しんどう先生 南風一
7、8才の子どもの世界は小さい
家から幼稚園や小学校までの
でこぼこ道と
道の両脇に広がる田んぼ
田んぼの間を縫うように流れる小川
暑い日射しの下
緑色のすいかがごろごろしている畑
そんな中を
向こうから日傘を差したおばあちゃんが歩いてくる
そのおばあちゃんには確かに見覚えがあった
たしか幼稚園の頃
隣の組を教えていた先生だった
私はちょっとうれしくなって
「こんにちは」と声をかけた
「こんにちは・・」
確か先生も返事を返してくれたように思うが
私のことを覚えている風でもなかった
私はちょっと落胆した
私の方は「しんどう先生」と名前まではっきり覚えていたのに・・・
振り返ってみると
しんどう先生はそれでなくても痩せ細ってがりがりだったけど
陽炎の立つ道を遠ざかっていく後ろ姿はますます弱々しかった
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