★モイラの名画座★

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2008年01月17日

偉大さと崇高さと★「ガンジー」

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

インド独立の父マハトマ･ガンジーの波乱に満ちた生涯を描いた名作映画
その名もずばり「ガンジー」 ('82年　英=印）‥‥

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ロンドンで法律を学び、弁護士となったガンジー（ベン・キングスレー）は、
仕事先の南アで、肌の色からひどい差別を受け、
人間を抑圧するものへの激しい抵抗の意識が芽生えた。
彼は「非暴力・非服従」の精神から、抵抗運動の指導者なっても
決して武器を持たなかった。
英国に支配されたインド国民の独立運動を指揮したことで、何度も逮捕され、
彼の仲間たちも大きな痛手を受けるが、
決して屈しないマハトマ・ガンジー。
英国人にも彼を支持する人が現れ、やがてインドは夢にまで見た独立を果たすのだが‥‥

モイラは冒頭、ベン・キングスレー演じるガンジーが登場した時、驚きました。
「うわ、ガンジーが生き返ったか?!」
それほどガンジーになりきっていましたね。
ガンジーの葬儀のシーンのエキストラの数にも仰天しました。

「非暴力・非服従」‥‥抵抗運動をするにあたって、
もっとも困難なこと
聖書には、「右の頬を打たれたら、左の頬をも向けよ」という教えがありますが、
ガンジーはキリスト教徒ではないけど、その教えをまさに行動に移したのです。
英国の製塩事業の独占に抵抗の意志を示すため、
インドの民衆が次々と武器をもった英国人に歩み寄り、
まったくの無抵抗でめった打ちされるシーンには、息を呑みました。
民衆をここまで導いたガンジーという人のカリスマ性と
彼自身の崇高な魂に、圧倒されました。

でも、インドがあれほど夢見た独立を果たしてからが、悲しいです。
イスラム教徒がガンジーと袂を分って、パキスタンを建国。
せっかく独立を勝ち取った祖国で、ヒンズー教徒とイスラム教徒が、
血で血を洗う内戦状態が勃発してしまうのですから。
多神教と一神教‥‥確かに互いにまったく相容れないものですが、
だからといって、相手を殺してもいいなんてことはないはず。
有史以来、何度も繰り返されていることですが
本来人を救済するはずの宗教に誤った解釈をした人間たちが、他者を無惨にも殺す‥‥
この人間の愚かさを、ガンジーは心の底から悲しむのです。

この映画は、名セリフの宝庫でもあります。
ガンジーのセリフで、心に残ったものを挙げますね。
「不正な人間がいるように、不正な法律もある」
「貧困は最悪の暴力である」
「私はヒンズー教徒であり、イスラム教徒であり、キリスト教徒であり、ユダヤ教徒だ」

しかし、モイラの心に一番響いたのは、支配者側に抵抗するのを渋る民衆を
ガンジーが静かに説得するこの言葉です。
「彼らは死体を手にしますが、服従は手にできません」

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