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2008.01.05

奥深いフレンチ・ミュージカル★「自由を我等に」

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

映画がサイレントからトーキーに変わった頃、
フランスで愉快な、しかし奥深いミュージカル映画が誕生しました。
この映画はハリウッドにはもちろん、
当時の日本映画にも、大きな影響を与えました。
この時代、日本の映画人にとっては、この作品は最良の教科書で、
ルネ・クレール監督
その映画とは‥‥1931年の「自由を我等に」！

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抜け目のないルイと、お人好しでのんびり屋のエミールは囚人。二人は刑務所を脱走するが、エミールは捕まって逆戻り。
ルイは逃げのびて、道端でレコードを売る商売を始めた。
それを皮切りに、ルイは店を持つようになり、
やがて巨大で超近代的なレコード製造工場の持ち主となり、巨万の富を築くまでに‥‥
そんな時、エミールが満期出所し、街角でひと目惚れした若い娘ジャンヌに近づくため、
ジャンヌが働く工場で自分も働くことに。
そして、なんという偶然か、そこはかつてのムショ仲間ルイが経営する工場‥‥
前科はあるが、邪心のひとかけらもないエミールは、懐かしさからルイとの再会を喜ぶが‥‥

檻の中の暮らしから自由を求めて抜け出し、巨万の富を得たものの、
「いつか自分が脱獄囚であることがバレるんじゃないか」と、
内心いつもビクビクしているルイ。
そんなルイのまわりに集まるのは、金目当てで結婚しようとする女や、無心に来る有象無象ばかり。
「人は富を得ても、必ずしも幸せにはなれない、まして完全な自由など得られない。いやむしろ、金や名声に縛られ、自由を失ってしまう」
この映画はミュージカル形式をとっていて、愉快だけど、とても意味深く、「人間にとって本当の自由とは何か？幸福とは何か？」という
有史以来、古今東西の数多くの文学者が、宗教家が、哲学者が、劇作家が、映画人がつきつめようとした
永遠のテーマを問いかけています。

ルイが金目当てで近づいた女が逃げたことを知り、
腹の底から愉快そうに笑うシーンが、非常に印象的でした。
もちろん、一番愉快で、かつ考えさせられたのは、ラスト・シーン。

今観ても古さをまったく感じさせない、永遠の名作です！

★モイラの大好きなフランス映画★