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2007.08.22

撮影わずか２週間！★「続網走番外地」

(2)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

1965年（昭和40年）に第１作が封切られ、東映ヤクザ映画の金字塔と呼ばれた「網走番外地」は、
最初シリーズ化の予定はなかったのですが、
第１作の予想外の大ヒットを受け、早速同じ年に第２作がクランク・イン、
全部で18作もの大型シリーズとなったのです。

きょうはシリーズ２作め、「続網走番外地」 ('65年）をおとどけします！

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函館で銀行強盗事件が起こり、金庫に収納されていた大量のダイヤモンドが盗まれた。
折りしも極寒地獄の網走刑務所を晴れて出所したヤクザの橘真一（高倉健）は、
ムショ仲間の大槻（アイ・ジョージ）と青函連絡船に乗り込んだが、
女スリのユミ（瑳峨三智子）に財布をすりとられたり、
果ては函館の銀行強盗犯と目され、追われる身になったりと、
シャバに出たばかりで、踏んだりけったり。
真一は己の潔白を証明するため、自ら真犯人を追う決心をする‥‥！

１作めの大ヒットを受けて、大慌てで作られた続編で、
撮影期間はわずか２週間！
しかし、とてもそんな短い期間に撮影されたとは思えないほど、
映画全体のスケールが大きくて、ストーリー展開もヒッチコック映画を思わせるような
上質なサスペンスと、ユニークな人間模様に満ちています。
（第１作はモノクロ、以降はすべてカラー）
函館から今はなき青函連絡船へ乗り、津軽海峡を渡って青森へ‥‥
その遠い道のりは、飛行機時代の今では味わえぬ旅情、
そして当時、北海道という所が、いかに隔絶された土地だったかを、彷彿とさせます。
真一が財布をすられたことに気づき、ぶつかったユミを呼び止めた時、
「あんた、感度いいわね」というユミのセリフも、なかなかシャレてました。
瑳峨三智子さん、母上の山田五十鈴さん譲りの演技力と色気を持ち合わせてたのに、
睡眠薬依存症で銀幕を去ってしまったなんて、もったいない‥‥
青函連絡船に乗り合わせるストリップ一座の女座長・三原葉子も、
ボリュームのあるお色気をムンムンと発揮していました。
赤ん坊を背負った彼女の亭主役大坂志郎がまた、
女房の豊満な肉体に養われている情けない気弱な男を、リアリティ満点に演じていましたね。
狂言まわしのひょうきん者田中邦衛、どこまでも腹黒い悪役の安倍徹、
なぜか、健さんが窮地に陥った時、まったくもってタイミングよく現れ、
渋くかっこ良く、ドスをきかせて相手を黙らせる鬼寅親分役の嵐寛寿郎。
登場人物の性格描写、行動が、実に気がきいているというか、
娯楽映画の王道を行っていますね。
「世の中のクズと言われる渡世人だが、非道や卑怯な真似は許さねえ！」とばかりに、
大ワルを次々とやっつけたり、病気の赤子を救おうと、診療拒否をする医者に食ってかかる健さんは、
絵になりすぎて、かっこ良すぎ‥‥！

監督・脚本は石井輝男。う～ん、やっぱり石井監督はすごい！

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