★モイラの名画座★

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2007.06.19

恐ろしい話を喜劇仕立てに‥‥★「黄金狂時代」

(9)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

喜劇王チャップリンが、'25年に世に送り出した傑作「黄金狂時代」 ‥‥

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アラスカで金鉱が見つかるや、我も我もと一攫千金めざして、雪深い山地をめざしたゴールド・ラッシュ。
チャーリーも一攫千金を目指し、ぼろぼろの燕尾服にシルクハット姿で、
厳寒のアラスカを目指した。
ところが猛吹雪に遭い、やっとの思いで山の中のボロ小屋を見つけ、避難。
やはり一攫千金をめざす大男ビッグ・ジムも、そこへ避難した。
しかしジムは、小屋の先住者のお尋ね者に、掘り当てた金を盗まれ、
外は吹雪がひどく、日がたつにつれて食料は尽きていった。
飢えたチャーリーは致し方なく、自分のドタ靴を鍋で煮て、ジムと分け合って食べた。
靴の革をまずそうにかじるジム。一方チャーリーはうまそうに靴をパクパク。
ところが飢えのおさまらないジムは、チャーリーがだんだんニワトリに見えてきて、
ついに彼に襲いかかるのだった‥‥！
嗚呼、2人は金鉱を掘り当てることができるのだろうか‥?!

寒さと飢え‥‥ 極限状態の恐ろしい話を、
上質な喜劇に仕立てあげたチャップリンのすごさに、脱帽です。
あの有名な靴を食べるシーンは、抱腹絶倒でした。
本当においしそうに食べているのですから。しかも紐をスパゲティみたいに‥‥
チャップリンがジムの目にニワトリに見えるシーンも、笑い転げました。
恐ろしい幻覚なんですけどね‥‥

このシーン、日本で戦前に封切られた時は、観客は大笑いしたけど、
戦後再び公開された時、観客はおいおい泣いたそうですね。
当時は食料不足。みんながお腹をすかせていて、チャーリーやジムの飢えの演技を、
とても笑えなかったのでしょう。

チャーリーが酒場の女に惚れて、パーティに招待し、
ご馳走を作って待っていたけど来ず、寂しい顔でロールパンをフォークで刺し、
パンを足に見立てたダンスを演じるシーンも、心に刻まれています。
コミカルだけど、そこはかとない寂しさや哀しみを、上手に表現していましたね。

クライマックス、小屋が吹雪で山頂に吹き飛ばされ、
チャーリーやジムもろとも、谷底に滑り落ちそうになる大パニックのシーンにも、
大笑いできます。

モイラはこの作品を劇場で２回、TVでは３回ほど観ています。
もうかなり前ですが、NHKで放映された時、春風亭小朝が弁士を務めていたのが、
小朝の語りは、なかなかおもしろかったですが、
どうせなら、チャップリンを敬愛し、スイスで彼に会ったことのある
萩本欽一氏に、弁士をしてもらいたかったです。
（萩本氏はラジオの生放送中、チャップリンの訃報を知らされた時、号泣したそうです）

★喜劇王チャーリー！★