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2007.04.04

ラーメン屋版シェーン？★「タンポポ」

(6)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

全国のラーメンを愛する人々に捧げた、ラーメン・ウエスタンと言えば‥‥もうこの作品しかありませんね。
そう‥‥1985年、伊丹十三監督の「タンポポ」です！

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とある町。未亡人タンポポ（宮本信子）が一人で切り盛りするラーメン屋に、
タンクローリーの運転手ゴロー（山崎努）がふらりと入るが、味が今ひとつで、店も繁盛していない。
ゴローはタンポポの店を繁盛させるべく、うまいラーメンのスープ作り、麺の硬さなどを、徹底的に仕込みはじめる。
ゴローの仲間を交えての猛特訓の日々。その間に、ゴローはけなげに働くタンポポに恋心を寄せるが‥‥
これは！という、おいしいラーメンが完成し、店が繁盛し始めると、
ゴローは一人、ふらりと店を去ってゆく。

モイラはこの映画を「ラーメン屋版シェーン」と呼んでいます。
山崎努と宮本信子の演技のうまさは、今さらモイラが言うまでもありませんね。
ことに、(失礼ながら）とりたてて美人でもない宮本さんが、おいしいラーメンを作るために猛特訓を受け、
おいしいラーメンがついに完成した時には、とても美しく輝いて見えました。
これほど顔の変わる女優さんも、珍しいのではないでしょうか？

名優たちがチョイ役で登場していたのも、この映画の面白さです。
たとえば、レストランで岡田茉莉子がプチブル風の奥様がたを集め、「スパゲティは音をたてて食べてはいけません」と指南している近くで、
外国人がズ～ルズルズルと音をたててスパゲティを食べているシーン。
それと、超一流フランス料理店に入った重役とその部下たちのシーン。
重役やその側近たちはメニューが読めず、やっとの思いでバドワイザー・ビールと、コンソメスープをオーダーするのですが、
一番下っ端のカバン持ちがメニューをすらすら読み、橋爪功演じるボーイに流暢なフランス語で、高級ワインや料理をオーダーし、テーブルの下で上司の高橋長英に足を蹴られるといった具合。
都知事選に出馬した桜金造も、ゴローの仲間の一人として出演しています。
生前は超グルメだった伊丹監督の「食に対するこだわり」らしきものが、ここかしこにうまく表現されていましたね。
往年のハリウッド映画を彷彿とさせる壮大な音楽も、面白い効果を出していました。
ただひとつ、難を言えば、この映画、200分はちょっと長すぎる‥‥
長いから、ダレるシーンも結構あります。もう少し割愛してもよかったのではと思うのですが‥‥

ラーメンのお好きな方、グルメの方は、必見です！もちろんお若い映画ファンも！

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