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2007.07.12

色と欲のモンスター★「血と骨」

(3)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

美男美女の純愛が歌い文句の韓流ブーム（ヘンな言葉！）に踊り、
「ヨン様！」「ビョン様！」と黄色い声をあげていた女性たちの、韓国に抱いていた甘く優しいイメージを、
完膚なきまでにぶちこわした作品‥‥それが、
「月はどっちに出ている？」「クイール」などの名作を撮った在日韓国人の崔洋一監督の
「血と骨」

血と骨コレクターズ・エディション（初回限定生産）(DVD) ◆20%OFF！

大正末期、金俊平（ビートたけし）は、一旗あげるために済州島から日本にやってきた。
そして７年後、飲み屋をやりながら幼い子を育てる李英姫（鈴木京香）を強姦、
むりやり結婚し、二人の子をもうけた。
戦後、俊平はカマボコ工場を作り、富を得るが、
彼は恐ろしく暴力的で、金銭欲と色欲の塊のような男。
実の子でも半殺しにするような暴力を振るい、家族にはびた一文出さない上、
家の隣に妾宅まで構える始末‥‥

原作は梁石日の同名長篇小説。
凄まじいまでの色と欲に生きた男の一代記なのですが、
小説では身長１８０センチ以上ある主人公を、小柄なビートたけしが、
迫力と独特の雰囲気で、暴力の権化のような巨漢を熱演していました。
俊平の家の畳や壁が、ちょっときれいすぎるのと、
ビートたけし以外の役者が、容貌も仕草もまるっきり日本人っぽいのが気になりましたが、
父と子で凄まじい乱闘を繰り広げるシーンは、ド迫力のひとことでした。
金貸しとなり、取立ての時、自分の腕を出刃包丁でブスリと刺し、
「銭はわしの血や。お前はわしの血を吸うたんや！」と脅すシーンも、見ものでした。
暴力と欲だけで富を築いた男・俊平‥‥しかし、
彼を色と欲のモンスターにしたのは、いったい何なのか‥‥？
なぜ彼がそこまで金に執着するのか‥‥？
そのあたりをもっと深く描いていれば、さらに見ごたえがあったでしょうね。
強姦の果てに結婚した妻や子を愛しもせず、
おのれの欲望のままにふるまい、ひたすら暴力を頼って生きた男‥‥
ある意味、「すごい男」ですね。
「こんな人間がいるなんて‥‥」という驚きと新鮮さにあっけにとられた作品です。

★もっと崔洋一監督！★