★モイラの名画座★

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2007.12.01

宮仕えは今も昔も変わらず★「武士道残酷物語」

(2)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

おはようございます。映画狂のモイラでございます。近頃またバタバタと忙しくなり、このブログをはからずもお留守にしてしまいました。

もうすぐ、日本人の大好きな「忠臣蔵」の季節ですね。
あれは文字通り忠義の物語、モイラに言わせれば、一人のキレやすいバカな城主のために（仮にも一国一城の主が、いくらムカついたからって、将軍様のいる殿中で刀振り回すかあ?!）
大勢の家臣とその家族が犠牲になるという、残酷物語です。
きょうとりあげる映画は、題名通り「武士道残酷物語」（'63年　東映）。
城主（今なら会社）に忠誠を尽くすのが、家臣（社員）の務めとはいえ、
そのために大切なものをすべて失ってしまう男たちの悲劇であり、
武士道の非人間性、理不尽さを告発した今井正監督の傑作です。

武士道残酷物語

高度経済成長の真っ只中、大手ゼネコンの社員・飯倉進（中村錦之助）は、
上役からダム建設の入札を任され、大葛藤の末、ライバル会社の秘書を務める恋人（三田佳子）を利用したが、
愛する進に利用されたことを知った彼女は、自殺未遂。
ショックを受ける進。そんな時、飯倉家の先祖たちの行状を書き記した古文書を見つけ、
先祖たちが「武士道」「忠義」の名のもとに、悲惨きわまりない生涯を送っていたことを知るのだった‥‥！

７話オムニバス映画で、冒頭は現代のサラリーマン社会、
そこから一気に江戸時代にさかのぼり、やがて幕末、文明開化、
そして太平洋戦争へと、時代は移り変わります。
ご先祖様たちは、すべて錦之助が演じていて、
その演じ分けも、なかなか秀逸でした。
中でも悲惨だったのは、なまじ容貌が美しかったばかりに、城主の小姓に命ぜられ、
夜の相手をさせられた挙句に、城主の側室との三角関係の果てに、去勢させられる男の役‥‥
すさまじかったですね‥‥でも、ほんの、ほんのちょっぴり救いがありました。

日本人ってどうして「忠義」「掟（規律）」って言葉に弱いんでしょうかね？
なんで上司の命令とはいえ、悪いことに手を染めたり、もっとひどい時には
上司の罪かぶって死ななきゃならないんでしょうね。
官僚の汚職なんかの、トカゲの尻尾切りってやつ、モイラにはさっぱりわかりません。
モイラなら収賄容疑で逮捕されても、「あの上司も汚職にかかわってる。あいつも、あいつも‥‥」と、取調べでべらべら全容をしゃべっちゃいますねどね。
自分を押し殺してまで、自分の命を捨ててまで得る見返りなんてもんが、
いったいこの世のどこにあるのか?!
今井監督はそれを言いたかったのだと思います。

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