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神坂俊一郎

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Jul 5, 2019
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カテゴリ: 人生について
ほんの出来心で一郎君を置いて逃げたことで大変な目に遭った優佳さんでしたが、その頃一郎君も大変な目に遭っていたのです。
何かといえば、両親の離婚調停で、彼は法律にも明るかったので、夫婦間の法律を勉強して、両親に対し、大変公平な財産分与を提案しました。
その案、弁護士も調停委員も感心したほどの名案だったのですが、相手が悪すぎました。
二人とも、自分は悪くないと思っているうえに、夫婦の財産についての法律を知ろうとしなかったのですから、如何な名案も、受け入れられなかったのです。
仕方がないので、案はとりあえず保留しておいて、二人に法の考え方から説明することにしました。
これも、耐えがたきを耐え忍び難きを忍びの努力でしたから、調停委員には感心されましたが、当事者二人は不満顔でした。
しかし、逆に言えば一郎君はサヴァンのために人間的な感情に欠けたところがあったからこそ、正しい法的解釈による財産分与案を提案することができた面もありました。
彼は、母側の代理人ではありましたが、両親どちらの味方でもなかったのです。
代わりに、法と正義の味方だったわけです。

結果、祖父の莫大な遺産を食いつぶしておいて、その責任を夫婦でなすりつけあっているだけの不毛な争いでしかありませんでしたから、唯一まともな判断を下すと期待された一郎君に、離婚調停の世話をしてくれた不動産会社社長の佐々木氏も、弁護士の上田氏も、任せたというか、話の通じない両親の世話役を頼んだ格好になったのです。
それで、嘘をつきまくる父親の嘘を暴きつつ、父の財産は自分のものとしか思っていない母親を説得しつつ、調停員に協力してもらって何とか当初の財産分与案に近づけて行ったのです。
この手腕にも、調停委員も弁護士も感心していましたが、最後の最後で両親してとんでもない暴挙に出たのです。
調停も第6回まで行って、最後に一郎君の財産分与案に両者合意し、押印して調停成立というところまで行ったのです。
ですから、最後は押印を残すだけとなったからと、弁護士が立ち会わなかったのですが、その最後の最後になって、まず父親の常和さんが、「息子の案だと私の取り分が少なすぎるから、もう少し金をくれ。」と言い出したのです。
その言葉にカチンときたというよりは、それをきっかけに元々不満だった一郎君の調停案をひっくり返そうともくろんでいた母の高子さん、この期に及んで「こんな案は知らない。一郎が勝手に作った。私は判を押さない。」と返したのです。
これには、調停員の方が驚き、呆れました。
最後に押印して終わりだったはずの最終の調停で、不調になったのですから。
しかし、調停員二人とも、調停が不調に終わったことよりも、両者から何の落ち度もないのに悪者扱いされてしまった一郎君が気の毒で仕方がありませんでした。
当の一郎君は、無表情のまま、調停員二人に頭を下げましたが、元高名な裁判官だった男性の調停委員は、「あなたはよくやってくれました。法律の解釈といい、大学生なのに、ここまでできた手腕は大したものです。法曹界を目指してもよいと思います。しかし、ご両親とも嘘をつかれていますね。調停ではそこまで暴くことはできませんでしたから、後は訴訟になります。弁護士と裁判官に任せなさい。きっと悪くともあなたの案にこぎつけてくれるでしょうから。」と慰めてくれました。
女性の調停委員も、最初は父の常和さんが涙ながらにつく嘘にだまされて、一郎君の言うことを信じてくれなかったのですが、途中から嘘がどんどん暴かれていきましたから、最後に彼に謝らなくてはと思っていましたから、「こんな結果になって残念です。最初にあなたの言うことを信じられなくてごめんなさいね。でも、きっと訴訟ではきちんとまとめてくれると思います。本当にご苦労様でした。」と労ってくれました。

「一体あんたがたは、調停を何だと思っていたんです。何よりも、息子さんの努力をどうしてこう簡単に無にできたんです。あれ以上の案は、私でも思いつきませんよ。裁判やっても何やっても、まともにやってあれ以上の案にはならないんですからね。」
佐々木氏が高子に怒鳴った言葉は、もっと強烈でした。
「あんたなあ、俺が一郎やったら、二人とも刺し殺しとるわ。どんだけひどいことしたか、わかっとるんか。いや、わかっとったらできひんわな。あとは上田氏に任せ。なんで一郎があんたの代わりに出たのかわかっとるんか。あんたにしゃべらせたら、話にならへんからやったんやで。裁判になったら、一言もしゃべるな。」
サヴァンの一郎君、じっと黙っているだけでした。
こんな時は、感情が欠落していることも、悪いことではありませんでした。


続く。
画像は、トメコとミトラです。
ここがお気に入りのようです。







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Last updated  Aug 4, 2023 10:01:10 PM
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Yoko@ Re:ヤマトタケル異聞8(10/04) 記紀とは違うヤマトタケルを興味深く拝読…
Yoko@ Re:ヤマトタケル異聞1(09/21) ずうずうしくリクエストをしたYokoです。 …
Yoko@ Re:ヤマトタケル?2(04/19) 21日のご返信に気が付かず、ご返信せずに…
神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ アメーバブログも確認したら全…
神坂俊一郎 @ Re[1]:ヤマトタケル?2(04/19) YOKOさんへ 既に発見されたかも知れません…

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