにも車内では、ビートルズ、３０～１０年くらい前の韓国ロックなどを聴いています。このつたないブログを読んでくださっている皆様がたは、ドライブ中にどんな音楽をお聴きでしょうか‥‥？
2008.03.25
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オバカ海外アニメの定番★「チキチキマシン猛レース」
モイラが小学校低学年の頃、海外アニメは大人気でした。「ポパイ」「トムとジェリー」といった、いわゆる一般受けする正統派も好きでしたが、それより好きだったのは、オバカ系。中でも大好きだったのは、オバカ、奇人変人大集合のこちらです！【送料無料】チキチキマシン猛レース コレクターズボックス/アニメーション[DVD]【返品種別A】価格：5,227円（税込、送料無料) (2023/7/2時点)楽天で購入♪チキチキマシン チキチキマシン 猛レース～ 気をつけろ 爆薬だ チキチキ チキチキ 猛レース ぶっつけろぃ 邪魔をしろ 炎のカーブだ ぶっとばせ！ もう冒頭の主題歌からして、ぶっ飛んでましたね。なんでもありの猛レース（オバカレース）に登場する車もガンセキオープン、プッシーキャット（なんかすごい名前！）、ギャングセブン、そしてオバカの帝王である主人公ブラック魔王と、愛犬（？）ケンケンのゼロゼロマシン。乗ってる連中も、ぶっ飛んだのばっかり。ガンセキオープンはコワモテの二人組で、岩をぶったたくと車に変えるというとてつもない超能力の持ち主。プッシーキャットを運転するのは、紅一点の、かわいいのかブサイクなのかわからない、妖しい魅力を放つミルクちゃん。ギャング７は文字通りギャング団で、時々彼らの足がタイヤの役割をする有様。そしてブラック魔王はお約束通り、毎回ドジばかりやらかし、およそ彼に非協力的なケンケンに、いつも冷笑される‥‥ケンケンの「キシシシシ‥」という、思いっきりかすれた、なんとも不思議な笑い声は当時の小学生たちの物まねの対象ナンバーワンだったような気がします。野沢那智さんのノリノリ絶好調のナレーションも、よかったですね。この「チキチキマシン」の後にも、オバカ海外アニメがいろいろ登場しましたね。「幽霊城のドボチョン一家」「スカイキッドブラック魔王」（チキチキマシンの続編？）などなど。「ドボチョン一家」の「ドヒャドヒャバキーーン！」も大好きでした。★海外アニメの傑作大集合！★BD / キッズ / トムとジェリー ムービーBOX(Blu-ray) (初回限定生産版)価格：7,822円（税込、送料無料) (2023/7/2時点)楽天で購入ポパイ [ ハンナ・バーベラ・プロダクション ]価格：3,378円（税込、送料無料) (2023/7/2時点)楽天で購入スカイキッドブラック魔王 コンプリートDVD BOX 【DVD】価格：5,544円（税込、送料無料) (2023/7/2時点)楽天で購入にほんブログ村にほんブログ村
2008.03.21
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夢の特撮フィギュア
こんばんは、万年映画少女モイラでございます。季節の変わり目で体調を崩し、しばらくブログを中断していました。幼少のころから特撮映画の大ファンであるこのモイラは、当然ながら、特撮グッズのチェックには、余念がありません。「子どもっぽい」「オタク」と呼ばれようが、常識ある世間の人々から鼻で笑われようが、好きなものはしょうがないです。初代ゴジラ The Diorama Series東宝、東宝映画、ライセンス取得商品日本の伝統文化の産物と言...昭和２９年、日本列島を興奮の渦に巻き込み、日本のみならず世界を股にかけて、のっしのっしと歩いた初代ゴジラの風格ばっちり！だ、だけど値段が‥‥畑仕事に精出して、お芋売って（モイラは農婦です）もっと儲けてからの話‥ですね。