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2007.02.22

一夜の快楽の代償は…★「危険な情事」

(8)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

「女房に不満があるわけじゃないけど、たまには他の女と後腐れなく、一夜だけの火遊びがしたい…」
そんなことを思う妻子もちの男性って、結構いるようですが、
果たしてこの映画を観たあとでも、そう思えるでしょうかねえ…

マイケル・ダグラス／危険な情事　スペシャル・コレクターズ・エディション

「危険な情事」（'87年　米）は、エイドリアン・ライン監督の秀作です。

良き夫で良き父でもある弁護士のダン（マイケル･ダグラス）は、妻子が里帰りした夜、
パーティで３０過ぎの独身女性アレックス（グレン・クローズ）と知り合い、
彼女と性的な関係を持つ。
ダンにしてみれば、一夜限りの火遊びのつもりだった。しかし…
アレックスは一夜限りの情事を堺に、ダンに執着心を抱き、
何かと理由をつけて、彼に接近するようになった。
彼女のダンへの執着心と独占欲は、彼の心が離れれば離れるほど膨らみ、
ついにはそれが狂気となって、ダンの妻や娘までも巻き込まれるはめに…！

執着心からストーカーと化し、常軌を逸した行動をとるアレックスがものすごく恐ろしかった。
何しろ、ダンの娘が可愛がっていた白ウサギまで、鍋で煮てしまうんですから…!!
グレン・クローズ、本当に熱演でしたね。
ただ、「独占欲にかられた狂気の女」といった側面ばかりでなく、
「３０過ぎで独身で、心の中に言いようのない寂しさを抱えた女」という側面をもっと出せたら、よかったと思います。
会ったばかりの男性を自宅に呼んでセックスする女性って、たぶん精神的に不安定で、とてつもない寂しさや空虚感を抱えている人だと思います。
幸せいっぱいで満ち足りている女性は、そんなことしないでしょう、たぶん。
ましてセックスする場所がキッチンのシンクだなんて…
そんな大胆でエロいシチュエーションを実現するとは、なんか彼女の寂しさの現れみたいに、モイラには思えましたね。
（しかし、あのシーンはホントに素晴らしいほどエロティックだった…）

けれど、良き妻と可愛い娘を持ち、家庭生活は平穏そのものだったダンが、どうして火遊びなんか…？
家庭が平穏だからこそ、刺激が必要だったんでしょうかね？
だったらそれこそ後腐れなく、コールガールでも買えばよかったのに…
モイラはそのあたりがちょっと疑問でしたね。

「一夜限りの遊びのつもりが、深みにはまって家庭崩壊にまで発展した」なんてことは、世間によくある話ですよね。
それでも、「一夜限りの情事」「後腐れないセックス」を望んでしまう男女がいる。
人間の愚かさ、軽率さ、どうしようもなさを見せつけられたような思いがしました。

★もっとマイケル・ダグラス！★