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2012年11月25日
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Violin by  Kate Bush

コマの上を渡る4本の絃たちよ、
オーケストラから飛び出して、
私を震えるトリルの世界へ連れて行って!
バーで酔いどれた気分にさせて!

震える音色でワタシを満たしておくれ!
震えでワタシをいっぱいにして!

弓を動かし続けるのよ!
私に向かって

バイオリン!
バイオリン!
バイオリン!

煙突の上のパガニーニはバイオリン弾き
暴君ネロや魔物を従えた舞踏の神
あの魔王を私の弓に取り込むのよ!

死する聖母マリアのために
泣き叫ぶバンシーの悲鳴を
ワタシに奏でさせて

バイオリンを構えてワタシは揺れる
あぁ、ジョニー!

か、か、体が滑稽なほどに揺れているわ!

弓を動かし続けるのよ!
私に向かって
その金切り声を上げてちょうだい!
バイオリン!

バイオリン!
(キーコキ、キーコ、キーコ、キーコ・・・)

http://www.youtube.com/watch?v=GoQHVEXODgg

*************

久しぶりとなりました。
過労とストレスで病気になり休養中です。あと、どれくらい生きられるのかな~・・なんてことまで思うこの頃、なぜかケイト・ブッシュです。

で、この曲。・・く、狂っていますね。。。
彼女の音楽はそんなに聴き込んではいないのですが、この曲だけはリリース当時より特に好きでして、長いこと愛聴しています。ミュージシャンと総称される方々も、徹底した職人気質の奏者とか、いわゆるスターと言われる人など、いくつかに分類されると思うのですが、この方は実に、「表現者」という肩書きがピッタリに思えます。
そしてこの曲ー。当時はただただ、調子の面白さに魅了されて、単に不協和音をもてあそんでる現代音楽とも違うし、どうすりゃこんな曲が書けるんだろう、と感嘆いたしておりました。
実は、中学から大学までの10年間、音楽学校のピアノ科で学んでいた私なのですが、中学に入ってすぐに、バイオリン科の連中が羨ましく思えるようになりました。なんと言うか、ピアノよりももっと楽器と一体化出来るし、陶酔の世界に入り込みやすい、演壇で奏する立ち姿や表情も(これは、人によってかもですが)、ピアニストよりカッコよく見えたからです。あと、ピアノ曲より暗譜が楽そう、持ち運び可能な楽器だから、長期旅行に行けそう、等などいくつか理由がありました。だがしかし、必修科目のバイオリンの授業を受けてすぐさま、こりゃ~ダメだ!と諦めましたが。

そして齢を重ねた今、改めて聴くケイト・ブッシュのこの名曲(迷曲)・・。
バイオリンという楽器の持つ特性を通して、「人の狂気」を、なんと巧みに表現していることかと、ひたすら驚愕!
色んな楽器があれど、あの、金属弦から擦り出される甲高く鋭い音色が、すぐ耳元から脳天を突き抜けていくことを想像すると、最も人を狂わせる魔力を持っているのは、バイオリンのような気がします。
時代問わず、卓越した音楽家には奇人変人が多いのが常で、それに伴ういわれも様々ですが、後代のマエストロ達にも多大な影響力を及ぼした、超絶技巧を誇るバイオリニストで作曲家のパガニーニは、悪魔に魂を売り渡してその演奏技術を得たと噂されたほどの奏者であったそうです。同じくそれより少し前の時代を生きたイタリアの作曲家・タルティーニが残した「悪魔のトリル」というバイオリン曲も、彼の夢に悪魔が出てきて、「魂をくれたら名曲を授けよう。」と言い、その申し出を受けて書かれた楽曲であることはあまりに有名な話。なにやらその時の様子を描いたブキミな絵画も、子供心に大変印象的な作品でした。
そんな風に、“バイオリンと悪魔”という結びつきは、昔から定着したイメージであるようです。