B-CLB 【ガレージキット】 モスラ[ゴジラ対モスラ]幼虫から蛹、そして美しく大きな羽を羽ばたかせる成虫へと変わる空の女王！最期の力をふりしぼってゴジラと闘い、力尽きて自分が産んだ卵を抱いて死ぬけれど、その卵から新しい二つの命が誕生するシーンには、涙があふれました。宇宙大怪獣ギララ松竹が誇る（？）唯一の怪獣ギララ。倍賞千恵子が主題歌を歌った（ここがいかにも松竹！）因縁からか、後年「寅さんシリーズ」にもちらっと顔を出しましたね。復刻・ゴジラ（クリアグリーン型）これはまたちょっと変わったゴジラです。色あざやかというか‥‥なんか見ていて楽しくなっちゃう♪なんだか眠くなっちゃいました‥まだ本調子じゃないようです。今宵はこれにて‥‥
2008.03.19
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笑えないブラック・コメディ★「絞死刑」
死刑反対論者の大島渚監督が、渾身の力をこめて作った「絞死刑」（'68年 創造舎・ATG提携作品）。新品北米版DVD！【絞死刑】＜大島渚監督作品＞死刑囚の青年R（尹隆道）は、いよいよ「その日」を迎え、東京拘置所の教育課長（渡辺文雄）、所長（佐藤慶）、検事（小松方正）に見送られ、牧師（石堂淑郎）に祈りをささげられたあと、「国家の名の下に」刑を受け、医師（戸浦六宏）に心停止を確認され、拘置所の裏口からめでたく「出所」するはずだったのだが、ロープに吊るされても、一向に心停止しない‥‥！慌てる見送りの面々。息を吹き返したRは記憶喪失。さあどうする‥‥？？？出だしがいきなり、「あなたは死刑場を見たことがありますか？」という手書きの文字。まずこれに、多くの観客がドキリ。続いて、大島渚監督自らのナレーションによる、死刑場のご案内。一見文化住宅風の建物の中に、死刑囚の待機室（畳の部屋の真ん中に和式便器が白く浮かび上がっているのが、なんとも不気味）、隣は倒産しかかった不動産屋にだってなさそうな、安手の応接セット。そして‥‥上は絞首台！目隠しをされた一人の青年が、後ろ手錠をかけられ、看守に両脇を抱えられ、十三階段を上がらされ、首にロープを。そして‥‥青年の足元の扉がガッターン!!とまあ、ここまでは迫真の、ごく生真面目な社会派ドラマなのですが、死刑囚Rが蘇生したあとは、ドタバタの連続。記憶を失ったRに、もう一度彼が犯した罪を思い出させ、その罰として「死んで（正確には国家に殺されて）詫びる」ように仕向けるため、旧帝大卒と思しきエリートの教育課長や所長、医師たちが（渡辺氏、戸浦氏、石堂氏は、事実旧帝大卒）四苦八苦しながらRの犯行の再現をするのです。だけど合法的殺人機械・絞首台の前で、国家権力を背負ったお歴々がドタバタを演じる様子は、いかにも反体制の大島流で、ブラック・コメディらしいけど、モイラは笑えませんでした。「国家による合法的な殺人」というテーマがテーマですからね‥‥場面が死刑場からいつしかコリアン・タウンに変わるというシュールさ、何の前触れもなく突然登場するチマ・チョゴリ姿のRの姉（小山明子）の、ほとんどムリヤリな設定には、首をひねってしまいました。しかし、予算が乏しいからこそ実現できた、濃い俳優陣たちの密室劇は、なかなか見ものです。石堂淑郎氏は作家ですが、どこかいんちき臭い牧師を熱演していました。石堂氏はよくテレビや映画に俳優として出ておられましたね。「必殺仕掛人」（TV)の、梅安が何度針を刺しても死なない不気味な大男役も印象に残ってます。また氏モイラの亡き父の知り合いでもあられます。「死刑」「民族問題」という極めて厳粛なテーマに真正面で取り組んだ監督の姿勢には感服しますが、ちょっと監督が暴走が激しすぎ。イデオロギーを前面に出しすぎ。よってこの作品、「トンデモ映画」の範疇に入れさせてもらいました。
2008.03.15
