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2007.04.12

山口百恵、涙の熱演★「絶唱」

(4)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

今の４０～５０代の男性が、１０代のころに憧れたアイドルと言えば、やっぱりこの人ですね…

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山口百恵サンを知らないお若い方々のために、ちょっと紹介しますが、彼女は13歳の時、「としごろ」で歌手デビュー。
「ひと夏の経験」「秋桜」など数々のヒット曲を飛ばし、テレビドラマ「赤い」シリーズも大人気、
「伊豆の踊り子」「春琴抄」「古都」などの、著名な文芸作品が原作の映画にも数多く出演。
しかし1980年、三浦友和氏との結婚のため、多くのファンに惜しまれて引退しました。
きょう紹介するのは、彼女が主演で、大江賢次の小説が原作の文芸映画、「絶唱」（1977年　東宝＝ホリプロ）です！

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世の中が徐々に戦争に突入していった昭和10年代の鳥取の山間部…
貧農の中でも下に見られている山番の娘・小雪（山口百恵）は、若様と呼ばれる大地主の息子・順吉（三浦友和）と恋に落ちます。
しかし封建社会の色濃い田舎のこと、順吉の親はもちろん、小雪の両親も、「身分違いの恋」と、二人の交際には猛反対。
親から無理やり名家の娘との縁談を押し付けられた順吉は、思い余って小雪と駆け落ち。
二人は狭い下宿屋の一室で、貧しいながらも幸せに暮らしますが、
順吉の親は「山番の娘など…！」と、絶対に小雪を息子の妻として籍に入れさせず、
若い二人を支えるのは、下宿屋の心温かいおじさんおばさんと、時折、人目を忍ぶように様子を見に行く小雪の母だけ。
そんな時、順吉に召集令状が来て、彼は小雪と泣く泣く別れて戦地に…
愛する人の帰りを、けなげに働きながら待つ小雪は、やがて胸を患い…

身分違いの恋、召集令状、肺病… 悲恋ものの定番のような設定ですが、貧しい薄幸な娘役は、百恵さんにぴったりでした。
失礼ながら、彼女は美人じゃないし、一見したところ、「どこにでもいるお姉ちゃん」といった感じですが、
どこか翳があって、それが彼女の魅力を引き出していたようですね。
「小娘のくせに、生活に疲れたような顔ねえ…」と、モイラの亡き母は苦笑しながら彼女を見て言っていましたが、
事実、百恵さんは貧しい母子家庭に育ち、小学校か中学校時代は新聞配達をしていたそうですね。
だから、貧しい薄幸な娘役が上手…というよりは、むしろ「地」なんでしょうか？
TVドラマ「赤い運命」での、苦労に苦労を重ねた少女役も見事でした。

この映画を撮ったころの百恵さんは、テレビの歌番組、ドラマ、バラエティ番組出演、コンサートと超多忙。
その合間を縫って、鳥取の方言やせりふを覚えての映画出演…さぞかし大変だったと思います。
大地主の坊ちゃん役の三浦友和も、なかなかハマっていました。この人、のちにチンピラ役なんかを演じるけど、あの生真面目そうな顔は、「村の模範青年」のような役のほうが、断然似合ってます。
吉田義夫、花沢徳衛などの大ベテランも、主役の二人を上手に盛り上げていましたね。
監督は西河克巳。（モイラの出身大学の先生です）
「絶唱」は過去に、浅丘ルリ子・小林旭、和泉雅子・舟木一夫でも作られ、百恵・友和コンビはリメイク３作めです。

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