★モイラの名画座★

< 新しい記事

新着記事一覧(全1118件)

過去の記事 >

2024年02月01日

あいりん地区オールロケの傑作！★「野獣刑事」（1982年　東映）

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

こんばんは、映画狂のモイラでございます。

今宵お届けする名画は、大阪の超ディープな街・あいりん地区（釜ヶ崎）を舞台にした
ハードでワイルドなサスペンスの傑作……その名も……

「野獣刑事」でございます！

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

野獣刑事 [ 緒形拳 ]
価格：3,960円（税込、送料無料) (2024/2/1時点)

楽天で購入

日本屈指のドヤ街、大阪は西成のあいりん地区（釜ヶ崎）を管轄とする今宮署の中年刑事・大滝誠次（緒形挙）は、
マスコミに事件をリークして、酒はおごらせるわ、
犯人逮捕のためなら、別件逮捕やおとり捜査は平気でやるわ、
府警本部の偉いさんにはぞんざいな口をきくわで、
署内でははみだし者と目されていた。
また大滝は、かつて自分が覚せい剤取締法違反でパクったチンピラ・阪上利明（泉谷しげる）の情婦で
子持ちのピンクキャバレーのホステス・山根恵子（いしだあゆみ）とも、肉体関係を結んでいた。
そんな中、木津川べりで女子大生がズタズタに刃物で刺されて殺される事件が起こり、
大滝は真っ先にその事件現場に駆けつけた。
調べてみると、被害者の女子大生は夜はコールガールをしていたことがわかった。
そんな折、阪上が刑期を終えてムショから出て来て、
強引に恵子とよりを戻すのだったが……

派手なカラーのオープンシャツにグラサンのはみだし刑事役を
超名優の緒形挙さんが、それは上手に演じていましたね！
この人、役柄の幅が本当に広いので、いつも感心してしまいます。
シャブで完全にイッちゃって、わけのわからないことを叫びながら暴れまわる
ドチンピラ役の泉谷の兄さんも、実に良い味を出していました。
でも、それより驚いたのが、ピンキャバホステス役のいしだあゆみさん。
あいりん地区のおんぼろアパートに、小学生になったばかりの息子・稔と住み、
肉体を売りながらも、しっかり母親役も務めている健気な女を
リアリティたっぷりに演じていましたよ。
あゆみさん、この映画で初めてヌードを披露するのですが、
ほっそりとした身体つきには不似合いなくらい、胸が大きかったのには驚きました。
ロードショーで観ていモイラは、つくづく自分の貧乳と比べてしまって落ち込んだものです。

東大仏文科卒の神波史男氏のオリジナルシナリオを、
名匠・工藤栄一監督が、あいりん地区やコリアタウン鶴橋などを
なんとオールロケで撮っているのだからすごい！
モイラはあいりん地区のすぐそばにあるキリスト教会・大阪救霊会館の主任牧師の先生と知り合いなので、
あいりん地区を訪れたことがありますが、
警察の許可をとっていない露店では、病院で処方されたらしい精神安定剤やタバコがバラ売りで売られているわ、
垢まみれのホームレスのおじさんたちが、昼間から酒をかっくらっているわ、
街の自動販売機では、なんとたった30円の飲み物が売られているわ（さすがにモイラは飲んだことありません）、
どう見てもモイラより年上の街娼はいるわ……
それはもう、超ディープな場所でした。
地区のはずれ（たぶん）の環状線・新今宮駅のトイレには、
「トイレに注射器を捨てないで下さい」という貼り紙が貼ってあったのには、
さすがのモイラも大いに驚きましたね。
そんな超ディープな街でロケを繰り広げた撮影スタッフには、脱帽です！

工藤栄一監督はモイラの映画人だった亡き父とも、仕事の縁でよく一緒に飲みに行ったといいます。
とてもざっくばらんで、飾らない方だったと亡父は言っておりました。

では、おやすみなさい……

★映像の刺客・工藤栄一監督昨品あれこれ★