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こんなアニメがあったのです！★「アニメ・ビートルズ」
'60年代、アメリカ公演が成功したことで世界中にその名を知られ、一世を風靡したカリスマ・アーティスト集団、ザ・ビートルズ！「ハード・デイズ・ナイト」「HELP!４人はアイドル」といった彼らの主演映画や彼らを題材にしたサイケな長編アニメ映画「イエロー・サブマリン」のほかにも、彼らのテレビ・アニメがあったんですね～その名も「アニメ・ビートルズ」！モイラが中学生の時、当時住んでいた神奈川県のUHF局で毎日夕方放送していました。小学校高学年の時からビートルズ・ファンだったモイラは、夕方はこのアニメを見ることが日課でした。内容は、ビートルズの４人（まだ長髪も髭もはやしてない、ほんの若い頃）が何か事件に巻き込まれて、騒動になるけれど、最後は彼らの名曲で解決させるという実に他愛のないものでしたが、４人のキャラがそれぞれ個性的でしたね。ジョン・レノンは、リーダー面して、ちょっと威張った感じ。（声・伊武雅刀）ポール・マッカートニーは、温厚で紳士的。ジョージ・ハリスンは、隣のお兄さんって感じ。そしてドラマーのリンゴ・スターは、完全なおバカキャラ。実質的な主人公は、このリンゴでしたね。オープニングは、「ハード・デイズ・ナイト」が流れ、４人がファンの女の子たちにきゃーきゃー追いまわされ、ドタバタ逃げ回るといった流れ。前半はドラマで、後半は曲の紹介。この時、歌詞も出たので、英語の勉強になりました。しゃべり言葉では、going toがgonna、got to がgottaとなることも、ビートルズが教えてくれました。でも学校の英語のテストで”gotta””gonna”と書いたら、×にされました。（点数返して！って言いたい）今でもよく覚えているのは、”If I Fell"（邦題「恋に落ちたら」）の紹介の時に流れたジョンがかわいい女の子相手に遊んでいる、なんとも微笑ましい、でもどこか切なげな映像。だけどこのアニメ、ビートルズ好きでも知らない人が結構いるんですよね。日本国内ではDVDは出ていませんが、アメリカでは販売しているようです。アニメ・ザ・ビートルズ ピン・バッチ・セット【ジャパンオールラウンドミュージック】KUBRICK-225 キューブリック アニメ・ザ・ビートルズ...
2008.03.11
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なんかほのぼの‥‥★「刑務所の中」
銃刀法違反で服役経験のある漫画家・花輪和一の原作をかなり忠実に映像化した'02年の「刑務所の中」。【バーゲンセール】【中古】DVD▼刑務所の中▽レンタル落ち銃刀法違反で逮捕、北海道の刑務所に収監された中年男・花輪（山崎努）は、さほど絶望的になることもなく、淡々と塀の中の日々を送っていた。同房者は覚せい剤中毒、コンビニ強盗など、肩書きを見れば一癖もふた癖もありそうな連中だが、刑務所を舞台にした東映映画のような乱闘、暴動などもなく、おおむねみんな仲良く、おだやかにムショ暮らしを送っていた。でも時には房内ではしゃぎすぎて、テレビ鑑賞が禁止になったり、規則違反で懲罰をくらったり‥‥なるほど、原作者が服役経験があるだけに、全体的にリアリティに満ち満ちておりました。モイラは原作を読んでいたからわかってましたが、主人公がなぜ刑務所にオチてきたのか、どんな罪を犯したのか、原作を読んでいない人にはわかりにくいところもありましたが、房内や木工作業場のシーンなど、観客をうなずかせるものがありました。同房者も罪を犯した人たちとはとても思えない、いい人ばかりで、お正月や慰問の時に配られるお菓子や果物が、とってもおいしそうに目に映りました。厳寒の北海道の刑務所‥‥っていうと、「網走番外地！」