★モイラの名画座★

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2007.04.30

コリアン・パワー炸裂！★「シュリ」

(4)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

３年前、多くの日本女性をとりこにしたTVドラマ「冬ソナ」を皮切りに、韓流ブームが巻き起こり、今もペ・ヨンジュンをはじめとした韓流スターの人気は衰えません。
その韓流ブームの数年前、この韓国映画が日本で大ヒットしました。いわば韓流の先駆け作品かもしれません。
その映画とは‥‥ ジャ～～ン!!　 '99年公開の「シュリ」です！

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ユ・ジョンウォン（ハン・ソッキュ）をはじめとする韓国の情報部員たちは、韓国の要人を暗殺した北朝鮮の女工作員イ・バンヒを追っていた。
時おりしも、４年後にサッカーＷ杯を迎え、南北統一コリア・チームが結成、その前段階として、南北親善サッカー・ゲームが開催間近。国内は南北統一・融和ムードでわき返っていた。
ところがそんな時、韓国軍が運搬中だったとてつもない破壊力の液体爆弾CTX が、パン・ムヨン（チェ・ミンシク）をリーダーとする北朝鮮の工作員たちに強奪された！強奪メンバーには、恐るべき女スパイ、イ・バンヒの姿も！
そして、そのCTXは、韓国の要人や何万人もの観客が詰めかける南北親善サッカー･ゲーム会場の、ソウル市内の大スタジアムに仕掛けられた！
パン・ムヨンやイ・バンヒを探し、爆破を必死で食い止めようとするジョンウォンたち情報部員！
ところが‥‥その過程でジョンウォンは、衝撃の事実を知ってしまう!!

この映画が日本で公開されたのは'99年。それまでにも、韓国映画は細々と公開されていましたが、
どちらかというと、映像美を重視した藝術映画が主体で、
正直なところ、「韓国映画は日本でウケない」というジンクスのようなものがあったようです。
ところが、この「シュリ」は、見事にそのジンクスを破ったのです！
ハリウッド映画そこのけの大がかりなアクションに加え、南北の対立という、韓国ならではのテーマ、
ダイナミックなカメラ･ワーク、ハラハラドキドキのシーンの連続、山あり谷ありの面白いシナリオ、個性的な登場人物と配役‥‥
どうです、すべてにおいて、第一級の娯楽映画の要素を満たしているじゃありませんか！
これでは、ウケないわけがありません！
事実、モイラが映画館の座席に座った時、うしろの女の子が連れの男の子に言っていました。
「私、これ観るの二度目なんだよね。すっごく面白いよ～」
で、映画が始まって‥‥モイラは「なるほど。その通りだわ」と、頷きました。
何せファースト･シーンは、北の工作員たちが本物のナイフや実弾でゲリラ戦の訓練をする場面。訓練中に本当に人を殺してしまうんですから、すごい！というか、恐ろしい！
ファースト･シーンから、観客をぐっとひきつけていましたね！
う～む、娯楽映画はやっぱりこうでなきゃ‥‥！

主役のハン・ソッキュも、同僚の情報部員役のソン・ガンホも、良い演技をしていましたが、
モイラの目にいっちばん光って見えたのが、北の工作員リーダー、パン・ムヨン役のチェ・ミンシクです。
目や唇の動きや、ボソボソッとした言葉遣いで、見事に冷酷なスパイの表情を作っていて、一見しただけで、「あッ、この人は演技派だな」と思いました。いや～、韓国映画界にこんな演技派がいるとは思いませんでした！
顔の作りも、日本の名バイプレイヤー・本田博太郎にどことなく似ていて、日本人には親近感の沸く役者じゃないでしょうか？
「シュリ」を観てから、モイラは、チェ・ミンシクが大好きになり、彼が出ている映画は、字幕があろうがなかろうが観まくりました。

唯一ちょい不満だったのが、主役のハン・ソッキュがあまりいい男ではないこと。
主役なんだから、何も今どきの韓流スターとまではいかなくとも、もうちょっといい男を選んでほしかったです。

監督・脚本は、それまで日本では無名だったカン・ジェギュ。
この１作で、エンターティメントの名手の名を、ほしいままにしました。

★もっと、ハン・ソッキュ！チェ･ミンシク！★