★モイラの名画座★

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2007.04.01

あまりにも悲しい‥‥！★「日本沈没」

(6)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

ちょうど１週間前、能登半島で大きな地震が起こり、被災者の方々が大変な苦労をされているようです。
３年前の秋には、新潟でも大きな地震がありました。
日本は世界有数の地震大国。
いつまた大地震に襲われても、不思議ではないし、
大惨事どころか、日本列島そのものがなくなってしまうかもしれない‥‥！
そんな恐ろしいテーマを掲げ、それこそ日本列島を揺るがす大ベストセラーとなった小松左京氏の小説の映画化、「日本沈没」（1973年　東宝）を、お届けします。

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深海潜水艦「わだつみ」の乗組員・小野寺（藤岡弘）と、ぶっきらぼうで風変わりな科学者・田所博士（小林桂樹）は、
海の奥深く、日本海溝を探索していた時、海溝に異常があることを知る。
田所博士によると、日本列島を支える層がなくなりつつあるというのだ。
「日本列島を支えるものがなくなったら‥‥どうなるかわかるだろ？」と、日本沈没を沈痛な面持ちで予測する田所博士。
ほどなく、東京を襲う大地震と大洪水。
政府は最初、国民にパニックを起こさせないように、田所博士の「日本列島沈没説」をひた隠しにしていたが、
田所博士自らがテレビ出演し、そのことを公表する！
まもなく日本各地を襲う大地震、津波、大洪水‥‥！
日本海側に住む人々は、自分たちの船で国外脱出を図るが、襲いかかる大津波に飲み込まれてしまう。
しかし自然災害の前に、人はなすすべもない。哀れ、日本列島は‥‥!!

監督・森谷司郎、脚本・橋本忍
この作品は「八甲田山」よりも前ですが、それこそ日本列島を揺るがすような空前の大ヒットを飛ばしました。
藤岡弘、小林桂樹、島田正吾、いしだあゆみ、丹波哲郎、二谷英明など、キャスティングもなかなか豪華！
特に、ぶっきらぼうで身なりに構わない、権威や御用学者を徹底的に嫌う田所博士を演じた小林桂樹は、光っていましたね。
日本が次々と大災害に見舞われている時、「先生は逃げないんですか？」と訊ねられると、
憔悴しきった顔で、「いや‥‥わしはこの日本と心中です‥‥」と答えるシーンには、涙が出ました。
「博士はそこまで日本を愛していたんだ。だからこそ、政府の意向を無視して国民に真実を早く伝え、一人でも多く生き残れることを祈っていたんだ‥‥」
モイラがこの映画を観たのは、まだほんの子どものころでしたが、
恐怖感よりも、胸にジーンとくるものがありました。

モイラはこの作品をパニック映画とは、とらえていません。どちらかというと、壮大な人間ドラマとしてとらえています。
人は危機的状況に陥った時、どういう行動をとるか‥‥？
どんな危機的状況に陥っても、自分を見失わないことが、果たしてできるか‥‥？
この映画は、そういうことを問いかけてきたような気がしてなりません。

唯一、ちょっと気に入らなかったのは、丹波哲郎演じる総理大臣が、国民のことを第一に考えて、カッコよすぎたこと。
大地震から命からがら逃れた都民が、皇居にどっと押し寄せると、
すぐさま宮内庁に電話を入れ、「皇居の門を開けて下さい！」。カッコよすぎるよ、あんた‥‥！
まあ、安倍晋三くんには見習ってほしいですけどね。

★もっと日本沈没！★