と答えてしまいそうな人たちの期待を根底から裏切るほのぼのとした作品でした。主人公が懲罰中に、無心に病院の薬袋を作るところなど、感動的でしたね。しかし‥‥いいのかなあ、こんなほのぼのテイストで刑務所を描いて？‥‥とも思いましたね。本来、懲罰と更生が目的の法務省の施設なのに、この作品を観て、「労働はあるけど、残業はない。日曜は労働休み。三食飯が食えるし、いい子にしていれば、正月や特別な日にはおやつが食べられる。シャバでホームレス寸前の食うや食わずのワーキングプアで惨めに生きるよりは、いっそのこと刑務所に‥‥」‥‥なーんて思った人、いたかもしれません。監督は「クイール」「血と骨」などの崔洋一。ゆったりとした味わい深い演出が見ものです。
2008.03.09
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岩下志麻、気迫の熱演！★「五辨の椿」
野村芳太郎監督＆名女優・岩下志麻のコンビは、「影の車」「鬼畜」などの傑作を数多く生みましたが、中でも'64年の「五辨の椿」は、傑作中の傑作ではないかと、モイラはしみじみ思います。岩下志麻／五瓣の椿遊び好きで淫乱な母（左幸子）に苦しめられ、苦悩の果てに病死した父（加藤嘉）の無念を晴らすべく、母と通じた男たちに色仕掛けで近づき、平うちの銀かんざしで次々と殺す娘・おしの（岩下志麻）。おしのを追いながらも、彼女の情念と深い哀しみに、どこか共感してしまう与力の青木（加藤剛）。３時間近くの長い映画ですが、出だしの芝居（近松の「恋飛脚大和往来」）、真っ赤な椿の花に覆われた池、おしのの哀しみを象徴するかのような白い雪など、映像の美しさにまず感服しました。山本周五郎の原作を上手に脚色した、名脚本家・井手雅人氏の筆力にも感服。配役もすばらしいことこの上なし。乙女の清らかさや潔癖さを持ち合わせながら、色気をふんだんに放ち、一転、復讐心に燃える恐ろしい娘を演じたうら若き岩下志麻の演技力には、もう脱帽です！この方は生まれながらの女優さんなんでしょうね。彼女は若いころから、せりふの通りがよくて、とても聞き取りやすい。今の若手女優は、何をしゃべってんだかわからない人が結構いるので、よく見習うべきです。与力役の加藤剛も、味がありましたね。左幸子のモンスター級の淫乱ぶりもすごかったし（こんな母親じゃ殺したくもなります）、西村晃も得意の小悪党ぶりを熱演していました。演出もさることながら、俳優の名演技を引き出す達人だった野村芳太郎監督。さすが、無声映画時代の役者から監督になったお父上・野村芳亭の血を受け継いでいるだけのことはあります。ああ、このモイラももっと、映画人だった父の血を受け継ぎたかったものです。
2008.03.07
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見せ場満載！★「眠狂四郎円月斬り」
死後４０年が過ぎた今なお、たぐい稀な美しさと色気、気品、抜群な演技力で、新たなファンを獲得している大スター・市川雷蔵‥‥今夜も彼の当たり役のひとつ「眠狂四郎」シリーズ３作めを、お届けします。その名も‥‥「眠狂四郎円月斬り」！ 眠狂四郎 円月斬り / 市川雷蔵何の罪もない百姓たちが、残忍な将軍の落胤・片桐高之の刀の試し斬りに次々殺され、通りがかりの狂四郎が犯人に間違えられたことから、百姓たちとかかわりを持つことに‥‥狂四郎の命を狙う高之の一味。私利私欲なく、ただ武士の道を貫く目的で、狂四郎との決闘を挑む侍。高之の妾同然の身でありながら、たやすく狂四郎に身体を奪われ、彼に心まで奪われる大店の娘。佐渡送りが決まった夫と、狂四郎の間で激しく揺れ動く美女。果たして狂四郎の運命は‥‥？狂四郎が大店の娘の帯を剣で斬って裸にし（このシリーズではお約束のシーン）、彼女を意のままにするシーンの、なんと艶っぽいこと！こんな男になら、ムリヤリでも許してもいいなんて思っちゃいます。