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2007.03.05

南国ロマンの香りも高く‥‥★「モスラ」

(8)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

特撮の巨匠・円谷英二氏と本多猪四郎監督は、「ゴジラ」をはじめとした怪獣映画の傑作を数々世に送り出し、
それらの作品は、海外でも非常に高く評価されていますが、
中でも、映像がひときわダイナミックな上に美しく、夢とロマンを感じさせるのが、 1961年に作られた「モスラ」（東宝）ではないでしょうか‥‥

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かつて水爆実験が行われ、放射能に汚染された死の島と呼ばれる南太平洋のインファント島に、日本の漁船が座礁するが、
船員たちはなぜか全員、放射能を浴びた様子が見られなかった。
この謎を突き止めるべく、原子力学の権威・原田博士（上原謙）、南太平洋の言語に詳しい学者・中条（小泉博）らの調査団がインファント島に派遣され、
新聞記者の福田（フランキー堺）も同行。
無人島と言われていたインファント島なのだが、島には身長３０センチほどの双子の娘（ザ・ピーナッツ）がいて、
水爆実験で辛くも生き残った原住民もいた！
物語に出てくる妖精のようにかわいい双子の娘‥‥
しかし、調査団のスポンサーで謎めいた男・ネルソン（ジェリー伊藤）が、彼女たちを生け捕りにし、
日本に連れて行き、金儲けのために劇場で見世物に仕立てた。
見世物にされ、鳥籠に監禁された双子の小さな娘たちは、テレパシーでモスラを呼ぶのだ。
モスラ‥‥それは水爆実験で死の島となり、それでも生き残ったインファント島の原住民が、守護神としてあがめている巨獣‥‥
島の洞窟の祭壇に、青白い光を帯びた巨大なモスラの卵が備えられ、連れ去られた双子の姉妹を島に帰してほしいと、原住民たちが陶酔したようにひざまずいて祈りをささげると‥‥
ゴオオオオ‥‥!!
中から巨大なモスラの幼虫が現れた‥‥！
そして幼虫は、双子の姉妹を救出すべく、太平洋を泳ぎ渡り、途中、豪華客船とぶつかって沈没させて東京に上陸し、街を這い、ダムもビルも人家もめちゃくちゃに破壊しまくるのだった‥‥！

モスラがまず卵から幼虫へ、そしてサナギになり、最後は巨大蛾のような成虫にと、次々に変身する‥‥
この七変化ならぬ「三変化」は、今までの怪獣映画にはないもので、観客を楽しませてくれました。
東京タワーの鉄塔に、モスラの幼虫が白い糸を吐きかけ、巨大な白い繭を作り、
熱戦放射機の炎もなんのその、やがて繭が割れ、色鮮やかな大きな羽を持つ巨大蛾となって、怪声をあげながら大空を飛び立つ一連のシーンは、もう圧巻でしたね！
モスラがただの凶暴な怪獣ではなく、心無い先進国が強行した水爆実験で生き残った南の島の原住民の守護神という設定も秀逸！
南の島のジャングルの奥深い洞窟で、モスラを神とあがめ、踊り、祈る原住民の姿。
そのモスラの「巫女」のような立場にいる双子の姉妹。
ザ・ピーナッツが歌う「モスラの歌」は、哀調こもったメロディの中にも、南国ロマンを感じさせますね。

核実験は神も許さぬ悪魔の火‥‥！
この映画は、そのこともよく教えてくれます。
いま、北朝鮮の核問題がしきりに取りざたされていますが、無類の映画好きといわれる金総書記にはもちろん、
核を公式、非公式にも持っている国々のお偉方、特に一番多く持っている米国のブッシュ大統領にも、この映画をじっくりと見せてやりたいものです。

★もっと「モスラ」！★