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2007.08.13

親子の情愛★「怪獣島の決戦　ゴジラの息子」

(4)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

昭和ゴジラシリーズ８作目の「怪獣島の決戦　ゴジラの息子」（'67年　東宝）は、
「スケール小さすぎ」「ゴジラの顔が良くない」などと、評判はイマイチのようですが、
ゴジラ親子の情愛
ほほえましい一作ではないかと思うのです。

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楠見博士（高島忠夫）一行は、近い将来訪れるであろう地球の食糧危機を回避するため、
南太平洋の無人島ゾルゲル島で、気象コントロールの実験を行っていた。
そこへトップ屋の伍郎（久保明）が飛び込み、
ほとんどむりやり一行に加わったのだが、彼は無人であるはずの島に、
若い娘（前田美波里）がいることを知った。
一方、島は度重なる実験の影響で異常気象に見舞われ、
カマキリが巨大化した怪獣カマキラスが出現！
そして、岩場でカマキラスに突かれていた大きな卵からは、ゴジラの子どもが‥‥！

前作の「ゴジラ・エビラ・モスラ　南海の大決闘」と同様、
ゴジラ映画の見ものだった、精巧なセットを使った街ぶっこわしや
自衛隊の応戦シーンがなく、舞台はゾルゲル島だけ。
予算が削られてしまったから、大掛かりなセットが使えないのは仕方ないのですが、
それでも、カマキラスやクモンガの動きはかなり細かく、
「南海の孤島に行ったら、本当にこういう巨大カマキリやクモがいるんじゃないか」と、思わせるようでした。
ゴジラの造形は、確かにあまり良くないし、卵から出てきた赤ん坊ミニラを最初に見た時、
「何これ？ぶっさいく～！」と、正直がっかりしましたが、
人間こそ学ぶべきゴジラ親子の絆と情愛は、心を打つものがありました。
ゴジラ、なかなかの教育ママ（パパ？）ですね。湖の畔でミニラに放射能の吐き方を何度も教えたりして。
ミニラはなかなかうまくできず、ぐずりかけるのですが、
ゴジラが「だめ！できるまで練習しなさい！」と背中を押す場面‥‥
結構覚えのある方、いらっしゃるんじゃないでしょうか？

若き前田美波里の野生味溢れた弾けるような肢体に、見とれた男性は数多いことでしょう。
久保明の登場場面は、ちょっとびっくり。いきなりパラシュートで島に来て、「取材させてくれ」って‥‥「電波少年」か?!
でもこの人、とりすました熱血漢の二枚目よりも、この作品の役のような「ちょい三枚目」が似合っていますね。
高島忠夫は悪いけど完全なミスキャスト！
あの明るい童顔に、気難しい博士役は似合いません。白髪で役作りをしていたけど、不自然もいいとこでした。
それと気になって仕方なかったのは、土屋嘉男のブチキレぶり。
この人、しょっぱなから「七人の侍」の利吉よりハイテンションの、今にもキレそうな不機嫌そのものの顔してて
絶海の孤島での女ッ気のない幽閉にも似た生活、異常気象や巨大怪獣の登場で、不機嫌マグマはさらに沸騰し、
ついにキレてわめき、暴れだし、同僚に銃を向けるんですが、
日本ではバリバリ仕事ができても、一歩日本の外に出ると
まるっきりダメになる、海外出張の適性に著しく欠けていた人だったんでしょうか？
きっと、楠見博士は部下の適性検査をきちんと行わなかったんでしょうねえ‥‥

監督は福田純。特撮は有川貞昌。特撮監修は円谷英二大先生です。

★ゴジラ！★