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2007.02.04

武道、その厳しい道★「風のファイター」

(4)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

現在、世界中に道場を持つ極真カラテの創始者といえば…大山倍達こと、崔倍達（チェ・ペダル）。
そのチェ・ペダルの壮絶な半生を描いたのがこの映画、「風のファイター」（'02年　韓国）です！

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日本統治下の韓国・釜山…祭り（？）で格闘技の模様を目を輝かせて見ている少年がいた。
その少年チェ・ペダルは、将来、格闘家になることを夢見ていた。
太平洋戦争終結期、ペダルは関釜連絡船（現在の関釜フェリー）にもぐりこんで、日本に密航し、航空学校に入学するが…
「朝鮮人」ということで、日本人の教官にいじめられ、差別され、日本の敗戦後は殺されかけ、
終戦後は、池袋の闇市で、のちにパチンコ店チェーンを持つようになる同胞と店を開くが、日本人ヤクザに日本刀で脅され、公衆の面前で失禁し、自分の精神的な弱さを思い知らされる。
ペダルは己を限界まで鍛えるため、山奥に一人こもり、岩を素手で砕く術を得ようとする。
くる日もくる日も続く、己との孤独な闘い…
そして…ついにペダルのゴツゴツになった手が、岩を砕いた…！
ペダルは山を下り、柔道、剣道、合気道など、日本のあらゆる武道の道場に殴りこみをかけ、
門下生は無論のこと、道場主たちも次々と倒していくのだった…！

モイラはこの映画を、ソウル留学中に、大韓劇場という、ソウル市内でも有名なシネコンで観ました。
同じクラスにいた在日韓国人の二十歳の男の子が、「めっちゃ面白い！」と言うので、それならばと観に行ったのです。
日曜日で、休暇中の軍人さんが多いのに、ちょっとたじろぎました（軍服の男性が映画館の座席にズラリなんて、日本では見られない光景です）。
映画のはじまりから、モイラは目を奪われましたね…格闘がすごい！
しかもノースタント、ノーワイヤーだというのですから、びっくりです…！
ペダル役のヤン・ドングン、なかなかやりますよ～
剣道の達人を演じた加藤雅也も、ストイックな雰囲気がよく出ていてすばらしかったです。

この映画の見どころは、格闘シーンだけじゃありません。
ペダルと日本の芸者ヨウコ（平山あや）のラブシーンも、ジャポニズムにあふれてて、美しかったです…
「差別された韓国人格闘家が、日本人格闘家たちを次々とやっつける」というお話ではあるのですが、
これはぜんぜん「反日映画」なんかじゃない！　
ペダルは格闘で剣道の達人を殺してしまったことで、ひどく心を痛め、未亡人が息子と住む山村の家に行き、土下座をして謝り、「償いをさせてください！」と、たどたどしい日本語で言い、
ほんとうに骨身を削る思いで、心からの償いをするのです。
闘う男は己への厳しさと、他者への優しさを、絶対に忘れてはいけないのだと、モイラはつくづく思いました

監督は「リベラ・メ」のヤン・ユノ。
主演のヤン・ドングンは、キム・ギドク監督作品「受取人不明」でも、いい演技をしています。

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