★モイラの名画座★

< 新しい記事

新着記事一覧(全1143件)

過去の記事 >

2007.01.28

反戦のメッセージ★「クレヨンしんちゃん　嵐を呼ぶアッパレ！戦国大合戦」

(4)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

きょうは ★モイラの名画座★初登場のアニメ映画、
その名も‥‥ 「クレヨンしんちゃん　嵐を呼ぶアッパレ！戦国大合戦」 ('02年作品）で～す!!

【中古】映画　クレヨンしんちゃん　嵐を呼ぶアッパレ！戦国大合戦／臼井儀人（原作）,本郷みつる（監督）,原恵一（脚本）（監督）,しんのすけ：矢島晶子,みさえ：ならは【中古】afb

春日部でノーテンキにマイペースに生きていた幼稚園児・しんのすけが、
愛犬シロが家の庭に掘った穴に入り込んだら‥‥
なんと、以前夢の中で見た、森の奥深くの泉のほとりに来ていた。
しんのすけの夢の中では、泉のほとりには、美しいが、どこか憂いを秘めた気品のある女性が、木陰にもたれていて、
しんのすけはわけがわからず、「ここはどこだ～？」と、森を抜け出すと‥‥
なんと、鎧兜に刀、種子島銃を手にした軍勢が合戦を繰り広げていた。
そう‥‥ しんのすけはなんと、戦国時代にタイプ・スリップしていたのだ！

ひょんなことからしんのすけは、かつての春日部・春日領の武士・井尻又兵衛、
春日城主の姫君・簾と知り合い（夢に出てきた美女）、親しくなる。
一方、しんのすけの両親ひろしとみさえは、しんのすけが戦国時代に行ってしまったことを知り、ひまわりとシロをつれて自分たちもタイム･スリップ。
そのうちに、春日と敵国の戦いの火蓋が切られ、しんのすけファミリーも激しい合戦に巻き込まれることに‥‥！

合戦のシーンが臨場感にあふれていましたね。
大げさに言えば、まるでアニメ版の黒澤作品を観ているようでした。
城、当時の武士の家の造り、井楼櫓、塁壁といった大道具、
鉄砲、槍、刀、右手指（小刀）、南蛮式の鎧、軍配、礫といった小道具にいたるまで、
かなり忠実に再現しているのには、本当に感心しました。
簾姫に道ならぬ恋心を秘める又兵衛も、又兵衛を愛していながら、城主の父のために政略結婚の道具になる覚悟をする簾姫の姿も、涙を誘います。
しんちゃんが、追い詰められてこそこそ逃げようとする敵の大将に放ったひと言も、ガツンと来ましたね。
「やい逃げるのか?!逃げるなんて許さないゾ！合戦になったのは、みんなお前のせいなんだゾ！」
今、世を騒がせている無責任な大人たち（不二家しかり、耐震強度偽装問題しかり）に、聞かせてやりたい言葉ですね。
でもしんちゃんは、又兵衛が敵の大将の首をとろうとした時、あわてて止めます。
「もう許してやろうよ。こいつ、おじさんが強いのがよくわかったから、もう襲ってこないよ」
ああ、どこかの国の大統領も、しんちゃんのようなやさしい心を持っていれば、
報復と称して、罪もない人々に空爆や戦争をしかけたりしないでしょうね。
モイラはこの映画のテーマのひとつは、「反戦」だと思っています。
戦争のない世の中がどれほどありがたいかということ、身分や家のしがらみに縛られないことが、どれほどすばらしいかということ、家族の絆の大切さ、大人の責任‥‥
そんなとてもとても大事なことを、この映画はわかりやすく教えてくれているようです。
モイラは「クレしん映画」はほとんど全部観ていますが、
一番好きなのは、そして子どもたちに観てもらいたいのは、この作品ですね。

シリーズ10作目のこの作品は、文化庁メディア芸術祭アニメ部門の大賞を受賞しています。

★もっとクレヨンしんちゃん！★