★モイラの名画座★

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2007.01.17

ここまでやるか?!★「ゆきゆきて、神軍」

(1)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

きょうは日本のドキュメンタリー映画史に残る傑作（怪作？）
「ゆきゆきて、神軍」を、取り上げます。

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実を言うと、モイラはこの映画の予備知識ほとんどなしで
劇場に足を運んだのです。
奥崎謙三って人の名前も何も知りませんでした。
で、上映が始まって数分でびっくり！
田舎の結婚式の場面が出てきて、奥崎氏がいきなりこう切り出す。
「え～、新郎は前科一犯で‥‥」
モイラは思わず口開けちゃいましたね。「なんじゃこりゃ?!」と。
で、映画を観ていくうちに、この奥崎っておっさんが、
神戸のバッテリー屋のおやじで、不動産業者殺害の前科があり、
さらには、昭和天皇にパチンコ玉発射、天皇ポルノビラまきと‥‥
それはそれは過激な反天皇で、天皇の戦争責任を強硬に追及する
すさまじい元日本兵だというのを、否が応にも知らされました‥‥！

いやな過去は誰もが忘れたいもの。でも奥崎のおっさんは、
ニューギニア戦線での人肉喰いの真相を、とことんつきつめようとして、
かつての上官殿のお宅を訪れ、相手が言葉を濁すと、
いきなり飛びかかり、殴るわ蹴るわ‥‥!!
「おいおいおっさん、あんた戦争大嫌いなんだろ?!
友だちが戦争で殺されたのが、哀しくてくやしいんだろ?!
だったら争いごとなんかするなよ！」と、ツッコミを入れたくなるけど
戦争体験のまるでないモイラのツッコミなんか
一撃ではね返されてしまうほどの、ド迫力！

モイラは奥崎謙三氏の暴力的なところには、共感できませんが、
「戦争責任は天皇ヒロヒトにあり！」という信念を頑なまでに持ち続け、
それをつぶさに行動に出す彼の姿勢には、頷けます。
今の世の中、口ばっかりで何も行動しない奴が多すぎる！
（このモイラもその1人だけど‥‥）
そんな世の中に、たとえ変人、乱暴者、キ○ガイと呼ばれようと、
奥崎氏のような「信念と行動の人」が1人ぐらいいたっていい‥‥！
そう力説したくなるような映画でした。
のんべんだらりと生きていたモイラは、観終わった後、
脳天を棍棒でブン殴られたような思いでした。

だけど、この映画を撮った原一男監督
いつ爆発してもおかしくない地雷のような男性に
ずっとくっついていたんですから‥‥
それと、ご苦労様なのは、奥崎夫人‥‥あんな良い奥さんいませんよ。
さすがの奥崎氏も、奥さんにはとても感謝してるみたいでしたけど‥‥

奥崎謙三氏は昨年、亡くなったそうです。
私としては、もっと生きて暴れ続けてほしかった‥‥
そして私モイラは、奥崎氏のこの言葉が、強烈に印象に残っています。
「私は軍隊で、誰よりも多くの上官をブン殴ってきた。
だから生きて還って来れた！」