美形の役者さんは古今東西大勢いるけど、雷蔵様ほど男の色気を感じさせる人を、モイラは知りません。「女を眼で殺せる」とでも言いましょうか‥‥あの冷ややかだけど、女をひきつけずにいられない眼つきには、ひとたまりもありません。クライマックスの夜の燃え上がる橋の上での決闘は、圧巻でした。それにしても、次期将軍の座をよだれをたらして狙う高之母子の薄汚さは、見ものです。その恩恵に預かりたい大店の主人も、滑稽なほどみっともない。いつの世も人は、権力というものに弱いんでしょうね。だからこそ、権力に背を向けて生きる素浪人・眠狂四郎がカッコ良く眼に映るのです。
2008.03.05
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妖艶さの中に光る気品★「眠狂四郎勝負」
お久しぶりでございます。万年映画少女モイラでございます。ここ数日、なんだかんだでバタバタし、つい更新を怠っておりましたが、今夜はばっちりキメます！（何をキメるんだろ‥‥？）60年代大映の目玉だった「眠狂四郎」シリーズは、剣豪ものとしての面白さもさることながら、眠狂四郎という主人公の際立ったキャラクターが、大きな人気を呼んだのだと思われます。西洋人との混血ゆえに髪が赤く、「異形」と呼ばれる彫りの深い顔立ち。冷たく、凄みさえ感じる美貌の下には、「異端児」ゆえの深い苦悩と哀しみを秘め、剣の腕は並ぶ者がなく、その上女心をひきつけて離さない‥‥しかもそれを演じているのは、天下の美男子と言われた市川雷蔵様ときていますから、これはもう、ヒットしないわけがありません！今夜はシリーズ２作め、「眠狂四郎勝負」をお届けします！市川雷蔵／眠狂四郎 勝負狂四郎はひょんなことから、老骨に鞭うって幕府の財政改革に奔走する正義感の強い勘定奉行（加藤嘉）が暗殺者に襲われかかったところを助け、その護衛を自ら勝って出る。奉行の改革に反対する連中がさしむけた刺客、純粋に剣豪・狂四郎と刀を交えたい凄腕の浪人、仕官を望む元殿様のお気に入りの美男子の侍など、いずれも腕の立つ連中が狂四郎の前に立つが‥‥艶やかさの中にも、匂いたつような気品を感じさせる雷蔵様。まったくため息が出るような美しさです。派手で遊び好き、おまけに男好きの高姫（久保菜穂子）の前に縄で縛られた格好で突き出され、姫に弄ばれようとした時のセリフがまたすごい！「その顔をよく見ろ。豚よりも醜いぞ。豚姫の分際で、雪よりきれいな俺の身体に触れようなんて、無礼千万だ！」将軍の娘で美人の誉れ高く、それゆえめっちゃタカビーの姫も、この狂四郎のセリフには、プライドもズタズタ‥‥それでも彼に心を奪われるのですから、なんともはや‥‥このモイラも、こんな男になら、めちゃくちゃに罵られても許せちゃいますね、きっと。高田美和が初々しく可愛らしいそば屋の娘を演じていたのが、印象的でした。十数年後に、「軽井沢夫人」で妖艶な熟女ぶりを披露するとは、この当時は誰も想像しなかったでしょう。獄中の夫のために狂四郎の命を狙う藤村志保の扱いは、ちょっと中途半端でしたね。そもそも彼女の夫が、西洋人の宣教師という設定には、少々無理がありますし、その西洋人の宣教師役の外国人俳優が、ひどすぎました。だって、どう見ても、アメリカのド田舎あたりで、とうもろこしでも作っていそうな農家のおっちゃんでとてもじゃないけど、宣教師には見えないんだもん。「あのさー、外国人なら誰でもいいってもんじゃないでしょ」と、言いたくなりましたね。今、はたしてニヒルで美しい女殺しの眠狂四郎を演じられる役者がいるか‥‥？正直、疑問です。★永遠の大スター・市川雷蔵★市川雷蔵／眠狂四郎 多情剣市川雷蔵／陸軍中野学校 雲一号指令市川雷蔵／若き日の信長
2008.03.03
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