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2007.07.01

日本の刑事ドラマの原点はこれ！★「野良犬」

(4)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

骨太な構成と、ダイナミックな映像で、その名を世界に知らしめた巨匠・黒澤明‥‥

黒澤明「生きる」言葉

黒澤監督は、まだ敗戦の傷跡が色濃く残っている昭和２４年の東京を舞台に、
現在、テレビでよく放映されている刑事ドラマの原点とも言える作品を、撮っています。
映画ファンの方々なら、もうおわかりですね‥‥そう、「野良犬」（東宝）です！

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警視庁捜査一課の新米刑事・村上五郎（三船敏郎）は、
帰宅途中、バスの中で拳銃をスラれてしまった。
そして、スラれた拳銃は凶悪犯の手に渡り、強盗事件が起こった！
血眼になって犯人を追う村上。それを助けるベテラン刑事・佐藤（志村喬）。
ところが、そんな二人をあざ笑うかのように、また強盗事件が起こり、若い主婦が惨殺されてしまうのだった‥‥！

メイン･タイトルバックで、薄汚れた黒い野良犬が、
炎天下、舌を出しながらハアハア、ゼエゼエ息をしているのが、まず目を引きました。
真夏の照りつける太陽の下、汗まみれ、泥まみれになって犯人を追う村上刑事も野良犬ならば、
行き場を失って逃げ惑う犯人・遊佐（木村功）もまた野良犬でした。
バスの中で拳銃をスラれるというショッキングな出だし、
スリを執拗に追い回し、復員兵の変装をして（このあたりが時代です）、拳銃密売ルートを突き止めるまでの若い刑事のがむしゃらな姿、
巨人戦の真っ最中の後楽園球場での捕物（川上哲治が出ていましたね）、
ベテラン刑事との聞き込み、犯人・遊佐の幼馴染のダンサー・ハルミ（淡路恵子）との接触‥‥
復員兵姿で三船氏が歩き回るシーンは、ちょっとくどいですが（ＢＧＭは「東京ブギ」！）
刑事ものの王道を踏まえた上で、
真夏の暑い日ざし、「何かが起こりそう」と観客に思わせるような雷鳴、
車軸を流すような大雨といった天候の変化が、
サスペンスをなおいっそう盛り上げていました。
ラスト、村上刑事が犯人を追いつめ、逮捕する場面は、息を呑むような迫力でした。
この作品で実質的な映画デビューを果たした木村功が、大変な熱演でしたね。

警察官は戦後、拳銃を所持するようになったのですが、
その扱いに不慣れで、中には拳銃をどこかに置き忘れる刑事がいたそうです。
（今じゃありえませんよね‥‥）
その話を警視庁の人から聞いたシナリオライター・菊島隆三氏が、
この作品のモチーフとしたのです。
現在、警察官の拳銃の管理・使用は大変厳しく、正当な理由で発砲した場合でも、
始末書を書かされるそうですね。

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最終更新日 2021.06.08 20:10:05
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■コメント

おはようございます。

ぶらぼーおやじさん

「野良犬」はテレビで観たのですが、街の風景、そして佐藤刑事（志村喬）の住む郊外の風景に、何か、はっと、させられたような気がしました。

(2007.07.03 05:11:28)

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Re:おはようございます。(07/01)

モイラ2007 さん

ぶらぼーおやじさん、おはようございます。

＞「野良犬」はテレビで観たのですが、街の風景、そして佐藤刑事（志村喬）の住む郊外の風景に、何か、はっと、させられたような気がしました。
-----
東京東京と言うけど、この映画の頃は東京も
一部の繁華街を除けば、結構な田舎だったようです。
でも、なんかなつかしい風景ですよね。 (2007.07.03 09:02:59)

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Re:日本の刑事ドラマの原点はこれ！★「野良犬」(07/01)

王道名なしさん

ヘフレレ名義でトラックバックさせていただきました。
グイグイ引っ張るストーリーですよね。
変に観念的だったり、正義感が暴走したりしないので、私は好きな作品です。
(2007.07.05 04:12:21)

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Re[1]:日本の刑事ドラマの原点はこれ！★「野良犬」(07/01)

モイラ2007 さん

王道名なしさん、こんにちは♪

＞ヘフレレ名義でトラックバックさせていただきました。

TBありがとうございます！

＞グイグイ引っ張るストーリーですよね。
＞変に観念的だったり、正義感が暴走したりしないので、私は好きな作品です。
-----
若い刑事のがむしゃらさと、べテラン中年刑事の落ち着いた対応のコントラストが良かったです。
犯人を追いつめるシーンで使われる子どもたちの歌、のんびりしたピアノの旋律が
却って追い込みの緊迫感を強調していました。
(2007.07.05 11:23:43)

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