★モイラの名画座★

< 新しい記事

新着記事一覧(全1143件)

過去の記事 >

2007.06.18

てんこ盛りの娯楽アクション★「嵐を呼ぶ男」

(8)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

こんばんは！
昨日は日ごろの疲れが一気に出て、つい更新を怠ってしまい、申し訳ありませんでした。
どうも最近、急に暑くなってきたせいか、疲れやすくなっています‥‥

さあて、きょうの映画ですが‥‥
決して美男子ではないけれど、男臭い野性的な風貌と、立ち回りのうまさ、
そしてちょっとかすれてるけど、思わず聞きほれてしまう歌声で、一世を風靡した石原裕次郎‥‥
そんな裕ちゃんの魅力を最大限に表現している映画といえば、'57年の「嵐を呼ぶ男」（日活）でしょう。

石原裕次郎／嵐を呼ぶ男

国分正一（石原裕次郎）は、荒削りながらドラムの才能があったが、
持ち前の喧嘩ッ早さが災いしてバンドをクビになり、銀座で流しをしていた。
そんな時、銀座の名バンドのマネージャー福島美弥子（北原三枝）が、正一を臨時のドラマーとして雇い、
彼の才能を買い、正式なバンドメンバーにした。
ほどなく正一は、別のプロダクションに移った元ドラマーのチャーリーと
ドラム・コンクール
その前夜、チャーリーのプロダクションの手下が正一を痛めつけ、手を負傷させた。
コンクール当日、包帯を巻き、痛々しげにスティックを握る正一だったが、
傷が痛み、思うようにドラムを叩けない‥‥大ピンチの正一！
だが、ここで奇跡が‥‥彼は咄嗟に包帯を巻いた手でマイクを握り、もう片方の手だけでドラムを叩きながら歌い始めたのだ！
　♪おいらはドラマー　やくざなドラマー
　　おいらが怒れば嵐を呼ぶぜ‥‥

日活アクションに、派手な立ち回り、ヒロインとの恋があるのはお約束ですが、
この作品は、母と子のすれ違いあり、兄弟愛あり、芸能界の薄汚い裏取引ありと、
娯楽映画の要素がてんこ盛りでしたね。
あだっぽいクラブの踊り子メリー役の白木マリ、
喧嘩ッ早い兄貴と違って、品行方正で作曲家志望の弟役の青山恭二、
同じアパートに住む清楚な少女みどり役の芦川いずみ、
バンドリーダーで、美弥子の兄慎介役の岡田真澄、
日活のおなじみの役者たちが、それぞれの持ち味を目一杯出していたのも、印象的です。
全体的にちょっとだけ「母もの」的な要素が強調されているのが、
しめっぽいかなあとも思いましたが、
それがまた日本人受けしたんでしょうね。
この映画、封切られるや、爆発的にヒットし、裕次郎は嵐ならぬ「客を呼ぶ男」と呼ばれたそうです。
また、青山恭二がオーケストラの指揮をするシーンがあるのですが、これが全然曲とあっていないひどいしろもので、
その「かっこ悪さ」が、裕次郎の「かっこよさ」と対比され、却ってウケたというのですから、おもしろい‥‥
裕次郎が留置場の鉄格子をボールペンでドラムがわりに叩き、
「おーい、うるせえぞ、この野郎！」と怒鳴る留置人の一人が、
裕次郎が叩くドラムの吹き替えをしたフランキー堺というのも、笑えます。

主題歌が大ヒットしたのは、いまさら書くまでもありません。
モイラも、「この野郎、かかってきやがれ！」で始まるある歌のセリフが大好きです。
映画学科の学生時代、あのセリフをいかに間違えずに言えるかを
友人たちと競い合ったものでした。

監督は井上梅次。月丘夢路さんのだんな様です。

★石原裕次郎FOREVER★