トヨタは4月1日付で、佐藤氏が副会長に就き、近氏が社長に昇格する新たな経営体制に移行する。佐藤体制下、トヨタは品質問題に直面しながらも販売台数や業績は順調に推移した。電動化を加速する象徴的な存在として登板した佐藤氏は、EV専用プラットフォームや電池技術への投資を進めてきた。
だが、在任期間は約14年間社長を務めた前任の豊田章男会長(69)の4分の1以下、大番頭と称された石田退三氏をはじめ豊田家出身以外の社長の中では最短だ。佐藤氏自身も「正直、短い」と2月6日の社長交代に伴う自社メディアの生配信番組でこう話していた。
関係者3人によれば、ここ数カ月、豊田氏が出席する場に佐藤氏が姿を見せない場面もあり、社内では去就を巡る憶測も広がっていた。しかし、両者の間に亀裂があったという証拠はないという。むしろ今回の社長交代は、インフレや人手不足、米国の関税政策などの影響でコスト圧力が高まる中、創業家出身の豊田会長が経営体制の再構築が必要との判断を反映している、と同関係者らは語る。
特に、ソフトウエアや自動運転、データ活用など自動車産業の主戦場となりつつある領域で優位に立てていないこと、コストの増加によってそうした分野に十分な投資ができていないことに社内で焦りがあったという。事情に詳しい関係者は、「ソフトウエア開発で競合に後れを取っているという危機感が経営陣にはある」と指摘。別の関係者2人は、新たな技術の開発には巨額投資が必要だと話す。
トヨタは社長交代を発表した今月6日、独立社外取締役2人と社内取締役1人で構成される「役員人事案策定会議」で決定したと発表した。同日の自社番組に出演した佐藤氏は、今回の社長人事に豊田会長の関与はなく、自身が最終的に決めたと話していた。
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