音大卒業後、某私鉄を使って音楽教室勤めをしていた頃、教え終わると大体9時頃だったでしょうか。ある日の帰路のこと、その“遭遇”がありましたー。
毎度のガラ空き上り電車の先頭車両に乗り込み、最前シートに座った私の眼中に入ったのが、運転席のすぐ後ろの乗降ドアの窓ガラスにもたれかかるように立つ色白の少年。車輌には2人きり。
・・・ガタン!
と、列車が動き始めた最初の震動と同時に、その少年の右腕が、スッ!と高く揚げられました。つき立てられた人差し指は、窓ガラスをなぞっています。
ガターン、ガタン、ガタッ、ガタッ、ガタタン、ガタタン・・・・。
軽快かつリズミカルに速度が増すとともに彼の腕の上下運動も加速、次第に体全体がうねり始め、長めのサラサラ髪を振り乱し、最高速に達した時、人差し指が窓ガラスを細かく引っかく動作に加え、ついには全身が痙攣したような興奮状態に到達!!そばに座ったまま、始めは唖然とその様子を見ていた私でしたが、こりゃもうコイツは気絶するんじゃなかろうかと、手に汗を握り締め固まっておりました!
ーがしかし、次の駅が近づいて列車のテンポが減速するにつれ、彼の「指揮」もそれに合わせて徐々に穏やかな動きへと移り変わり、停車とともにピタリと人指先がガラスに押し当てられたまま停止。頭を窓ガラスにもたれかけ、そこに映った自分の恍惚の表情をうつろな目に映したような状態に、“初期化”されておりました。思わず安堵の息をつく私の向かいの席に、乗り込んできた3人位の若い男の子達が座ったのですが、プシュ~~ッと再びドアが閉まり、
・・・ガタン!
スッ!とあがる人差し指。
「え?」という表情の男の子達の目線がその指先に集まる。
(・・ヒ!始まった!byワタシ)
その後の車内は、彼らの爆笑の渦と化し、次駅で平然と少年が降りた後もしばし治まりませんでした。・・受け取り方って、人それぞれ、です。
後に生徒から聞き知るに、彼は“オダQ線の美少年指揮者・カラヤン”の名称で、地元の名物?であったようです。

電車の震動と音と窓の外を流れる景色であの境地まで到達出来てしまう彼は「指揮者」でしたが、ケイト・ブッシュはその心境や衝動を、「バイオリン」で表現しておられるのでしょう。
そして誰しもがいくばくかは内面に持っているであろう、理性と真逆の“狂気”という代物。時にこれらを上手に吐き出したり、リメイクする術を心得ることは、人として生きていく上では、必須と思えます。よって、いまや“お一人様カラオケ”もフツーになりつつある現代には、まだ救いがあります。

そんな風に感慨深くこの曲を聴きなおすにあたり、さっそくだーりんにビデオを観てと言ったところ、「タイトなドラムに絡みつくベースライン」だの、「ギターソロのフランジャーが効いた音の作り方が一昔前で懐かしい」などと、いかにも彼らしい目線の感想が返されて来たので、「ケイト・ブッシュは?」ときいたら、「あの頭のてっぺんの羽、なんで全くズレないんだろね。」・・・確かに。ケイトさんのこと、アロンアルファで頭皮に直接、徹底的に固定してそうな気すらします。さらには彼女の歌声について、「矢野顕子みたいだな。」とは、皆が言うことですけれど、私は昔から矢野さんには、「ほがらかな弁天様」のイメージがあり(弁天様はギタリストでヤキモチ焼きと言われていますけど)、ティントで温かいパステルカラーが思い浮かぶのですが、ケイトさんにはもっと鋭くビビッドな色調を感じます。この歌いっぷりも、歌詞と照らし合わせるほどに、なんという表現力=歌唱力なんだろうと畏怖の念すら抱いてしまいます。ちなみに、対訳(キーコ)の部分は、彼女が調子っ外れのバイオリンの音を表現したであろう歌声を、あえて加えてみました。他にも、歌い口調に合わせたアレンジをちょこっと・・。“バンシー”は子供の頃、山岸涼子さんの漫画で初めて知りましたが、アイルランド地方に語り継がれる民話で、泣き叫ぶ声で死者が出る家を知らせる不吉な女の精霊のことです。遠野の座敷わらしの民話とどことなくダブります。

にしてもケイト・ブッシュさんて、すごいアーチスト!
・・でも、身内にいたらちと困るような気がしないでも・・?



ウィンターイルミネーション





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最終更新日  2012年12月01日 06時08分10秒


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