★モイラの名画座★

< 新しい記事

新着記事一覧(全1143件)

過去の記事 >

2007.01.13

Ｊ・ニコルソンの名演光る！「カッコーの巣の上で」

(3)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

カッコーの巣の上で [ ジャック・ニコルソン ]
価格：1,100円（税込、送料無料) (2023/5/3時点)

楽天で購入

「カッコーの巣の上で」‥‥
モイラは、この作品よりも「人間の尊厳」
高らかに謳っている映画を、他に知りません。
この作品を名画座で観た時、中盤まではお腹を抱えて大笑い、
でも中盤を過ぎたら、深く考えさせられ、
そして、悲惨きわまりない終盤と、あの感動のラスト・シーンに
人目もはばからず、大泣きしたんですから‥‥
そもそも、この作品を「つまらない」「退屈だ」と言う人に
出会ったことがありません。

６０年代アメリカの精神病院（閉鎖病棟）を舞台にした
きめ細かい人間ドラマ。
ジャック・ニコルソン演じる主人公のマックは、もう言うことなし！
「名優ニコルソンここにあり！」って感じですね。
冷酷な婦長ラチェットも、「ああ、こういう看護師っているよね‥‥」
と思わせるほど、リアリティあり。
閉鎖病棟の患者たちも、みんなとても個性的。
妻の不貞を疑うインテリのハーディング（鬱病？）
いつもニコニコ笑顔の知的障害者マティーニ（ダニー・デビート）。
広汎性障害っぽいチェズウイック。
吃音障害でひどく内気な青年ビリー。
でも一番すごいのは‥‥
ネイティブ・アメリカンとして迫害されるのが嫌で、
聾唖と知的障害を装って精神病院に逃げ込んだチーフ！
マックとチーフの男の友情‥‥

大笑いできる場面もたくさんありました。
一番笑ったのが、マックが病棟の患者たちを
バスに乗せて脱走させ、みんなで海釣りをするくだり。
マックが患者仲間を一人一人
「こちら精神学会のハーディング先生、マティーニ先生‥‥」と
人に紹介する場面は、もう劇場が笑いの渦。
確かに知らない人から見れば、精神病棟の患者も
医学博士に見えるんだもん。

先日モイラは、精神病棟に勤める看護師長さんとお話しする機会を得たのですが、
彼は言っていました。
「精神病棟に勤めるにあたって、研修で『カッコーの巣の上で』を観ましたよ。
あの映画、精神科の患者さんに見せたって、僕的にはいいと思いますよ。
でも、閉鎖病棟ではあの映画は上映禁止なんです」と。
まあ、患者が全員脱走しちゃうシーンがある映画は、
やっぱまずいでしょうねえ‥‥第一、まんますぎて怖いや。
でもモイラは思います。
最近、心の病がこの国でもクローズアップされて
ソーシャルワーカーや、心理カウンセラーをめざす若い人たちが増えているらしいけど、
「カッコーの巣の上で」を観たことのない人、観ようとも思わない人、
または観ても心を動かされないような人は、
間違っても精神医療に関わってはいけない!!

‥‥そういうことです。

★もっとジャック・ニコルソン！★