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2007.04.02

自然は厳しくも美しい…★「バンビ」

(6)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

動物が主人公の名作アニメは、これまで国内外で数多く作られてきましたが、
1942年にウォルト・ディズニーが製作した「バンビ」こそ、名作の中の名作と言っても過言ではないでしょう。

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深い緑の森の中で、一匹のかわいい仔鹿が生まれます。
森の動物たちは、そのバンビと名づけられた森の王子様の誕生に、大喜び！
歩き始めた仔鹿のバンビは、やさしい母鹿の保護のもと、いたずら好きのうさぎのとんすけ、スカンクのフラワーと友だちになり、仲良く遊びます。
湖で水を飲んでいたら、自分によく似た従妹の仔鹿・ファリーンが近づき、
初めて見る女の子にドギマギして、母親の後ろに恥ずかしそうに隠れたり…
そんなバンビを、森の王者と呼ばれる父親の大鹿が、いつも遠くから静かに見守っています。
寒い冬が森を襲い、森には食べ物がなくなり、木の皮を食べて飢えをしのぐ母子。
厳しい自然の中でも、母と子は体を寄せ合って生きていきます。
ところが、その母子の幸せは、人間が放った銃弾によって、突然打ち砕かれてしまいます！
いなくなった母を探し、森の中をさまようバンビの前に、父の大鹿が現れ、静かに告げるのです。
「お母さんは、もうお前とは二度と一緒に暮らせない……」
バンビの黒く、美しい大きな瞳から、大粒の涙がひとつ、またひとつ……

しかし…厳しい冬が過ぎ、森に春が訪れると、バンビは逞しい青年に成長し、
ほどなく恋をするのです…

製作にあたって、ウォルト・ディズニーがスタジオに本物の仔鹿を連れてきて、
仔鹿の仕草、目の動きなどを、ひとつひとつ丹念に研究したそうですが、
映画を観ると、「なるほど…」と頷けます。
仔鹿だけではありません。うさぎやスカンク、蝶々の動きもとてもこまやかで、森の風景も美しいだけではなく、自然そのものの厳しさを感じさせるような、リアルな映像でした。
それだけに、バンビが深い冬の森の中で、父から母の訃報を聞かされたシーンは、悲しさをかきたてられました。
緑ひとつない、薄暗い冬の森が、たった一人の母を突然なくしたバンビの目に、どう映っていたのか…… 想像するだけで、涙があふれました。
でも、自然というのは、そこに生きる動物たちにとって、それほど厳しいものなのです。
冬の寒さ、飢え、人間の銃弾……いつも死と隣り合わせ。
バンビは逞しい大人に成長するために、そのことを知らなければならなかったんですね……

仔鹿のバンビやとんすけ、フラワーの動きの可愛らしさ、おかしさは、言うまでもありませんが、
特に笑ったのが、大人になりかけのバンビ、とんすけ、フラワーが、
森のあちこちで、アツアツの恋をしている動物たちを横目で冷ややかに見て、
「僕たちはあんな浮かれ頭にならず、気高く生きよう！」などと言って、胸を張って森を歩きはじめたものの、
まずフラワーが、美しいメスのスカンクの誘惑にあっけなく陥落し、
次にとんすけが、可愛いメスのうさぎにウインクされて、たちまち恋仲になってしまったシーン。
母の死というとてつもなく悲しい場面から、一転して明るく笑える場面への展開…… さすがはディズニーです！

子どもさんをもつお母様方、ぜひこの名作を子どもさんとご一緒にごらんになってください！
自然の厳しさ、美しさ、思いやりの心、助け合いの心…… 子どもさんだけじゃない、大人も教えられることが、いっぱいあります！

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